キャンプ場での薪割りは、ナイフ?鉈?それとも斧?
キャンプの楽しみのひとつ「焚き火」。キャンプ場で購入した薪に火をつければ焚き火を楽しめますが、火をつけた着火剤の上に薪を直接置いただけでは、なかなか火がつきません。
そこで必要になってくるのが、火つきのいい細い薪「焚きつけ」。これは落ちている小枝でいいのですが、小枝が落ちていないことや湿っていることもあります。そんなときは、薪を燃えやすい細さに割って焚きつけにします。
最近流行っているブッシュクラフトの影響で、ナイフで薪割りを楽しむ人も増えてきましたが、入手した薪が太い場合は、ナイフが鉈のようにゴツくないと割れません。
そんなわけで、これまで薪割りには鉈を愛用してきた筆者ですが、最近になって「薪を割るなら斧のほうがいいんじゃないか?」という思いが……。
そこで愛用の鉈と、今注目のユニフレーム「燕三条乃斧」を比べてみて、その使い勝手の違いを検証してみることにしました!
キャンプで使いやすい「燕三条乃斧」のスペックとは?
ショップやWebサイトで見かける斧とはちょっと違うデザインの「燕三条乃斧」。一体どのようなものなのか、まずはそのスペックを紹介しましょう。基本スペックがこちら
「燕三条乃斧」のサイズは、全長275mm、刃渡り115mm。一般的にイメージする斧よりもコンパクトな「手斧」「ハンドアックス」「ハチェット」などと呼ばれるタイプの斧です。
愛用の鉈と比べてみても、長さは鉈のほうが長いくらい。ちなみに鉈のサイズは、全長310mm、刃渡り165mmです。
燕三条の職人技が光るブレード
ブレードには、鉈や斧などの刃物にもよく使われているS50Cという鋼材を採用。高い強度と粘り強さを兼ね備えた鋼材で、タフな使用にも耐えられるようです。
ブレードの厚さは5mm。ハンドアックスのなかでは比較的薄いモデルです。ナタと比べても同じくらいの厚さです。重さも450gとハンドアックスのなかでは軽量な部類。
安全を考えた専用シース付き
安全に持ち運びや保管ができる牛革製の専用シースが付属しています。チープなビニール製のものと違って、安心で見た目もいいですね!
かゆいところに手が届く「薪折り」
ブレードの背の部分にワニの口のような溝が切ってあります。これは細くした薪を短くしたいときに便利な薪折り機能。ここに細い薪や枝をはめて、てこの原理を利用してポキッと折ります。
滑りにくくてつかみやすいグリップ
ハンドル部分には、滑りにくいゴム素材を採用。形状は指がフィットする波形デザインになっています。
実際に握ってみると、ピッタリとフィット。ゴム製なので柔らかく、手に吸い付くような手触りです。木製ハンドルと違って、汗をかいても滑る心配はなさそう。
見ただけではわかりませんが、ブレードがハンドルの後端まで通っている「フルタング」仕様です。頑丈で少々乱暴に使っても、ブレードがガタついたりすることはありません。
実際に薪を割ってみよう!
では実際に薪を割って「燕三条乃斧」の使い勝手を検証していきましょう! 使用した薪は長さ35cmの広葉樹。スギなどの針葉樹に比べると硬くて割りにくい薪です。振り下ろさずに叩きながら割る
「燕三条乃斧」の基本的な使い方は、斧を振りかぶって豪快に振り下ろすのではなく、刃を薪に当てて、そのまま地面などにたたきつける使い方をします。
まず刃を薪に当てます。このとき、刃を当てるのは薪の中央よりも端のほうが割りやすくなります。
刃を当てたままの状態で薪を持ち上げ、地面などにたたきつけます。すると繊維に沿って簡単に割れました!
こんな感じで薪を割っていきます。
では同じように、愛用の鉈でも薪を割ってみます。何度かたたきつけてみましたが、けっこう力が必要なうえに、割ることができません。
刃がなかなか入っていかないので、薪で刃の背をたたいて割る「バトニング」を行います。これなら鉈でも割ることができました。
節のある薪を割ってみた
では今度は、節がある薪でチャレンジしてみましょう! 節の薪は硬すぎるので、ナイフはもちろん鉈でもムリして割りません。ムリをすると刃を傷めてしまいます。
では「燕三条乃斧」ではどうでしょう? 実際にやってみたところ、薪をたたきつける方法では、なかなか刃が入っていきませんでしたが、バトニングではこの通り! しっかりと割ることができました。鉈と違ってクサビのような使い方になるので、割っているときに「刃は平気かな?」といった不安もありませんでした。
薪折り機能を使ってみると……
細くした薪を手で折ろうとしても、なかなか折れないことがあります。「コレなら手で折れるかな?」と思っても折れないビミョーな太さの薪も、簡単に折ることができました。
溝の幅が15mm程度しかなかったので、細い薪しか入りません。ただし、これ以上太い薪だと、てこの原理を使っても折るのは大変そうなので、このくらいの幅がちょうどいいかもしれません。
ついでに樹皮もむいてみた
着火剤がないときなどは、樹皮が着火剤代わりになるので、薪についている樹皮を削って使うことがあります。鉈ではナイフで木を削るように使うと、樹皮がきれいにはがせます。
斧を使って樹皮を削ってみると、ハンドルを持ったままで削ると力が入りにくく、うまく樹皮を削れません。しかしブレードの背を持って削るとうまく力が入り、楽に削ることができました。
ただしハンドルのように持ちやすくはないので、これについては鉈のほうが使いやすい印象です。
使って気づいたポイントは……
ハンドルが汚れやすい
グリップ力が高いゴム素材のおかげで滑りにくいのはいいけれど、土ぼこりなどが付くと簡単に取れない点が、少々気になったところ。使用に関してはまったく問題ないのだけれど、一度気になってしまうと……。水洗いすれば簡単に落とせます。子どもの手では握りにくいかも……
軽くてコンパクトなうえにグリップ力が高いので、焚き火好きの小6息子に最適ではないかと思い、実際に握ってもらいました。すると、指がフィットするように作られた波形デザインが、子どもの小さな手にはかえって握りにくいようで、指がピッタリとつきません。
指をピッタリとつけて握ることもできますが、そうすると波形の凸部分が指に当たって違和感があるようです。ただ滑りにくいゴム素材なので、少々違和感があっても滑らずに使えそうです。
薪割りが大変だと感じたらコレ!
実際に使って「燕三条乃斧」と愛用の鉈と比較をしてみて感じたのは、斧のほうが振りやすかったこと。斧は手元から重心が離れているので、遠心力で薪に力が加えられ、鉈よりも楽に薪を割ることができました。
また「燕三条乃斧」はフルタングだからなのか、柔らかいゴム製ハンドルだからなのか、薪を割っていて、手に衝撃があまり伝わらなかったように感じます。平たく言えば、手が痛くなりにくいです。
今まで鉈を使っていて「薪が少し硬いと割るのが大変」と感じている人は、コンパクトなハンドアックス「燕三条乃斧」がおすすめですよ!