
筆者は、かつてgearedで日本のハイカーサコッシュの歴史を綴ったこともある自称「サコッシュ評論家」なのですが、久々に見逃せないハイカーサコッシュが登場しました。
昨年も多くのメーカーが登場した日本のコテージインダストリー(ガレージメーカー)シーンですが、なかでも大きなインパクトを残したのが、gearedでも紹介した Rawlow Mountain Works でしょう。その要因としては周到なイメージ&ビジュアル戦略、各地でのポップアップショップや受注会を通じての精力的な販売戦略はもちろんですが、なんといってもプロダクトを一見して感じる強烈なオリジナリティと気の利いたギミックの数々、そして細部までこだわった完成度の高さにあることはまちがいありません。
なかでも、昨年の取材時は最終試作の段階だった Tabitibi Tote と名付けられたハイカーサコッシュには個人的にビビビときました。そして自称「サコッシュ評論家」として、直ぐさまこう思ったのです。
「こりゃ 山と道 サコッシュ 以来の大ヒットになんぞ!」

シンプルな作りながらギミックを満載している Tabitibi Tote。
前置きがかなーり長くなりましたが、今回はそんな大人気の Tabitibi Tote を Rawlow Mountain Works のご好意でお借りすることができましたので、実際に使い倒してのレビューを書いてみたいと思います。前置きも長かったですが、実はここから始まるレビューもかなーり長いです。ですが後半にはちょっとしたサプライズも用意してありますので、ぜひ最後までお付き合い頂けたら幸いです!
Tabitibi Toteをカメラバッグとして使い倒してみた

シンプルな一気室をスナップボタンで留める方式。ストラップは取り外し可能。
なぜなら、こんなギア関連の文章を長々と綴りながらも筆者の本業はカメラマン。腐ってもカメラマンとしては山に行くときはそれなりのカメラを持って行きます。具体的にはフルサイズの一眼レフカメラなのですが、そのため胸のあたりにはいつもカメラを入れたカメラバッグがどーんと鎮座されていらっしゃいますので、ハイカーサコッシュが入り込む余地がまったくないのです。
そんなエセ「サコッシュ評論家」が Tabitibi Tote にはビビビと来た理由は、その名前の由来にもなっているギミックにありました。なんとこの Tabitibi Tote、マジックテープで止められた底部がガバッと開き、小さなトートバッグ状に変貌するのです。トートバッグに変貌した際の本体の厚みがあれば、フルサイズの一眼レフも入るのではないか? エセ評論家を脱するチャンス!

ベルクロで留めた底部を解放するとマチ幅が2cmから14cmに広がる。

ダイニーマ生地の天マチを伸ばすとさらに容量がアップする。
もちろん、カメラバッグである以上は衝撃吸収性やある程度の耐水性は必要な機能なのでそのぶん嵩張るのは仕方がないし、Focus が万人に全力でオススメしたい一品ではあることはまちがいないのですが、衝撃吸収性などをある程度犠牲にしても自己責任においてもっと軽快に使えるカメラバッグはないのかしらとずっと思っていたのです。それが日本のコテージインダスリーからここまでイケてるルックスで登場したのだから、手を出さないわけにはいきません(Tabitibi Tote はカメラバッグではありませんが)。
ともあれ、Tabitibi Tote が14cmまでマチが広がるとはいえフルサイズの一眼レフにはさすがに小さいのではないかと思う方も多いかと思いますが、自分はほぼ軽量でコンパクトな単焦点のレンズしか使わないし、とくにプライベートの山行では非常に薄いパンケーキレンズ1本なことがほとんどなので、それならば充分と見込んだのです。結果はビンゴで、さらに標準~広角の単焦点レンズなら緩衝材入りのポーチに入れた状態でもう一本仕舞える余裕がありました。

ポーチに入れたEF50mm F1.4 USMを入れてもこのように収納が可能。

サブカメラのEOS 5D Mark2にEF40mm F2.8 STMを装着した状態。ご覧の通り充分入る大きさ。
年明け早々、雪の八ヶ岳を1泊2日で縦走する計画があったので、早速 Tabitibi Tote のカメラバッグとしての実力を試してみることにしました。この時はさるメーカーの製品を物撮りする予定もあったので、EOS 5D Mark4にいつものEF40mm F2.8 STMを装着した状態を基本に、もう1本EF50mm F1.4 USMも Tabitibi Tote に入れて持っていきました。
結論としては、当たり前ですがカメラバッグとして作られた Paago Works の Focus と比べると使い勝手は一歩も二歩も譲りました(Focus はカメラバッグとして相当の高みにあるので、それと比べるのも可哀想なのですが)。
カメラバッグとして考えたとき、まず気になったのは、本体上部に取り付けられたハンドルがあることで、カメラをさっと取り出しにくいこと。まあ0.5秒くらいの差だと思うので、アウトドア雑誌で山行記事の撮影をするカメラマンでもなければ大した問題ではないし、気になる人はハンドルを切り取ってしまっても良いかもしれません。同じく開口部が身につけると体に沿って自然と閉じる構造なので、この点もカメラの取り出しやすさという意味では少々ストレスを感じる場面もありました。ストラップが一眼レフのような重いものを入れるにしては細めなので肩に食い込むのではと思っていましたが、冬季なのでウェアを着込んでいたせいかまったく気になりませんでした。が、薄着になる季節にどう感じるかは不明です。

カメラを出し入れするときはコキを緩めてストラップを長くするとやりやすい。
カメラバッグとしてのレビューばかり書き綴ってきましたが、Tabitibi Tote はそれ以外のシーンでも実に使えるバッグです。ハイカーサコッシュとしても容量が増えることで山帰りにおみやげを入れるスペースを確保できたり(山男ならば家族、特に妻へのおみやげは非常に重要であることをご理解いただけるかと思います)、普段使いでもたとえば自分の場合は子供と遊びに出かけるとき(一応二児の父です)、オムツとお尻ふきだけを入れて身軽に公園に出かけて、帰りにパンでも買っていこうかなんてとき、容量が増えるのでとても助かります(例が所帯染みていてすみません)。

こんな格好の女性にも自然に馴染みます。でもってお洒落。
……と、こんなところでレビューを締めくくろうとしていたところに、Rawlow Mountain Worrks さんから思いもよらぬ報らせが舞い込んできました。なんと、実は現在 Tabitibi Tote のオプションとしてカメラ用ハウジングを製作中とのことで、しかも試作中のそれをテストさせてくださるとのこと! さらにハイブリッドキューベン素材の Tabitibi Tote も近々リリース予定とのことで、そちらもお貸しいただきました。
無骨なカッコ良さと耐水性UP! ハイブリッドキューベン版

どーん。本格的公開は初めてのキューベン Tabitibi Tote。カ、カッコ良すぎる…。
無骨なキューベン素材になったことにより男らしさが50%ほどアップし、クローゼットにアウトドアウェアしかない筆者のような人間も気負わず持てるようになりました。ハイブリッドキューベンになったことにより耐水性が上がり(シーム処理はされていないので完全防水ではないと思われます)カメラバッグとして使う際も信頼感が増し、通常版約125g→約80g(筆者による実測値)と約45g軽量化されたことで素材と機能性でしかものの良し悪しがわからないスペック厨も納得の仕上がり。
ギミックも楽しいカメラ用ハウジング

試作版のカメラ用ハウジング。中央の間仕切りは取り外し可能で製品版はグレー系の色になるとか。

ハウジングはこのように折りたたむことが可能で、製品版にはナイロン製専用袋と付け替え用の30mm幅広ストラップのセットになる。
さらにこのハウジングにも実に Rawlow らしいギミックが搭載されていて、製品版に付属するナイロン製の専用袋に折りたたんだ状態で入れるとミニ座布団になるのだとか(笑)。さらに専用袋にはバックルも付いていて、ストラップを付ければ簡易サコッシュにもなるといいます。まったく、よくもそんなこと考えるわ! さらにさらに、カメラなど重い荷物を入れた際も肩に食い込みにくい30mm幅のストラップとセットにしてカメラキットとして発売予定とのことで、筆者のような人間のために作られたとしか思えません。発売を翹首して正座待機したいと思います。

ハウジングをセットしてEOS5D Mark2+EF50mm F1.4 USMを入れた状態。ご覧の通りピッタリ収まり、使い勝手も格段に向上。

さらにEOS5D Mark2に標準ズームレンズのEF24mm~105mm F4 IS USMを装着した状態でもピッタリ収まったが、大きすぎて出し入れがしにくく、使い勝手は良くなかった。標準ズームレンズを装着した大抵の中級フルサイズ~APS-Cの一眼レフが収納可能だろう。
ハイブリッドキューベン素材とハウジングを手に入れたことにより、カメラバッグとしても完璧に近い状態になった Tabitibi Tote。しかもそれをとてもシンプルな構造で成し遂げている点が素晴らしいです。ほんと、筆者はこのくらいシンプルなカメラバッグがずーっと欲しかった! そして同じようなことを考えている人は、実は結構多いのでは?
- 製品名1
- Tabitibi Tote
- 価格1
- ¥6,500(税別)
- 製品名2
- Tabitibi tote カメラハウジングキット
- 価格2
- 未定
- 製品名3
- Tabitibi Tote Hybrid Cuben Fiber Edition(限定販売)
- 価格3
- 未定
- メーカー
- Rawlow Mountain Works