山と町をぐっと近づける日本流マウンテンパーカ AXESQUIN アキノヒ

山と町をぐっと近づける日本流マウンテンパーカ AXESQUIN アキノヒ
akinohi_main

AXESQUIN の定番ウェアに、カグヤというジッパーではなくヒモでとめる雨具があります。その形状をもとにして、和風のマウンテンパーカのように仕上げたのが、このアキノヒです。生地はビンテージ加工のナイロン、前はジッパーとボタンでとめます。たとえば秋口に近郊の山を日帰りで歩くときは、だいたい2〜3時間か、長くても5〜6時間ぐらいの山行なので、これを羽織って多少の雨を凌げれば充分でしょう。

※編集部注: 本稿は土屋智哉さんの談話をもとに、編集部が文章化しています。

Hiker’s Depot でも「山と町のあいだ」という言い方をよくしますが、このウェアは町でもハーフコートとして着こなせるシンプルなデザインが魅力的です。ゴアテックスのような最新素材を使った雨具ではなく、イギリスの BARBOUR や、アメリカの FILSON から出ているような、ファッションアイテムとしても人気のあるオイルドコットンのハンティングジャケットに近いものと考えていいかもしれません。

そもそもアウトドアでも、SIERRA DESIGNS の 60/40 PARKA のように、雨具ではないけど撥水と防風と防寒ができて、山でも町でも着っぱなしでOKなマウンテンパーカは、古くから親しまれてきました。このアキノヒは、それを現代日本の文脈でつくりなおしたものとしても捉えられます。着っぱなしとなると、素材の透湿性を気にする方もいるかもしれませんが、ゆったりしたデザインで空気が循環しやすくなっているので、熱くなってきたら前を開ければ大丈夫です。

AXESQUINらしい色合いも魅力的。トップ掲載の芥子色のほか。墨色、オリーブ鼠、鉄紺の4色展開。

AXESQUINらしい色合いも魅力的。トップ掲載の芥子色のほか。墨色、オリーブ鼠、鉄紺の4色展開。

いかんせんオールラウンドなレインウェアではないので、南八ヶ岳や南北アルプスなどの森林限界を超えるような山域を中心に登っている人にとっては「いつ使うの?」と思われてしまうかもしれません。しかし、森林限界下の低山や里山の楽しさに目を向けている人なら「こういうのが一着あれば意外とこなせちゃうよね」と実感していただけるはず。住んでいる町の裏山のような場所をもっと知るために、日帰りでさっと出かける。そういう楽しみ方ができると、ハイキングが自分のライフスタイルのなかにより深く入ってきます。このウェアは、まさにそんな用途にぴったりの一着です。
林業をする人が山に入るとき、水道局の人が水源保安林の巡視をするとき、日々の業務ではきっとゴアテックスのシェルではなく、仕事用のドカジャンをサッと羽織っていることでしょう。そんな感覚で、ハイカーにとっての「作業着」として身近なフィールドで気軽に羽織ってみてください。

個人的に、AXESQUINはいま日本で最も挑戦的なブランドだと思っています。日本の中では老舗に近い歴史のあるブランドですが、ここ数年は「和」のテイストをとりいれたものづくりに力を入れています。標高の高いところを目指す西洋的な登山文化が輸入される近代以前から、日本人は生活のなかで峠や山道を歩いて旅してきました。だからこそ、森林限界下の山で使うものには、昔の道具のエッセンスをもっとすくいあげられるはず。そう信じて、近代以前の衣服のデザインを自社の商品に反映させています。

特に今年の春からは、それを「凌ぎ」という新しいコンセプトのもとに具体化しました。ただデザインが和風なだけではなく、日本の国土の大半を占める森林限界下の里山のなかで、どのような古い知恵が活きるのかを模索している、すごく意欲的なブランドだと思います。ややもすれば奇をてらっていると言われかねないアイディアでも、臆することなくインパクトのある商品に仕上げて、それを広く流通させて問いかけている。それに、日本の里山のような環境は、アメリカの東海岸やイギリスにも見られますし、「シノギ」のわざが活かせる風土は少なくないはずです。今後の海外進出にも期待しています。

ちなみに今年の AXESQUIN の秋冬ものには他にもおもしろいウェアがあるので、近いうちにまた追ってご紹介いたします。

製品名
アキノヒ
重量
580g
ブランド
AXESQUIN
価格
25,000円(税別)
購入
Hiker’s Depot ほか
スポンサーリンク
スポンサーリンク
スポンサーリンク
スポンサーリンク