4月に行われた展示会〈Off the Grid〉で、興味深いメーカーに出会いました。Hiker’s Depotのブースを訪れてくれた女性が、すごく独創的なデザインのパンツやザックを身に着けていたんです。興味をひかれて「それどこのですか?」と尋ねたら、「いや実は……」と話を切り出してくれました。その道具はいずれも、彼女が旦那さんと一緒に立ち上げた「旅道具トラヤ(Toraya Equipment)」というブランドで手作りしたものだったのです。
※編集部注: 本稿は土屋智哉さんの談話をもとに、編集部が文章化しています。
トラヤは立ち上げられたばかりの小さなブランドです。旦那さんはもともと山に行ったり旅をしたりするのが好きだったそうで、彼がデザインやパターンを組み、奥さんが縫製をしています。山と道の夏目さんご夫妻にも似ているバックグラウンドですね。都市部に定住せず、全国を旅しながら暮らすライフスタイルを実現できないのか?と考えた時に、デザインをしてモノをつくってそれを販売してまわるという方法にたどり着き、このブランドを立ち上げたそうです。「トラヤ」という屋号は山の三角形、つまりトライアングルからとっていて、それがロゴの形状にも現れています。
365 TOUGH と名付けられたパンツは、タイパンツのようなゆるめのつくりになっています。ヒモで腰まわりをしぼれる通常のタイパンツと同様に、ウエストをナイロンベルトでしばって、ベロンとゆるくさげられる形状です。一方で、足元を細くスリムにしてバタつきをおさえています。さらに、サイドには大きなポケットがついているので、モノをどんどん入れられるんです。
バックパック 196 JOURNEY の形状もかなりユニークです。背面にある開口部は縦に大きく開くので、荷物をばすっと入れられます。
この出し入れのしやすさと容量は、旅の道具としてかなり使い勝手がいいはず。背負うときには、吹き流しをぐるぐるとまとめて縦方向のロールをつくり、これをストラップでサイドにとめて、さらに底部をバックルで固定して使います。
ストラップで留めるだけのシンプルな構造ゆえハリのない薄手の素材が適さないためか、生地もハイテクな超軽量のものではなく、昔からあるセルスパンという風合いのあるものを使っています。それでも、重量は790gにおさえています。
ここまで大きく口が開くザックはなかなかありませんから、この形状は旅道具のみならず山道具としても魅力的です。テント場についたあとは開口部をひらいてそのまま置いて使えば、使い終わったモノをぽんぽんと入れておけます。トレイルランニングのレースに出る人が会場に行く時にこれを使ったりするのもありでしょう。アウトドアメーカー発の旅行用バッグはたくさんありますが、「これを山でも試したい!」とワクワクさせてくれるものは少なかった。それだけに、この利便性と独創性を兼ね揃えたデザインには従来のバックパックにはない可能性を感じています。
トラヤの道具はまだあまり市場には出ていませんが、6月12日(日)までHiker’s Depot で開催している展示会で予約できるので、気になる方はぜひ足を運んで手にとってみてください。Hiker’s Depotは、山「登り」だけではなく、山「歩き」や山「旅」としてのハイキングを提案しているお店ですから、トラヤさんの「旅道具」というコンセプトとは響きあうところがあると思っています。今はまだこのパンツとカバンの2つだけがメインですが、他にも新しい切り口の道具をつくっているので、今後も応援をしていきたいと思っています。山と道が出てきた時と同じように、このメーカーから新しい風が起きるといいですね。
- 製品名1
- 365 TOUGH
- 価格1
- ¥17,600(税別)
- 製品名2
- 196 JOURNEY
- 価格2
- ¥35,200(税別)
- ブランド
- TORAYA EQUIPMENT / 旅道具トラヤ
- お問い合わせ
- Hiker’s Depotにて2016年6月12日(日)まで展示を開催中