Outdoor Research が新たに発売する4種類のトラッカーハットは、ファッションの世界では定番のキャップをアウトドア向けに化繊で仕立てたものです。この素朴なコンセプトに、実は深い意義があります。
※編集部注: 本稿は土屋智哉さんの談話をもとに、編集部が文章化しています。
トラッカーハットは、アメカジではおなじみのアイテムです。形状はベースボールキャップと同様ですが、後頭部がメッシュになっています。日本でもファッション的に親しまれているものの、これを山でも使えるテクニカルな道具として捉える人はまれでしょう。
ところが、アメリカのハイカーたちはトラッカーキャップを普段着感覚のままにかぶってトレイルを歩いています。PCT や AT のようなトレイルの維持管理団体が出している記念品としてもトラッカーキャップの人気は高く、それほどこのデザインは日常的なのでしょう。そんな気取らない魅力を伝えるべく、Hiker’s Depot でもコットンが入っていないトラッカーハットをなるべく取り扱うようにしてきたのですが、化繊のものとなると選択肢が少なく、このカテゴリは長らく死角となっていました。
さらに、近年のアウトドア界では、一般的なキャップよりもつばを短くした、野球帽とサイクルキャップの中間のようなモデルが重宝されています。行動時の上げ下げがしやすい、小さくたためる、ヘルメットの下にかぶれる、見た目もかわいらしい……等々のメリットもあり、つばの短いキャップはULハイキングやトレイルランニングとの親和性も高いです。
代表例は、「世界一軽い帽子」というふれこみで登場した CAPOでしょう。これは個人的に大好きで、今でも夏に愛用しています。山と道の夏目さんもこれを気に入っていたそうで、自社の商品にも Strech Mesh Cap や Merino Wool Cap といったつばの長さを抑えたキャップがある。ほかにも、Sky High Mountain Works は、キャップ全体をメッシュにしてつばを思いっきり短くしたワークキャップを WORKROWN というメーカーと一緒にリリースしています。ウールのギアに定評のある ibex が出している Euro Loden Cap も、やはりつばが短いです。
一方で、つばの短いキャップもいいことづくめではありません。第一に、当然ながら日差しをうまくさえぎれなくなります(笑)。まぶしい夏場に、サングラスをとりだすのが面倒だったり、眼鏡派で度付きのサングラスをつくったりオーバーグラスをつけたりするのも億劫な場合は、シンプルにつばの長い帽子を使えばいい。つばの向きを逆さにしてかぶれば、後頭部や首の日焼けも防げます。また、最近のUL系雨具にはフードのつばに芯が入っていないものも多いので、雨天時につばの長いキャップの上からフードをかぶれば、眼前に水滴が垂れるのを防いで視界を確保できます。
アメリカの文化を伝えつつ、つばの長いキャップのメリットも再評価できるような、フィールドでも安心してかぶれる化繊のトラッカーハットがあったらいいなあ……という念願を叶えてくれるのが、この Performance Trucker シリーズです。カジュアルなデザインで、なおかつメインの素材がポリエステルなので、シチュエーションを選ばずに使えます。ORはもともとキャップをはじめとする小物作りが得意なメーカーで、通常のトラッカーハットもずっと作り続けているから、仕上がりも折り紙付きです。
トレイル、ラン、ウルトラ、パドルと、アクティヴィティごとに素材を使い分けた全4種がラインナップされており、用途に合わせたモデルが選べるのも特徴です。近年のようなつばの短いキャップだけに偏ることなく、別の選択肢を豊富に検討できるようになったのは、ユーザーにとってもうれしいことでしょう。
しかし、個人的には細かい性能の差よりも「トラッカーハットを化繊にしただけ」という根本のコンセプトが重要だと思っています。きわめて単純な発想なのに、その一工夫が今までありそうでなかった。山でも街でも使える形状と素材のアイテムは、ハイキングやランニングを日常生活のなかへとシームレスにとけこませてくれるはずです。
- 製品名1
- Performance Trucker Trail
- 価格1
- ¥3,600(税別)
- 製品名2
- Performance Trucker Run
- 価格2
- ¥4,100(税別)
- 製品名3
- Performance Trucker Ultra
- 価格3
- ¥5,000(税別)
- 製品名4
- Performance Trucker Paddle
- 価格4
- ¥3,700(税別)
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- Outdoor Research
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