フォルクスワーゲン・ビートルに60’sカルチャーを彷彿とさせるような装いのパッケージが一部で話題になっています。
ビートルは戦後世界において一番有名な車であり、今もなお多くの人々に愛されています。その理由は外見がカブトムシを彷彿とさせる愛くるしいフォルムになっていることはもちろん、ビートルという車が築き上げてきたカルチャーが、世界中の人々に影響を与えてきたからと言えるでしょう。
ビートルカルチャーの始まりは戦時中まで遡ります。戦時中につくられたビートルの原型は、ナチスドイツ主導で生まれた国民車でした。戦後、ドイツを統治していたイギリス軍によって本格的に量産が始まったビートルは、ナチスドイツから誕生したという背景があったものの、車として非常に優れていたため瞬く間に世界中に広まっていきました。
登場からしばらく時間が過ぎた1960年代になると、ビートルは世界中でベストセラーカーとして地位を確立するだけでなく、ファッションのギアとしても浸透していきました。特に、アメリカ西海岸の若者たちの間でカウンターカルチャーを体現するモノとして扱われたのは、ビートルのその後を決定付ける非常に重要な出来事だったと言えます。
当時のアメリカにおいて、ビートルは大量消費のライフスタイルに異議を唱える車として捉えられており、若者たちが様々な形でカスタムを行っていました。
特にカルフォルニアでは、ビートルを始めとしたワーゲンの車がサーファー達の間では欠かせない存在になっており、ローダウンやオリジナルのペイントなどサーフカルチャーの背景を色濃く反映したキャルルックというカスタムが大流行しました。
そして、キャルルックともにカルフォルニアで流行したのが、ビートルをオフロードテイストにカスタムしたデューンバギーです。その中でも60年代初頭にブルース・メイヤーズが販売したメイヤーズ・マンクスは、遊び心と機能性を両立させ当時のアメリカ人達の心を掴み大ヒット。キャルルックと共にデューンバギーは、60~70年代を象徴する一大カルチャーとして現代まで受け継がれるようになりました。
ある種のレジェンド的な存在となったビートルの誕生から70年近くが経った現代において、フォルクスワーゲンも往年のカルチャーやライフスタイルを蘇らせるプロダクトを世の中に送り出すようになりました。
その流れなかで誕生したのが、ザ・ビートル・デューン。名前の通りデューンバギーをリスペクトして作られています。実際に運転をすると、派手な見た目とは裏腹に堅実に作られ、同時に走る楽しさを秘めたクルマだということがわかります。
動力は1.4Lエンジンとは思えないほどスポーティな走りをしてくれますし、クロスカントリーらしさを演出している専用サスペンションは、車高を上げるだけでなく、高級車を凌ぐかのようなしなやかな乗り心地を実現しています。
さらに、ボディの大きさも相まって、大人4人が乗ってもさほど窮屈でない室内空間が確保されていますし、ラケージルームも十分量の大きさが確保されているといえます。往年のビートルのようにルーフにキャリアをつけてギアを運ぶ……そんなスタイルのドライブもこの車ならこなせることでしょう。
往年のビートルのカルチャーに思いを馳せながら、現代車の楽しさも味わいたい。そんな考えを持つ人の思いに、ザ・ビートル・デューンはきっと答えてくれるはずです。
Photo: (CC) Some rights reserved by Peter Anderson & JOHN LLOYD
- 製品名
- ザ・ビートル・デューン
- 価格
- 2,980,556円(車両本体価格・税別)
- メーカー
- フォルクスワーゲン