どんなナイフを買えばいいの?
連載二回目の今回はみんなの関心事でもある!?「どんなナイフを買えばいいのか?」ということに触れていきたい。でも、これがなかなかサクッと伝えられないのだ・・・。なのでまずは「どんなナイフがあるのか」について書きたいと思う。
ナイフという道具は車に例えるとわかりやすい。基本的には人も荷物も載せられて、快適に移動できる道具っていう意味では汎用品なんだ。でも同じセダンでもちょっとスポーティだったり、荷物を多く積めるワゴンであったり、大型トラックみたいに一つの機能に特化したものまでいろいろなクルマがラインナップされている。クルマというのは、デートの時の道具でもあれば日常のアシでもある。時には人も載せるし荷物も運ぶ。単なる道具でもあれば溺愛するほどの相手でもある。安いモノも高いモノもある。消費者は、自分にとって何が必要かを判断してクルマを購入しなければならない。見た目優先でスポーツカーを購入しても、荷物を運びたいならそれは無用の長物なのだ。
ナイフも同じ。どんなナイフを買えばいいのかという答えは、使用する”自分”にしかわからないのだ。でもそれがわからないから困るんですね。では”自分”で選べるように選び方のヒントを説明していきます。どんなジャンルのナイフがあるのかを紹介しましょう。
ナイフは分類大きく分類すると10種
斧
クルマでいうと大型トラック。主に大きな薪を割るための道具。大きいモノから小型のものまで割る薪のサイズや使い勝手で選びましょう。基本的には腰にぶら下げて持ち歩くものではない。〈おすすめ:木割五百匁〉
薪割り用に十分な柄の長さ、刃の厚みと重さを備えた斧。丸太から大きな薪に荒割りするのに活躍します。
ナタ
クルマでいうと小型トラック。薪を割るための道具だけど斧よりももう少し小さいサイズまで対応できる。大きさや形も様々。先がとがった剣ナタだともっと多様に使える。〈おすすめ:朱入れ片刃鉈〉
中くらいの薪を小割りしていくのにオススメ。片刃なので食い込みが良い。
ハンティングナイフ
クルマでいうとセダン。本来は獲物の解体用だけど汎用性が高く、ほとんどのナイフはこのジャンルに入るといっても過言ではない。大型から小型までラインナップするが基本的にはブレードは薄いので薪割りなどハードユースは苦手。〈おすすめ:ベレッタ ラブレスハンター〉
現代ナイフの神様ラブレスがデザインしたプレーンなデザイン。同じシリーズに、もっとハンティング用に特化したスキナーやガットフックなどがある。
ブッシュクラフトナイフ
クルマでいうとステーションワゴン。ハンティングナイフよりも厚いブレードとベベル(サイドの削り)の違いで剛性が高く木など硬いモノを削るのに良い。ややハードユースに向く。〈おすすめ:モーラナイフ コンパニオンヘビーデューティ―〉
炭素鋼のブレードは錆びるがよく切れて簡単んに研げる。安価なこともあってアウトドアナイフ入門に非常にオススメ。厚みも適度にあり万能選手だ。
サバイバルナイフ
クルマでいうとSUV。ハンティングナイフよりも厚いブレードで剛性が高くブッシュクラフトナイフよりも汎用性の高い形状をしていることが多い。〈おすすめ:バークリバー BRAVO1〉
厚めのハマグリ刃ブレードがオールラウンドに活躍します。ブレードの形状もオールラウンド性を重視したドロップポイント。
タクティカルナイフ
クルマでいうとジープ。軍隊での使用を前提としたモノでサバイバルナイフよりさらに剛性を上げて攻撃性を増したものが多い。〈おすすめ:ガーバー プロディジー タントー 〉
タントーブレードの形状は剛性があり突き刺し能力が高い。半波刃のブレードはいざという時にロープを切るなどに役にたつ。
キッチンナイフ
クルマでいうとスポーツカー。調理に特化してそれ以外はできないに近い。ブレードは薄いがサイズは大型。シース(鞘)もないのが一般的。〈おすすめ:misono 牛刀〉
洋食の包丁で最初に買うのがこの牛刀。肉のブロックを切り分けるのに大きくて薄いブレードが活躍します。野菜を切るのもお手のモノです。
フォールディングナイフ
クルマでいうとコンパクトカー。折り畳みナイフのこと。ココではジャンルとして扱うが本来は折り畳み式の○○ナイフといった具合にジャンル分けされる。とはいえ折り畳み式なので比較的小型で、ハードユースには向かないのは共通している。〈おすすめ:スパイダルコ テネイシャス〉
ワンハンドでオープン&クローズできるのが今のフォールディングナイフの基本。ブレードも大きすぎず日本人にピッタリです。
ジェントルマンズナイフ
クルマでいうと軽自動車。ロック機構のないものが多く、ライトな作業をするためのナイフ。ハードな使い方はできない。〈おすすめ:オピネル ステンレスNO.7〉
言わずと知れた有名ナイフ。長さは7~8cm程度でステンレス製が万人にオススメだ。
マルチツールナイフ
クルマでいうとワンボックス。ナイフも含め様々なツールがオールインワンになっている。ナイフだけの使い勝手には多少難があるものの道具としてトータルでみるととても優秀。〈おすすめ:レザーマン WAVE〉
マルチツールのスタンダード。多少重いが特にプライヤーは使いやすくいろいろな場面で活躍してくれるはずだ。
ベストは少しずつ模索していくもの
もちろんこれらがすべてを網羅しているわけではない。でもなんとなくわかってもらえたんじゃないかな?
なかにはジャンルを超えるような商品もあるし、ハンティングナイフ寄りのサバイバルナイフなんて具合にはっきりとしていない商品の方が多い。小型でもブレードが厚くてハードユースできるものだったり、大型でもブレードが薄いなどハードユースはできないものもある。
ジャンルとは別にサイズ、素材、構造などによっても多少どんなナイフなのかが変わってくるわけだけど、少しずつ理解していけばいいと思う。クルマだって同じ車種で排気量が違ったり駆動形式の違うバージョンがあったりするけど、自分にとってのベストは少しずつ模索していくものだと思う。自分にとって必要な一本が見えてきたその時が上級者になった証拠かもしれない。まずは一般的なモノを購入してみて使ってみてほしい。そのとき、また次の一本が見えてくるはずなんだ。