【ナンガに聞いた】ちゃんと洗ってる? スリーピングバッグの正しいWASH&DRY

本文・アイキャッチ画像撮影:筆者

スリーピングバッグ、洗ってる?

ところでみなさん、スリーピングバッグ洗っていますか? 中綿と違ってダウン製品って扱いがデリケートだし、寝袋ともなると大型アイテムだし、いまいち洗い方がわからないし、干すのも大変そうだし……。正直、ダウンの寝袋って、洗濯が面倒に感じてしまいますよね。

しかし、ダウン製品は扱いこそデリケートですが、しっかりメンテナンスをおこなうとじつは寿命が長いアイテム。そこで、30年以上にわたって国産のスリーピングバッグを手がける『NANGA(ナンガ)』の広報担当・米澤創さんに、家庭での正しい洗い方について教えてもらい、実践してみると……!

見てください、このふかふか&モチモチ感……!  洗濯機を使った方法なので、労力はかけていません。

“正しい乾かし方”についても教えてもらったので、まだ洗ったことがない人、手洗いを億劫に感じている人、本当に読んでほしい……!

【WASH】これが家庭での正しい洗い方

ハードルが高く感じてしまう、スリーピングバッグのお洗濯。国産ダウンメーカー『ナンガ』監修のもと、家庭での正しい洗い方をご紹介します。
今回洗うのは、筆者手持ちのダウンのスリーピングバッグ。ロフトが潰れ全体的にクタッとしていますが、これがさほど手間をかけずにふわふわ&モチモチに生まれ変わります!
【洗い方の手順】
1)寝袋を裏返してロール巻きにし、洗濯ネットに入れる
2)市販のダウン専用洗剤もしくは液体中性洗剤を適量入れて、洗濯機に入れる
3)「毛布」を選んで、洗濯・すすぎ・脱水(※)までおこなう

おさえておきたいポイント含め、詳しく解説していきます!

①寝袋を裏返してロール巻きにし、洗濯ネットに入れる

まずは寝袋を裏返し、ロール巻きにしてから洗濯ネットに入れます。表地に防水透湿素材を使用しているモデル(ナンガでいうところのオーロラシリーズ)も同様の手順でおこないます。

\ここがポイント/
洗濯中にドローコードなどが絡む可能性があるので、必ず洗濯ネットに入れましょう。寝袋がなんなく入る、大きめの洗濯ネットがベストです。

②市販のダウン専用洗剤もしくは液体中性洗剤を適量入れて、洗濯機に入れる

ダウン専用洗剤もしくは液体中性洗剤を適量入れて、寝袋を洗濯機に入れます。今回は手元にあったニクワックスのダウンウォッシュを使用しました。表記にしたがって適量の250mlを投入します。

\ここがポイント/
ダウン専用に作られた洗剤は撥水効果などが含まれることから、結果的にダウンの洗浄+生地の撥水効果を高めるため、あれば専用洗剤のほうがいいそう。ですが! ない場合は液体の中性洗剤でも問題ないとのこと。米澤さんはペットボトルキャップ1杯分を使用量の目安にしているそうです。

\ここがポイント/

また、洗濯機には縦型とドラム式がありますが、今回は縦型でおこなっています。縦型の場合は水が溜まったら一時停止し、水の中に寝袋を沈めておきましょう。なぜなら、生地には撥水や防水加工が施されているため空気が抜けにくく、水が浸透しないからです。

縦型洗濯機は横回転するしくみなので、水に沈めておかないとプカプカ浮いてきてしまい、生地表面上の汚れしか洗濯されないそう。ラクして洗濯するぶん、こういったコツをおさえておくことが大切ですね。

③「毛布」を選んで、洗濯・すすぎ・脱水(※)までおこなう

毛布洗いコースで、洗濯・すすぎ・脱水までおこないます。自動でやってくれるのでらくちん! なお脱水については、洗濯機でおこなわないほうが生地の劣化を防ぐことができるので、時間があれば手作業での脱水が◎とのこと。

すすぎ後に取り出し、水気がなくなるまで絞ります。

手作業でおこなうときは、ふたりでシュラフを持ちってねじっていくと水気を切りやすくなります。

洗濯~すすぎ~脱水まで終わった寝袋がこちら

洗濯機を回してから待つこと数十分、寝袋が洗いあがりました。今回は時間短縮のため洗濯機で脱水しています。

正直、寝袋は手洗いしかしたことがなかったので、「洗濯機使って大丈夫かなぁ?」という不安がありましたが、脱水まで問題なく終了! 手洗いと違って労力がいらないので、本当にらくちんでした。

ちなみに、今回洗濯した筆者の寝袋の品質表示には“手洗イ”と書かれていましたが、これはていねいに洗う必要があることを表すマークであって、洗濯機が使えないという意味ではありません。

上記手順のように「洗濯ネットに入れる」、「毛布洗いコースを選ぶ」など要点を守ることで、デリケートな寝袋も安心して洗濯機で洗うことができます。

【DRY】失敗しない乾燥方法は?

洗濯でしっかりと汚れを落としたら、お次は乾燥。じつは乾かし方こそ、とっっっっても重要だったんです!
【乾かし方の手順】
①脱水後、風通しのいいところで陰干しをする(乾燥機でもOK)
②羽毛までしっかり乾いたら、両手でたたき、羽毛をよくほぐす
③縫い目を中心に、防水スプレーを吹きかける

おさえておきたいポイント含め、詳しく解説していきます!

①脱水後、風通しのいいところで陰干しをする(乾燥機でもOK)

脱水後は、ベランダなど風通しのいいところで陰干しをします。コの字型で干すと乾きやすくなるそう。
ただし直射日光にあててしまうと生地が傷みやすくなるので、“陰干し”がポイント。もし日陰がない場合は、シーツやシェードなどを使って直射日光を防ぎましょう。

\ここがポイント/
洗濯後は、“完全に乾くまで干す”ことがとっっっても重要です! なぜなら、生地が乾いていても中の羽毛が濡れたままになっている場合があるからです。

例えばナンガの場合、寝袋にはナイロン生地をメインに使っているため、生地の乾燥速度と、羽毛の乾燥速度が異なります。そのため生地が乾いていても、中の羽毛が濡れたままになっている場合があり、カビやにおいの原因になってしまうそう。

そこで有効な手段となるのが、乾燥機。短時間でしっかり乾かすことができます。ただし、生地のダメージを最小限におさえるため中温or低温でおこないます。乾燥機に入れたら、設定ボタンを必ずチェックしましょう。

今回はコインランドリーを利用し、低温(54度)で20分間乾燥機にかけました。かかった費用は200円。触った感じは羽毛まで乾いていそうでしたが、念のため家でも1~2時間ほど陰干ししておきました。

②羽毛までしっかり乾いたら、両手でたたき、羽毛をよくほぐす

羽毛まで完全に乾いたら、両手でたたいて羽毛をよくほぐします。

\ここがポイント/
羽毛の吹き出しや飛び出しがある場合は、コロコロなどを使って取り除いておきましょう。

③縫い目を中心に、防水スプレーを吹きかける

完全に乾燥したら、縫い目を中心に防水スプレーを吹きかけます。

\ここがポイント/
防水スプレーを吹きかける理由は、ダウンの抜け防止のため。洗濯により糸が水を吸い、乾燥することで糸がもとに戻ることから縫い目の穴の大きさが大きくなり、ダウンの抜けを発生させる可能性や、生地のコーティングが弱まることから抜ける恐れがあります。

そのため防水スプレーを吹きかけておくことで、目止めに繋がりダウンの抜けを軽減できるそう。 防水スプレーは市販のものでOKです。

せっかくなので……おすすめのスリーピングバッグを聞いてみた

年々進化を遂げている寝袋。余談にはなりますが、今冬のイチオシを米澤さんに聞いてみました!

おすすめ①ナンガ「オーロラライト750DX」

出典:ナンガ
ナンガの定番モデル「オーロラライトシリーズ」はシェルが20デニールから15デニールに薄くなり、よりやわらかくコンパクトに進化。快適使用温度は、-8℃。防水透湿素材オーロラテック®ライトを使用しているので、シュラフカバーをしなくても結露などの水濡れを回避できます。これ、特に冬キャンには大事なポイントですね。

アイテム詳細はこちら

おすすめ②ナンガ「UDDバッグ630」

出典:ナンガ
羽毛に超撥水加工を施し、万が一濡れてしまってもスピーディーに乾くモデル。さらに生地を薄くすることで羽毛への伝熱を早めていて、寝袋に入ってからの保温力にも優れています。快適使用温度は-5℃。「水濡れに強いモデルがほしいけど、軽くて小さくなるほうがいい! 」というキャンパーさんにおすすめです。

アイテム詳細はこちら

新品のように生まれ変わった……!

今回思い切って洗濯したことで、新品のように生まれ変わったMYスリーピングバッグ。ナンガの米澤さんいわく、“人間の髪の毛と一緒で、ダウンにもケアが必要”なんだそう。

洗わずに放っておくと、結露や湿気、人間の汗などでロフトがつぶれ、買った当初よりも保温力が発揮されないまま使用されていることが多くあります。洗うことで、清潔さと保温力を戻すことができ、より快眠できるので、まず寝袋の温かみがなくなってきたと感じた方は、ご自宅での洗濯または弊社クリーニング依頼をしていただき、きれいにしましょう。そして、よりよいアウトドア生活をお過ごしください!(ナンガ・米澤さん)

ということで、最後に洗い方と乾かし方の手順をおさらい!

【洗い方】
1)寝袋を裏返してロール巻きにし、洗濯ネットに入れる
2)市販のダウン専用洗剤もしくは液体中性洗剤を適量入れて、洗濯機に入れる
3)「毛布」を選んで、洗濯・すすぎ・脱水(※)までおこなう
【乾かし方】
1)脱水後、風通しのいいところで陰干しをする(乾燥機でもOK)
2)羽毛までしっかり乾いたら、両手でたたき、羽毛をよくほぐす
3)縫い目を中心に、防水スプレーを吹きかける

最初は抵抗があるかもしれませんが、思い切って一度洗濯をしてみてはいかがでしょうか? 洗うとふかふかになって、とっても気持ちがいいですよ~!

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