充実した冬キャンプには、充実した焚き火あり
冬キャンプの定番アクティビティといえば、焚き火。「NO TAKIBI, NO CAMP.」じゃないですが、寒くなるこれからの季節は暖のとれる場所が必要不可欠ではないでしょうか。しかし、自然の中で行う焚き火は火力の維持が難しいところ。そこで今回は、4つの代表的な薪の組み方を実際に試し、それぞれの燃焼にどんな違いがあるのか。実践結果をレビューしていきます!
火が燃えるメカニズムは?まずは焚き火の“キホン”をおさらい!
着火剤を使い勢いよく燃え始めた薪、しかし次第に弱まる炎。「一体どうして?」。これは焚き火に慣れていない方にとって“あるある”。薪の組み方次第でその問題は解消できますが、まずは薪組みを学ぶ前に火が燃える仕組みからおさらいしていきましょう。
私たちが焚き火という形で楽しんでいる炎。コレは“燃焼”という化学反応から生じるもので、<可燃物(燃料)><酸素(支燃物)><熱(着火源)>の3要素が連鎖的に反応して火は生み出されます。
薪組みでいかに空気の軌道を確保するかが重要!
3つの要素がどれか一つ欠けるだけでも火は起きず、特に焚き火は安定した<酸素>をいかに供給できるか。空気の軌道を確保するための正しい薪組みが非常に重要になります。また、突風が起きやすいキャンプ場での焚き火は防風対策もマスト。火起こしに必要な<酸素>がときに風という形で脅威になりえるので、最善の注意を払って焚き火を楽しみましょう。
【実践レビュー】4つの代表的な薪の組み方
少し難しい話をしましたが、ここからが実践本番! 実践したのは、焚き火では定番の4つの組み方。それぞれの燃焼方法にどんな違いがあるのか。実際の燃焼の様子から、その特徴をご紹介します。
今回の実験では、薪のサイズによって燃え方に差が出ないよう、ほぼ同一の太さ&長さのものを各6本ずつチョイスしました。
※ちなみに、今回使用した薪はヒノキ。火起こしの際には、着火剤として杉っ葉を活用しています。
使用した焚き火台は、コールマン「ファイアーディスク」
それでは、いざ実践へ! 最初は一番スタンダードな薪組みから。
①火力をコントロールしやすい「並列型」は調理向き!
まずは一番下に枕木を置き、その上に薪を並列(放射状でもOK)に重ねていく「並列型」から。ご覧の通りとくに難しい手法ではなく、焚き火ビギナーの方でも簡単に挑戦できるオーソドックスな組み方です。
火を起こしてみると、安定した火力で燃焼し続けてくれます。
この組み方は、ズバリ調理向き! 枕木から離れるほど火力が落ちるため、高火力で調理したいものは枕木の近く。保温状態を保ちたいときは、枕木から離れたところにクッカーを置いたりと火力調整が簡単です。
実験者
「並列型」は、着火までが非常にスムーズ。今回、同じ条件で実験するために6本の薪を用いましたが、「並列型」は薪を足しやすいのも特徴です。
火力をUPさせたいときは、その上に薪を足すだけ。この手軽さも良いですよね!
火力をUPさせたいときは、その上に薪を足すだけ。この手軽さも良いですよね!
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②エンターテイメント向きの「井桁型」
次は、「井桁(いげた)型」という組み方。こちらは文字通り、薪を縦横“井の字”型に積み上げる手法。
ログキャビンの建築構造に似ていることから別名「ログキャビン型」とも呼ばれています。キャンプファイヤーなどによく採用される組み方です。
「井桁型」の最大の特徴は、煙突の役割を担う中央の四角い枠。熱された空気が煙突のように上昇気流となって立ち上るため、実際に火を起こすとものの数分で大きな火柱が立ち上がります。
キャンプファイヤーの薪組みに採用されるのにも納得。火力が非常に強いため暖をとるのに最適です。
実験者
簡単に火を起こせる「井桁型」は焚き火慣れしていない方にうってつけ。迫力ある燃えっぷりは写真映えもバッチリ。
ただ、燃焼効率に優れているだけあって薪が短時間でも燃え尽きてしまうというデメリットも……。
ただ、燃焼効率に優れているだけあって薪が短時間でも燃え尽きてしまうというデメリットも……。
③低燃費に焚き火を楽しみたいなら「合掌型・開き傘」が◎
こちらは、傘を開いた際の骨組みを思わせる「合掌型・開き傘」。「インディアン型」とも呼ばれ、本来であれば中央に燃えやすい枝などの配置するのですが、他と同条件にするため今回は着火剤としての杉っ葉だけをプラスし、火をつけてみることに……。
チロチロと燃えるという表現が一番しっくりくるでしょうか。
火力自体は強くないですが、その分燃焼時間が長くなるのでのんびり焚き火を楽しみたい! という方にオススメです。また、薪の組み方に高さが出ないので、クッカーなど上に置いても安定してくれます。コトコト煮込む料理にも向いていますね。
実験者
中央から燃焼していく「合掌型・開き傘」は、そのまま放置してしまうと重心が徐々に薪の外へ移動していくため焚き火台から薪がポロリと落ちることも……。
ですので、薪をいじりながらのんびりとした時間を過ごしたい方にうってつけです。
ですので、薪をいじりながらのんびりとした時間を過ごしたい方にうってつけです。
④“焚き火してる感”が味わえる「合掌型・閉じ傘」
最後にご紹介するのは、薪を円錐状に組み合わせる「合掌型・閉じ傘」。先ほどの「合掌型・開き傘」の変形で、こちらは傘を閉じた骨組みにそっくりですよね。では、どんな違いがあるのか。さっそく着火していきましょう。
焚き火台の底に敷いた杉っ葉から薪に火が移り、てっぺんで燃焼。
一度火が点くと「井桁型」同様燃焼効率が高く、大きな炎になりました。しかし、燃え進むにつれて薪が崩れやすいという難点も。燃焼時間は比較的短めです。
実験者
火起こしに一番時間がかかりましたが、それも焚き火の醍醐味! 今回は使用した薪が細すぎたため、風に倒されるシーンも……。挑戦する際は、安定感のある太めの薪がオススメです。
薪の組み方で焚き火の充実度はガラリと変わる!
薪の組み方次第で火力はコントロールでき、ダイナミックな炎で暖をとるなら「井桁型」と「合掌型・閉じ傘」がオススメ。調理するなら「並列型」と「合掌型・開き傘」がうってつけではないでしょうか。
これまで「並列型しかしてなかった……」という方は、ぜひこれを機にシーンに合わせた焚き火を楽しんでください。
Text・Photo:GGGC
ダイナミックな炎を楽しみたい人は、深型の焚き火台がオススメ
大きな炎を楽しみたい方は、薪が崩れたときも安心な深型の焚き火台をチョイスしてください。
キャプテンスタッグ ヘキサステンレス ファイアグリル
●サイズ:475×410×300mm
●収納サイズ:570×470×60mm
●重量:3.8kg
●材質:ステンレス鋼
●収納サイズ:570×470×60mm
●重量:3.8kg
●材質:ステンレス鋼
コールマン ステンレスファイアープレイス3
●使用サイズ:約41.5×46.5×34.5cm
●収納サイズ:約41.5×30.5×15.5cm
●重量:約5.7kg
●材質:ステンレススチール
●収納サイズ:約41.5×30.5×15.5cm
●重量:約5.7kg
●材質:ステンレススチール
じっくりと炎を育てるなら、浅型の焚き火台がオススメ
薪の組み替えをしやすい浅型は、焚き火をじっくりと楽しみたい人に最適です。
ユニフレーム ファイアグリル
●サイズ:430x430x330mm
●材質:(本体)18ステンレス (焼き網)鉄・クロムメッキ
●重量:2.7kg
●収納サイズ:380x380x70mm
●材質:(本体)18ステンレス (焼き網)鉄・クロムメッキ
●重量:2.7kg
●収納サイズ:380x380x70mm