山岳雑誌などでは登山用パンツにはまだまだロングパンツが推奨されていますが、ULハイカーの定番といえばやはりショーツ!
4月、やっと暖かくなってきた頃から、10月、かなり寒なってきた頃まで、街でも山でもずっとショーツを履いていたいのがハイカーという生き物。そのショーツ愛には、もはや宗教的な情熱さえ感じられるほど。
そんなULハイカー御用達ショーツといえば、Patagonia の大定番 Buggies Shorts があります。サプレックス・ナイロンのタフでしなやかな履き心地、股下13cmの軽快なシルエット(近年は18cmモデルもあり)、豊富なカラーバリエーション、メッシュインナーを装備して水着としても着用できるなど、ハイキングからウォータースポーツから街着まで、「何をするにも頼りになる」超名作であることはご存知の通り。
が、このたび、そんな Buggies Shorts の牙城に肉薄するショーツを見つけてしまったのです。しかもお値段は Buggies Shorts の約6分の1で!
そのショーツはなんとあの H&M。Solid Color Swim Pants という名前でスイミングウェアのカテゴリーで売られているのですが、丈の短さといい、サプレックスナイロン風の素材感といい、完全にハイカー向けに作られてたとしか思えない一品なのです。しかも、お値段たったの1,190円!
自分がこのショーツを知ったのは、昨年、雑誌の取材で訪れた北アルプスの双六岳~三俣蓮華ハイキングでのこと。取材に参加してくれたローカスギアの尾崎”Jackie”光輝さんが履いていて、「きれいな色のショーツだな」と思っていたのですが、後日ギアリストを雑誌掲載用に聞いてびっくり。なんと H&M の水着だったとは! さすが「UL界のおしゃれ番長」と自分が勝手に呼んでいるジャッキーさん、その慧眼に恐れ入りました(筆者が撮影と執筆を担当し、ジャッキーさんを始め、グラフィックデザイナーのジェリー鵜飼さん、山と道の夏目彰さん、イラストレーターのジュン・オソンさんという豪華メンバーで訪れたその山行の模様は、現在発売中の雑誌『ワンダーフォーゲル』2016年8月号に掲載されていますので、興味のある方は是非)。
その後、H&M を通りかかった際に早速購入。豊富なカラー展開に何色にするかしばし迷いましたが、よくよく考えたら1枚1,190円。とりあえずジャッキーさんも履いていたグリーンと、無難にコーディネートしやすそうなブラックを買って帰りました。
それから毎日のように履いているのですが、良いです、これ。もちろん、細部の作り込みや縫製の丁寧さは Buggies Shorts にはまったく及びませんが、日常的に履くぶんには何の問題もありません。そもそもこの手のショーツの快適性は素材とサイズ感によって成り立っている部分が大きいので、ナイロン製(サプレックスに近い素材だがおそらく別種だと思われる)+短めの丈というだけで及第点は軽くクリアしているというか、そもそも Buggies Shorts にクリソツなので、大きくは間違いようがないというか、そもそも、この値段のプロダクトにそこまで過大な要求をする方が間違っている。いや、むしろこのショーツの最大の機能性は、その値段にこそあるのです!
なにせ値段が安いぶん、ガンガン履ける。そもそもが水着でメッシュインナー付きなので、自分はパンツを履かず、街でもこれ1枚で履いてるのですが、これが夏にはすごぶる気持ちが良い。今では「なんでわざわざパンツとショーツを履く必要があるのだろう?」と思うほど。Buggies Shorts では1回履いただけで洗うのはちょっともったいない気がしていたのですが、この Solid Color Swim Pants なら全然OK。何せ、Patagonia のブリーフより安い! 4枚くらい持っていれば、夏の間ずっとノーパンライフを送れます。
そもそも、ULカルチャーには空き缶をアルコールストーブにしたり、ペットボトルを水筒にしたり、ゴミ袋をパックライナーにしたり、アウトドアの世界ではない場所からそれ以上に使えて、しかも安価なものを引っ張ってくる方がカッコいい、という美学があります。それに照らし合わせると、この Solid Color Swim Pants も充分UL的、ではないでしょうか?
ともあれ、「まあそんな御託はいいから、1,190円なんだからつべこべ言わず買っちゃいなよ!」というのが、偽らざる心境であります。
- 製品名
- Solid Color Swim Pants
- メーカー
- H&M
- 価格
- ¥1,190(税込)