【自腹インプレ】腕時計型 ALL IN ONEの GPS。GARMIN epix J

【自腹インプレ】腕時計型 ALL IN ONEの GPS。GARMIN epix J
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この度、以前に紹介したGARMIN epix J を入手し筑波山でテストしてみました。サイクリングやランニングなど多用途に使える GPS ですが、登山やトレッキングでの利用をレポートしたいと思います。

この epix J の最大の特徴は、腕時計型 GPS ながら地図が搭載されていること。外観は、四角いディスプレイが個性を主張。アウトドアウオッチは丸いデザインが主流のなか、ゴツい印象を受けます。しかし、大きさは縦横50.8 x 53.3mmで重量は約85gですから、実際には手につけてもアウトドアウオッチに比べ違和感はありません。

地図が内蔵されている本機では、地図情報に含まれる道路情報を利用したナビゲーションも可能。一方で、従来の腕時計タイプ同様に心拍計や自転車向けセンサーと接続可能で、運動の行動履歴を保存し、最大酸素摂取量や消費カロリーなども計測できます。いわば、ナビ的なGPSとログ取得主眼のスポーツウォッチの二つをドッキングした製品です。

BaseCamp で登山道のルートを設定。高低差の視覚化も可能

BaseCamp で登山道のルートを設定。高低差の視覚化も可能

epix J には日本登山地形図 V3 と日本詳細道路地図(City Navigator)の二つの地図がインストールされています。PC に接続し BaseCamp を利用すれば、内蔵地図を閲覧できますし、行動記録も保存・編集が可能です。今回は、事前準備として筑波山の近辺を表示し、ナビゲーションルートを BaseCamp で計算しました。「登山」の設定にして地図の登山道に沿う形にルートが設定されています。せっかくなので、このデータは本機に転送して、現地で呼び出せるようにしました。

ナビゲーションすると、ルートと登山道とのズレも

では、本題のフィールドレポートに進みたいと思います。コースは筑波山神社からスタートし、ケーブルカー沿いに進んで男体山に登り、女体山をへて弁慶茶屋跡から筑波山神社へ戻る周回ルートです。

スタート地点の神社でアクティビティモードの登山に移行し、登山道に入ったところで、事前に設定したコースを呼び出してナビゲーションも開始します。地図上には、内蔵地図の登山道上にナビのルートと現在位置が表示され、ページを切り替えると所要時刻や到達距離も分かります。が、ケーブルカー沿いの登山道を進むと、頻繁に「コースオフ」や「オンコース」という表示が出ます。樹林帯のコースだからか、時たまGPSでは設定ルートを外れているようです。実際に、地図表示で確認しても、ズレていることは一目瞭然です。もっとも、目前の登山道は迷うことなく明瞭に続いていますので(筑波山ですから当たり前ですが)、道なりに進みます。なお、このズレは山頂まで発生し、ルートと目の前の登山道が乖離していた箇所がありました。

男体山山頂での現在地表示は地形からGPS補足位置は合っているが、山頂の登録ポイントにズレがあった

男体山山頂では地形から判断するとGPS補足位置はほぼ一致していたが、山頂の登録ポイントにズレがあった。さらに、水色の行動履歴は地図の登山道から外れている。

事前に設定した登りコースが終わったため、残りは単体でナビゲーションをすることにしました。まずは女体山を目標に設定し、女体山に到着したら筑波山神社を目的地に再設定し、下山します。

なお、登山アクティビティでは、直行ナビがデフォルトで設定され、地図の登山道をルートとしたナビゲーションにはなりません。もちろん、設定を変えれば登山道をなぞるナビゲーションも可能です。今回は、比較も兼ねて直行ナビで利用しました。直行ナビでは目的地の方向や直線距離が表示されます。当然、登山道の距離ではないため、あくまで参考ですが、歩き始めると到着時間も適宜修正されていくので、コースタイムから予測される時間と近くなり、目安になると感じました。

また、ルート上が否かを判断しないため、「コースオフ」や「オンコース」の表示は消えました。地図内蔵なのだから、それを活かして道なりのルートナビ使うのがいいのではと当初は思っていました。ですが、フィールドで使ってみて、登山目的であれば、事前にコースタイムや大まかなルートは把握した上でしょうから、むしろ直行が便利と感じました。

樹林帯で頻繁に発生した「オフコース」表示とログから表示可能な高度グラフ

女体山から登山道をマイペースに下り、無事に筑波神社に戻って下山。ナビゲーションを終了させ、アクティビティもストップさせ保存しました。行動履歴は、総上昇量・総降下量などに加えて、高度や温度、気圧変化はグラフ表示も可能です。なお、ディスプレイはバックライトなしで非常に明るく見やすかったのが印象的でした。日没後はバックライトが必要ですが、昼間は基本的にバックライト点灯させる必要はないと思います。

GPSでは電池の消耗が気になりますが、100%でスタートし、男体山山頂で86%、下山口で70%でした。ゆっくりとした行動スピードな上に食事休憩も挟んだため、約6時間かかったのですが、この感じであれば日帰りなら十分に持ちますし、一泊二日でもなんとかなりそうです。なお、充電には専用ケーブルが必要ですが、USB 接続のためモバイルバッテリーから充電可能。より長期の山行でも問題はありまません。

赤が地図上の登山道、薄墨の軌跡がepixJ、黒線がDAKOTA20。GPSの補足位置のズレが分かる

帰宅後、筑波山でのトラックデータを BaseCamp で表示してみました。比較対象として持参した GARMIN Dakota20 のログも重ねてみましたが、二つが重なっているところもあればズレている箇所もあります。このトラックデータと地図を見る限りでは、樹木のない尾根では三者が一致しているのに対して、樹林帯ではズレが発生していることが一目瞭然。epix J と Dakota20 の精度は大差ないですが、最大で30m程度ですから、実用的には問題ない範囲でしょう。

ナビをしていて「コースオフ」と表示されると気になりますが、縮尺を上げて表示すればほぼ重なっており、登山やトレッキングのレジャー用途であれば大した問題ではないともいえます。特に、epix J ではその場で地図も確認可能なため、地図と周囲の地形を照らし合わせれば、自分の位置とルートは分かります。GPS の位置情報がズレているのか、地図がズレているのか……その判断は他の腕時計型 GPSでは地図表示不可能なため難しいですが、本機では容易でしょう。

「全部入り」だからこその何でも出来る安心感

フィールドで使用してみてのインプレッションをまとめましょう。

アウトドアウオッチの基本となる ABC(高度計、気圧計、コンパス)を全て搭載した上での地図内蔵 GPS ですのでこれ一台で全てが済むのが特徴。地図内蔵のため単体でナビも出来ますが、ナビを使わない、ないしルート設定をしない直行ナビでも十分に使えるのがメリットです。むしろ何も準備もしなくても使えるのが利点です。

他の腕時計型 GPS は地図がないため事前設定したルートやポイント向けのナビしか出来ませんが、本機は現地で地図ベースのナビが可能ですし、ナビをせずとも現在位置確認と地図が見られるのは強力です。ルートを当日変更しても対応でき、柔軟に利用できることでしょう。なにより、時計はトレッキングの必需品。GPSを追加で持参すると重量増となりますが、腕時計タイプなら荷物は増えません。ウルトラライトな山行にはぴったりでしょう。

私個人のインプレッションはともかくとしても、ライフログ重視のスポーツウォッチ的使い方と、GPS的使い方の両方が出来るため、ユーザーに応じて活用できます。私は現地でルートを変更することも多く、GPS寄りの利用が主眼のため、上のような感想を持ちましたが、様々な要望に応えられるのが、ALL IN ONEの本機の懐の広さなのではないでしょうか。

製品名
Epix J
価格
¥89,000(税別)
メーカー
Garmin
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