田中ケン氏連載企画:アウトドアで人生が変わった『僕のターニングポイント・イベントという仕事編』

メディアを通して終わり、これに”?”が点った

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アウトドアを仕事にするようになって20年以上の月日が経過した。もともとモデルあがりの僕は(今更こんな話をするのは恥ずかしいが、以前はモデルとしてファッション雑誌や広告物などスチールの仕事を中心に活動していた)、雑誌などの媒体で自分のスタイルのアウトドアを表現していた。そこから少しずつテレビやラジオなどの仕事、最近ではWEBでの仕事など様々な媒体で仕事をさせていただいている。

こういった媒体の場合、自分のスタイルや考え方を発表はできるのだが、どうしても一方通行になってしまう。人の意見を聞くこともなく(まぁ、かなりいろいろ言われることはあるのだが)、まさに自己欲求の実現である。一方的に発表してそれで終わり!この感覚に”?”がつき始め、リアルな体験を通してお客様と結びつきたいなと思ったのが今からちょうど20年ぐらい前。

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そんなタイミングでアウトドアクッキングのデモンストレーションの仕事が入ってきた。住宅展示場のイベントスペースでの催しだ。自分のスタイルのキャンプシーンを展開し、その前でアウトドアクッキングをデモンストレーションし、試食してもらうという言ってみればベタな内容だ。確か1日2回のプログラムだったはずだ。初めてこのようなお客様を前にしてのイベント。与えられる時間は1回30分。僕は数日前からイベントの準備をし、自分なりに30分の構成や料理のレシピなどを考えた。完璧だった。いや完璧だった筈だった。



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当日、住宅展示場がOPENする前に現地入り。早速、準備に入る。自分の考えるアウトドアスタイル、キャンプスタイルを表現した。新聞の折り込み広告を確認すると「快適生活研究家田中ケン氏、来る。アウトドアクッキングデモ!」写真付きで書いてある。ここまでは完璧だった。

少しの緊張と楽しみを持って時間を待った。30分前、お客さんが一人もいない。15分前、まだ誰もいない。5分前、やっと1人。さぁ、スタート!お客さんはたったの3人だった。恥ずかしかった。悲しかった。でもいただいた仕事、一生懸命やった。2回目も同じような人数だった。しかし、人数が少なかったことで、お客様とまさにマンツーマンのように話ができた。自分が考えるアウトドアのスタイル、テクニックなどについて話しができ、伝えることができた。人数の少ないこのような仕事ほどつらいものはない。が、何かこのようなお客様と話しができるイベントという仕事に楽しさを感じた瞬間だった。

時はキャンプ低迷期。自分が信じた道の先には・・・

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今でこそアウトドアがブームのようになり、様々な場所で様々な形態のアウトドアイベント、雑誌、テレビ、WEB、などなど目にしないことがないほどだが、アウトドアが仕事になった今から20年ほど前は、キャンプはまさに低迷期だった。僕の仕事もなかなかきつかった。雑誌社やテレビ局、その他の業界関係者にいろいろな提案をしても相手にしてくれることがなかった。手を変え品を変え、提案し続けるがどこも相手にしてくれることがない。

途方に暮れているときにある会社からイベントを一緒にやりませんか、という誘いがあった。僕は2つ返事でこの誘いを承諾し、イベント実施に向け動き出した。ただこの時期、キャンプは低迷期。どうするか?そこでひらめいたのが犬と一緒のキャンプイベントだった。このころ、ちょうどレトリバー系の犬が流行っていた。しかし今でこそ、犬と一緒に泊まれるホテルやカフェ、レストランがあるがその時はまだ皆無だった。飼い主は愛犬をどうするか悩んでいるときだ。完璧な企画だ!僕は裏付けのない自信に溢れていた。犬とのアウトドアイベント“OPEN AIR FESTA!!”がスタートした。

最初に選んだキャンプ場は福島にある大きなキャンプ場、サイト数は100以上。ここを貸し切ったのだ。目の前には人造湖もありカヌーが楽しめる。湖の周辺にはトレイルもあるので自然の中で散歩もできる。キャンプビギナーの方のためにコールマンさんにギアをお借りしてキャンプスクールも企画した。夜には自慢のアウトドアクッキングを披露し、パーティ!完璧な内容だった。100組のお客様と犬たちが集まる。かなりの迫力になるはずだ。そう思って当日を迎えた。なんとお客様は20組とちょっと・・・大失敗だった。

まだキャンプは早かったのかな・・・そんな反省をもとにキャンプではなくてディキャンプにすることにしてイベントを続けた。2回目は埼玉の公園の一部を貸切、ある出版社と組んで開催にこぎつけた。なんと400人のお客様と200匹以上の犬たち。大成功だった。すごい迫力だった。涙が出るほどうれしかった。こうして1年で数回のディキャンプイベントを実施し、満を持して泊まりのキャンプイベントをもう一度開催した。もちろん、1回目に開催したキャンプ場を借り切った。結果は30と数組。まだまだキャンプが低迷期であることを痛感した。それでも“OPEN AIR FESTA!!”は約10年間やらせていただき、最終的には泊まりのイベントでも毎回200人弱のお客様が参加してくれるまでに成長した。何よりもこのイベントのおかげで今僕がやらせていただいている北軽井沢のキャンプ場“outsideBASE”に出会ったきっかけであるのだから、やってよかったと今でも感謝している。

ついにやりたいことが現実に!outsideTOUR・TOKYO outside Festivalという2つのカタチ

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飽きっぽい性格の僕は次のことに動き出した。お祭りではない、お客様との距離をもっとなくし、もっとアウトドアを楽しめるイベントをやりたい。そう思って立ち上げたのが今でもやらせていただいている“outsideTOUR”だ。トレッキングやカナディアンカヌー、ロッククライミングやカヤックで川下りなどを楽しんでもらいみんなでキャンプを楽しむ。そう、必ずキャンプをしてもらうのだ。食事は僕たちスタッフが用意する。食事を作る時間などの手間を省き、思いっきりアウトドアを楽しんでもらう。アクティビティ&キャンプが基本だ。それとは別にキャンプビギナー向けにキャンプスクールも開催している。

こんなに楽しいアウトドア、キャンプを何でやらないのだろう?チャンスがなかったり、不安だったりではじめの1歩を踏み出せない人たちに、少しでもアウトドア、キャンプの楽しさを伝えられたらと思う。このoutsideTOURは今では年に10回、開催させていただいている。



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現状に満足できない僕は、北軽井沢のキャンプ場“outsideBASE”を初めて5年目の年に、何か面白い事をやりたい!もっとアウトドアを知ってもらいたい!アウトドアを楽しんでもらいたい!と、今までにない「都市型“体験型”イベント」を、というコンセプトで2013年に“TOKYO outside Festival”を開催した。

このイベントの一番の特徴は、いわゆるアウトドアプログラムだけに特化するのではなく、様々なアクティビティやワークショップを楽しんでもらうこと。体を動かすアクティビティはもちろん、インドアプログラムも青空の下ならまた違った魅力を発見できる。出展ブースもアウトドアメーカーをはじめとするギアブランド、ウェア、クラフト、食品や飲料などたくさん用意し、イベント会場がまるでおもちゃ箱のように丸1日楽しめる場所にしたい。そんな思いで開催した。

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1回目は東京の豊洲にあるWILD MAGICというキャンプ場を貸切り、出展社様45社で3月の最終週末にスタートした。が、が、がである。なんと3月というのにその年一番の冷え込みに見舞われる。何と目標を大きく下回る来場者。僕は出展社さんに頭を下げて回った。意地がある。というより、これが僕らしいのだ。キャンプ場もそうだった、開拓者の精神でこのイベントを成功させようと誓った。2回目からは新宿の中央公園に場所を移し、2016年の4回目には135社の出展社様約35,000人の来場者で盛り上がるまでに成長することができた。2017年も新宿中央公園で3月25日26日に開催することが決定した。昨年以上にパワーアップして、大きなおもちゃ箱のイベントになるようにと日々面白いことを考えている。

イベントプロデューサーとしての仕事は、20年以上前の、住宅展示場での3名のお客様に向けてのイベントが僕のスタート。今では小さいものからツアーを入れると年間40回以上携わっている。この仕事は大変だが、20年前に感じたお客様に直接メッセージを残せるそんなイベントが、僕の仕事の中で一番楽しいものなのかもしれない!

もっと楽しいことはないか日々探している僕は、来年の2017年さらにみなさんに喜んでもらえそうなことを考えいる真っ最中だ。今はまだ言えないが、それは乞うご期待ということで!!

 

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