ハイカーの知恵がつまった絶妙サイズ。TRAIL BUM CTタープ

ハイカーの知恵がつまった絶妙サイズ。TRAIL BUM CTタープ
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昨年立ち上げたばかりのブランド TRAIL BUM のラインナップに、ザックとサコッシュに続く新製品としてタープが加わります。

TRAIL BUM の道具は、いずれもトレイルでの生活をこよなく愛する日本のハイカーたちのアイディアをベースにしたものです。彼らが自作して実際に使っていたギアに、トレイルで得た知見をフィードバックし、製品として具現化しています。

※編集部注: 本稿は土屋智哉さんの談話をもとに、編集部が文章化しています。

実際に、昨年発売したザックの BUMMER と STEADY は日本初のトリプルクラウナーである舟田靖章くん、サコッシュの TURTLE は Hiker’s Depot の長谷川晋が使っていたものをベースに、それぞれ製品化したものでした。そして新たに発売するタープは、わたしが2011年の夏にコロラド・トレイルを歩いたときに自作し、それから5年来ずっと使ってきたものをもとにしています。

日本で使いやすいタープのサイズを追求する

これを自作した動機は、一般的なタープのサイズに対する不満でした。タープの基本となるサイズは150cm×240cmです。米軍のポンチョなどが元になったこのサイズはナイロン生地の用尺の関係もあり、最もミニマムかつスタンダードなサイズといえるでしょう。この大きさでも雨をしのぐには必要最低限とはいえますが、停滞するにはちょっと居住性が低い。

それより大きいサイズのタープとなると、これを2つつなげた240cm×300cmのものが主流です。雨の吹き込みをほぼ防ぐことができ、天井高ふくめた内部空間に余裕がもたせられるので、長期使用においても快適さをキープできます。タープキャンピングをするアメリカのスルーハイカーも、このサイズを選ぶことが多いです。しかし、そのぶん設営には広い面積が必要なので、日本の幕営地事情を考えるとやや扱いにくいサイズでもあります。

土屋さんが自作したCTタープのベースとなったモデル。ほどよい居住空間の広さに注目。

土屋さんが自作したCTタープのベースとなったモデル。ほどよい居住空間の広さに注目。

そこで、150cm×240cmよりちょっと大きくて、240cm×300cmよりちょっと小さい、中間のサイズがあればいいよなあ……と考えて、200cm×280cmのフラットでシンプルなタープを作ってみたのです。実際にコロラド・トレイルを歩いた際にテストを重ねたところ、ソロで使うには風雨の吹き込みも抑えられ、かつ十分な広さを確保できるジャストサイズでした。ちょっと無理をすれば2人でもはいれますので、いわゆる山岳テントの1〜2人用という感覚です。

こちらもプロトタイプのもの。ハンモックをしっかり覆うサイズ。

こちらもプロトタイプのもの。ハンモックをしっかり覆うサイズ。

単体でタープとして使うのはもちろん、ハンモックと組み合わせる場合にちょうどいい対角線の長さがとれることも大きな特徴です。タープ付きのハンモックを買ったものの、付属のタープがちょっと小さいと感じていたこともあり、2011年以降はハンモックを使用する際にもこのタープを併用してきました。タイアウトループを多めにつけて張りやすくしたり、四辺にバンジーコードを入れてテンション調整してたるみをとれるようにしたりと、変形の自由度も高くしてあります。

タープが広まりつつある今こそこのサイズで

ずっとこのタープを商品化したいと思っていたのですが、縫製してくれる工場を探すのに難航し、あっという間に5年が経ってしまいました。その間に FreeLight と共同開発した Swing Tarp は、このモデルの派生形ともいえます。Swing Tarp では、ギミックをわれわれ Highland Designs が、生地開発やオプションを想定したサイズ設定を FreeLight が担当しています。また昨年には Paago Works の Ninja Tarp のような、設営バリエーションを豊富にする多様なギミックを持つタープも発売されています。こうした意欲的なモデルの登場には、日本ではもっぱら渓流に入る人たちに親しまれてきたタープが、より広く用いられるようになった状況の変化が反映されているといえるでしょう。

こちらは製品版。自転車旅との相性もいい。

こちらは製品版。自転車旅との相性もいい。

ところが、上記の2モデルはいずれも約300cm×300cmのサイズで、ハイカーの目線でみるとやはりサイズが大きく感じられるのです。そこで「日本人がソロで使うなら、やっぱりこのサイズなんじゃないかな」という思いを新たにし、満を持して TRAIL BUM で商品化しました。ちなみに Swing Tarp と Ninja Tarp はテンションがキレイにかかるよう各辺にカテナリーカーブを入れていますが、CTタープはまっすぐなままで、ただの長方形です。というのも、このサイズでーカーブをいれると、設営時に裾からの雨風のふきこみが気になってしまうからです。タープのサイズと居住スペースとのバランスを考えて、シンプルなつくりにしています。

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パッケージにもこだわり、STOMACHACHE. という姉妹ユニットにアートワークを描きおろしてもらいました。彼女たちはもともと自分で家を建てたりする牧師である父親のもとに生まれ育ったそうで、そのクラフトマンシップを活かしてイラストだけでなくジンやTシャツなど様々な媒体でメッセージを発信しています。何かをつくることを愛するDiY精神は、ULハイカーやスルーハイカーたちのMYOG文化にも通じるものでしょう。このCTタープも、ぼくがサイズと細部を考えて生地を切り、妻に縫ってもらった道具をもとにしています。

ハイキング好きが山道具の店で「この絵はなんなんだろう?」と思ってパッケージを手に取ると、 STOMACHACHE. を知ってちょっと世界が広がるでしょう。逆に、このイラストに惹かれたアート好きな人が「TRAIL BUM ってどういう意味?ハイキングの道具にブランドや自作の文化があるの?」と関心を抱いて、クロスオーバーが起きるかもしれません。商品をつうじて、そういった可能性も感じてもらえたら嬉しいです。TRAIL BUM では、ただハイカーに道具を提供するだけではなく、ハイキング文化と世の中とがより広くつながっていくためのスタイルも模索していきたいと思っています。

製品名
CTタープ
重量
303g
価格
18,000円(税別)
ブランド
TRAIL BUM
購入
Hiker’s Depot ほか
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