今夏は例年以上に「熱中症」になりやすい!?
夏になると心配なのが熱中症ですが、日常生活でも起こりうるその危険が炎天下のキャンプならなおリスクは高いはず。そこで、キャンプで熱中症にならないための注意点や予防策についてドクターに聞いてみました。教えてくれたのは、この方
熱中症ってどういう症状?なぜ起こるの?
熱中症とは?
人は暑いと体温を平熱に保つために汗をかくのですが、夏の炎天下など高温ではよりたくさん汗をかき、体内の水分や塩分(ナトリウムなど)が失われてしまいます。これより発症する障害の総称が熱中症です。
なぜ起こるの?
通常体内の熱は汗をかくことで放出されるのですが、体温が上がり過ぎると調節機能が崩れて水分や塩分も失われてしまいます。
そうなると血液の流れが滞って体温が上がり、臓器が高温にされることで熱中症が引き起こされてしまうわけです。
熱中症は暑さで体温調節がうまくできなくなることで起こってしまうようですね。そして、2020年はある要因で例年以上にリスクが高いのだとか。
暑さに慣れていない今年の夏は、要注意!
2020年はコロナ禍による巣ごもりやテレワークが続いていたため暑さに慣れていない人が多く、梅雨明けとともに一気に暑くなると熱中症が発生する確率が高くなる恐れがあります。
思い当たる方も、いるのではないでしょうか。そして気になるのは、真夏の炎天下でキャンプをする場合。キャンプならではの熱中症対策としては、どんなことに気をつけると良いのでしょうか。
キャンプだからこそ気を付けるべき具体的なシーンとは
テントの中
密閉された湿度が高い環境だと汗は出ても気化(=蒸散)せず、体温がうまく下がらなくなってしまいます。汗はどんどん出るものの体溜まった熱はとれず、多量の発汗をすることがあります。
そうなると体の水分や塩分が不足し血液の流れも悪くなるので、湿度が高い環境では特に注意して水分・塩分補給を心がけましょう。
川遊び
一見涼しいようで熱中症の心配は無いと思われるかもしれませんが、川遊びは炎天下が多いため熱中症は十分起こりえます。水辺でも体温を上げないよう気を付ける必要があります。
夏のキャンプでとくに気を付けるべき熱中症。具体的な予防策について聞いてみました。
熱中症を防ぐには
1:環境と服装に暑さを避ける工夫を
一時的に休憩できるエリアを作ることが大事です。可能であれば、水のスプレーなどでミストエリアを作ると良いでしょう。
一番気温が上がる時間帯に影が確保できる位置にテントを建てたり、タープを使ってうまく日陰を作ることが重要のようですね。また、服装についてもポイントが。
炎天下のキャンプでは、服装は薄手で通気性の良い素材が理想的です。色も、熱を集めにくい白が良いでしょう。また、通気性の良い帽子をかぶることも大事です。
日陰で風があるところでは肌の露出をし、皮膚からの熱の放散を多くすることも心がけましょう。
2:「どんな人が熱中症になりやすいか」を知っておく
背が低く地面の照り返しを受けやすい子どもは、熱を体の外に出す力が未熟。このため熱中症になりやすいので要注意です。また、高齢者や糖尿病の方は喉が渇いていても気付きにくかったり、生活習慣病や皮膚疾患・肥満の方は暑さに弱い傾向にあります。
日頃の水分不足や睡眠不足、アルコール飲用後の脱水も熱中症リスクを高めることを認識しておきましょう。
3:医療機関へかかることを想定した準備を
熱中症患者が出てしまった場合、一刻も早く対処するため近隣の医療機関を調べておくことも大事です。
ファーストエイドキットと一緒に、健康保険証は必ず携行しておくようにしましょう。
4:日頃から暑さに慣れておく
可能であれば、キャンプに行く2週間くらい前から「暑さに慣れておく(=暑熱順化)」のも予防に効果的です。やや暑い環境で、ややきついと感じる強度の運動(ウォーキングなど)を毎日30分程度続けると、体が次第に暑さに慣れていきます。
5:太い血管を冷やして体温を下げる
うちわや携帯用扇風機で扇いだり、冷たいペットボトルや氷で太い血管がある部位(首横・脇下・太股付け根)を冷やして体温を下げることも効果的です。
また、今年はコロナウイルス対策のため屋外でもマスクを着用する方が多いはず。マスクも、濡らして使う「ウォーターマスク」のような熱がこもらないものが良さそうですね。
6:塩分も補給できる飲料を確保する
こまめな水分・塩分補給は、予防の大前提です。熱中症予防としては塩分濃度0.1~0.2%程度の水分補給が推奨されています。
この水分・塩分補給が何より重要だそうですが、ただ何となく摂るのではなく、より効果的な方法があるのだとか。詳しく教えていただきました!
より効果的な水分補給「点滴飲み」
1時間にコップ1杯(200ml)を目安にこまめに継続的に飲用する「点滴飲み」をオススメしています。尿が頻回にならない程度、かつなるべく飲む回数は多いのが理想です。
飲むのはただの水か、それともスポーツドリンクが良いのでしょうか?
汗で失われる水分・塩分を補給するため、“汗の組成に近い熱中症対策飲料”を選ぶのが良いでしょう。日頃の水分不足は熱中症の呼び水となるため「点滴飲み」はキャンプの前日や、汗をかく前から開始すると効果的です。
ここまで予防について学んできましたが、どんなに対策をしても熱中症になってしまうこともあり得ます。そうなったときの対応についても覚えておきましょう!
それでも熱中症になってしまったら
どんな症状が起きたら熱中症を疑うべき?
主に次のような症状で、Ⅰ→Ⅱ→Ⅲの順で危険度が上がります。基本は日常生活と同じですが、キャンプはエアコンのない環境で体温を下げることができず汗も想像以上にかくため、十分注意が必要です。
気づかぬうちに重度まで進行していた、なんていう事態も起こりえる熱中症。大人はもちろん、ファミリーキャンプなどでは子供についての心配もありますよね。
ちなみに子供ならではの症状、というのはあるのでしょうか?
子供は大人よりも熱中症になりやすい
子供は汗腺が未発達で熱しやすく冷めやすい特徴があります。外気温が体温より高かったり輻射熱が大きい炎天下では、体温調節(降下)が追いつかず体温が上がってしまうことも。
大人よりも熱中症のリスクが急増するので、注意が必要です。
熱中症になってしまったときの正しい応急処置は?
Ⅰ度(めまい・失神・筋肉痛・筋肉の硬直・大量の発汗)の場合
1人にせず、様態急変に備えて付き添いを置くこと。また、日陰など風通しよく涼しい場所で脱衣をさせ、水分・塩分を補給してあげましょう。
Ⅱ度(頭痛・不快感・吐き気・嘔吐・倦怠感・虚脱感)の場合
I度の症状と同じく日陰など風通しよく涼しい場所で脱衣をさせ、水分・塩分を補給します。虚脱・倦怠感が強ければ、キャンプ場から最寄りの病院へ搬送を。
Ⅲ度(意識障害・けいれん・手足の運動障害・高体温)の場合
呼びかけに応答しない場合は、躊躇せず直ちに救急隊要請(119)を。救急車が到着するまでも、冷たいボトルや氷で体(首横・脇下・太股の付け根)を冷やすことが大事です。
この段階では誤嚥により気道に流入する恐れがあるので、無理な水分・塩分補給はしないようにしましょう。