アウトドア版のカッターナイフ誕生!?新ブランド「オルファワークス」
カッターメーカーとして有名な「オルファ」から、アウトドア向けの新ブランド「オルファワークス」が誕生! 2020年上半期で一番話題となったナイフなのではないでしょうか?画像左は小型の替刃式ブッシュクラフトナイフ BK1、真ん中は替刃式フィールドノコギリ FS1、右は替刃式フィールドナイフ FK1。どれも価格帯は1,300~2,000円(税別)。2,000円以上の価格帯が多い他メーカーのアウトドアナイフに比べ、かなりお手ごろです。
割とリーズナブルだし、替刃式ってどうなの?
リーズナブルですが、アウトドアナイフとしては本当に信用できるのか。また、果たしてカッター特有の替刃式の意味はあるのか、刃の厚さも薄くはないのでしょうか?フィールドでどれくらい使えるのか!?実力を調査
実力を深く知るには、ナイフに精通したアウトドアマンの確かなレビューが必要。ということで、今回はネイチャーインタープリター(森と人をつなぐ自然体験指導者)として活躍する長谷部雅一さんに使用してもらいました。
過去さまざまなナイフに触れ、実際に使い分けてきた長谷部さんはどんな評価をしてくれるのでしょうか?
オルファワークス共通・3つの「優れたポイント」
①手になじみやすく持ちやすい
替刃式フィールドナイフ FK1、替刃式フィールドノコギリ FS1の2つは、ゴム製のグリップ部分が付き形も手になじみやすい曲線。かなり持ちやすいですね。
小型の替刃式ブッシュクラフトナイフ BK1も、厚みはないですが縁と角が丸く加工してあるので握りやすく、女性や子どもの手のサイズにも合っています。
②軽量ながら丈夫なつくり
替刃式ブッシュクラフトナイフ BK1は約50g、替刃式フィールドナイフ FK1は約80g、替刃式フィールドノコギリ FS1は約130gと、どれも非常に軽量。長時間持っていても疲れにくいですよ。
市販のカッターナイフとは違い、つくりがしっかりしているので多少ラフに扱ってもすぐに壊れたりはしないでしょう。
③刃が収納できて安全かつコンパクト
やはり刃を柄の部分に収納してコンパクトにできるのは嬉しいですね。また収納時もダイヤルを回して刃を固定できるため、小さい子どもが不用意に触ってケガをするリスクも減らせます。
3種とも、まさにカッターナイフとしての魅力が上手くアウトドアナイフに落とし込まれていますね。これだけでも十分アウトドアシーンで使えそうですが、まだまだプロに掘り下げてもらいましょう。
オルファワークス3種、それぞれのおすすめ使用法
それぞれの特徴とおすすめの使用シーン、また気になった点について長谷部さんにレビューしてもらいましょう。
「細かい作業向き」替刃式ブッシュクラフトナイフ BK1
まずは一番小型のブッシュクラフトナイフ BK1から。多用途に使えるという触れ込みですが、実際はどうなのでしょう。
クラフトナイフという名前の通り、コンパクトで細かい作業をするのにいいですね。刃に1.2mmの厚みがあるので、親指で押すようにして力を込めて木を削れます。
またこの楕円形になっている部分が、加熱して熱くなっている調理器具を引っかけて持ち上げられるので便利です。
食材カットにも有効なので、料理用のナイフとして使うのもいい。ただ刃には防錆油が塗布されているので、必ず防錆油を洗い落としてから使用してください。
気になった点としては、刃の有効範囲が小さいことが挙げられます。
刃を押して木を削る際、力が最も伝わるのは細工が施してあるあたり。なので刃先からの直線部分だけだと、力を入れにくく少し扱いづらくなってしまうんです。
ただ総合的に見ればやはり扱いやすいので、ナイフ初心者や子ども用としておすすめです。またクラフト教室などで使用するのもいいですね。
「誰もが扱いやすい」替刃式フィールドナイフ FK1
お次は替刃式フィールドナイフ FK1。一見通常のカッターナイフと同じように見えますが、違いはあるのでしょうか。
まずはグリップエンド(画像右端)に付いているツメですね。これはなにかをこじ開けたり、大きいネジの締め直しなど、いろいろと使えそうです。
あとは刃の波形加工。これによって滑りやすいペットボトルなどの素材や、パンなどの柔らかい食材のカットもスムーズにできるんです。
しかしメーカーとしては食品への使用は推奨はしていないようなので、もしも使うのであれば、使用前に刃についている防錆油を洗い流し、きれいに水分を拭き取ってください。この状態で食品をカットし、使用後は再び包丁用の防腐油などを塗りなおせばOKです。
気になった点はとくにないのですが、アウトドアナイフとしては、もうひと押しなにか機能があるといいかなという印象。
ただ、ロープを切ったり食材を切ったりと汎用性が高いので、シーンを選ばず誰でも使いやすいナイフですね。アウトドアナイフのスペアとして持っておくのもいいでしょう。
「初ブッシュクラフトのお供に!」替刃式フィールドノコギリ FS1
最後は替刃式フィールドノコギリ FS1。一番大型でアウトドア感の強いモデルですが、どの程度まで通用するのでしょうか。
やっぱりこのギザ刃が特徴ですね。「上目」という先端を四角形の刃にすることで、より削りやすくする本格的な仕様になっています。
実際に木を切ってみましたが、スムーズに切り進められました。一般的なノコギリよりも刃渡りが106mmと短めなので、初心者には扱いやすくちょうどいいですね。
気になった点としては、刃渡りが短く扱いやすくはなるのですが、やはり大きめの木には向かないところ。
快適に扱うならば、木の直径は5~6cmくらいが限度の範囲と考えましょう。
あとは刃の厚さが薄いため、曲がりやすく強度面に少し不安があります。ただ刃渡りは短いので、そこまで神経質になることはないでしょう。
初めてブッシュクラフトに挑戦したい人にうってつけですね。キャンプ場に行けば拾える小枝のサイズに対して、刃渡りが長すぎず調度いいので、ぜひこのフィールドノコギリで気軽にブッシュクラフトを楽しんでみてください。
持っていて「損をしない」パフォーマンスの高さ!
長谷部さんのプロの目線から3種類、すべてレビューしてもらいました。日常的に使い慣れたカッターナイフの要素が見事、アウトドアナイフ・ノコギリに落とし込まれ、初心者向けにハードルを下げてくれていますね。ぜひとも初心者にガンガン使ってほしい! そしてこれからの新たな製品展開にも注目していきたいですね。
TEXT:髙橋敦