あのモンベルが、ついにブランド初となる焚き火台をリリース!
確かな品質と優れたコストパフォーマンスで人気を誇る、日本のアウトドアブランド「モンベル」。ウェアからギアまで幅広い商品が扱われ、フリースジャケットやインナーダウン、シュラフなど、これまでに数多くの名作がリリースされています。
そんな多彩なラインナップで知られるモンベルですが、じつはこの春まで出していなかったアイテムが……! それが、焚き火台なんです。
そこで今回は、満を次して2020年新製品として登場した焚き火台「フォールディング ファイヤーピット」を徹底レビュー。なんでもこの焚き火台、前情報によると「燃焼効率がとにかく良い」とのこと。これは、試さない手はありません。
実践して分かった、驚きの結果を報告します!
まずは「フォールディング ファイヤーピット」の基本スペックをチェック!
こちらが、今回ご紹介するモンベルの焚き火台フォールディング ファイヤーピット 。焼き網、収納ケースが付属しています。組み立て・収納サイズは?
使用サイズは、3〜4人で囲むのにちょうど良いサイズ感です。本体には、丈夫でメンテナンスも簡単なステンレス鋼を採用しています。
収納時は厚さ5cmとスリムボディーなので、積載時のわずかな隙間にも収納できます。ためしに手持ちの収納ボックス(トランクカーゴ50Lモデル)に入れてみると、寝かせた状態でしっかり収まってくれました。
もちろん収納ケースも付いているので、焚き火台だけでも持ち運び楽々。本体と焼き網をすべて入れると重量は4.3kgです。
参考までに、定番焚き火台のユニフレーム「ファイアグリル」は重量約2.7kg。スノーピーク「焚き火台L」は5.3kgと、ちょうどその中間をとった重さといったところ。
超軽量タイプ! とは言い切れませんが、薄型の収納サイズも相まって、十分な携行性の良さを感じさせてくれるデザインです。
【これって本当に効果あり?】燃焼効率をアップさせる構造
冒頭でお伝えした通りこの焚き火台の最大の特徴は、燃焼効率が良いということ。なんでも「ドラフト効果」と「二次燃焼」を促す構造にこだわりがあるのだとか。
……難しい話に聞こえてしまいますね(笑)。とりあえず、火を入れる前に焚き火台を観察してみましょう!
パッと目に付くのが、深型にデザインされた燃焼室。そして下の方を見渡すと、いくつも空気孔があるのが分かりますね。この空気孔の出口は、どうも二手に分かれているようです。
安定した燃焼が続く深型デザイン
まずは、この短辺の空気孔。これは、一次燃焼に必要な空気の取り込み口。
深めにデザインされた燃焼室は、この一次燃焼で暖まった空気が上昇し、常に新鮮な空気を取り込もうとする現象「ドラフト効果」を発生させるのに好都合な設計とされています。これにより、焚き火で安定した薪の燃焼が続くのだそう!
煙や燃え残りも少ない?!二次燃焼を促す構造
さらに空気孔(赤矢印)はこちらにも! ここから入った空気は、二重構造になった壁の内部を通って暖められながら上昇。熱風となりが排出孔から飛び出します。
ここで先ほどの一次燃焼で燃やしきれなかった、煙の原因となるガスを燃やす「二次燃焼」を促してくれます。
図解でみると一目瞭然!
難しい話をすっ飛ばすと、この構造により効率よく薪が燃焼し続けてくれることで、煙や燃え残りが少ないっていう夢のような焚き火台なんです。
しかし実際に焚き火をしてみないことには、これらの「燃焼効率が良さ」が分かりませんよね。というわけで、その実力を試すべく実践スタートです!
「フォールディング ファイヤーピット」を実際に使ってみた!
簡単すぎる!組み立ては、たったの3秒
モンベルの「フォールディング ファイヤーピット 」は、燃焼室とフレームの一体型。そのため組み立てがとても簡単! 本体をガバッと開いて、ロストルを底に設置するだけ。難しい工程は一切ありません。
※ロストルの向きに要注意
ただし組み立て時に、注意することが! それは本体の底に設置するロストルの向き。しっかり空気の通り道を作るために緩やかなV字デザインのロストルは、山が上になるように設置するのが正解。
というのも、まさに筆者はここを見落としており、反対向きに設置し使用してしまいました。お恥ずかしい。皆さんは、くれぐれもお気をつけください!
火を起こしてみる
まずは何も考えずに火を起こしてみます。固形タイプの着火剤の上に、焚き付け用に細かく削った薪(針葉樹)をひと握り投入! 着火します。
すぐさま火が燃え移ってきたところで、さらに1本の薪を半分に割った中太サイズの薪(針葉樹)を3本入れます。
次に太めの薪を追加しようと手に取り振り返ると、すでに先ほど入れたばかりの薪が火柱を上げています。本当に火が回るのが早い!
続いて、試しに手首ほどの太さのある薪(広葉樹)を1本だけ投入。今回は、あえてこれだけの“少なめ”な薪の量で燃やしてみます。
ちなみに燃焼室には、最大長さ40cmまでの薪を入れることができるので、一般的にキャンプ場で販売されているものあれば、すっぽり収まりますよ。
そうこうしているうちに太薪にもしっかり火が……! ここまで着火剤に火を入れてから2分足らずです。凄い。
この日はほぼ無風で、正直「焚き火台に風を送らないと火が消えちゃうんじゃ?」なんて思っていたのですが、このフォールディング ファイヤーピットは筆者の安易な予想をいとも簡単に裏切ってきました。
せっかくなので、このまま最後まで様子を見届けます。
少ない薪でもしっかり燃える!燃焼中、イヤ〜な煙も出ていません
本格的に太薪が燃焼を始めました。たったこれだけの薪の量で、驚くほど炎の高さも出ています。煙もほぼ出ず、純粋な炎の美しさが際立ちますね。
焚き火台の中を覗くとムラなく全体に引火しているのが分かります。通常ならここで薪の追加をするところですが、とりあえずこのまま放置して、炎が消えるのを待ちましょう。
燃え残りは……?
こちらが鎮火した状態。確かに燃焼効率に優れているせいか、最後までしっかりと燃え尽きるので、燃えかすの量も一般的な焚き火台に比べると少なめな印象。
一旦灰捨て場まで焚き火台を持っていき、片づけ。灰の入った状態で焚き火台を運んでも、燃焼室の高さがある分、風で中の灰が飛ばされる心配がありません。これは地味に嬉しいポイントでした。
ひと通り終えてみて、焚き火の最中に「あーでもない、こーでもない」と薪を組み替え続ける必要がないほど、あっという間に燃焼が進んでいったことに衝撃を受けた筆者。
その底力をもっと試したくなり、ちょっと無謀な実験をしてみました。
【良い子はマネしないで!】焚き火台に容量いっぱいの薪を入れたらどうなるのか
さて、少ない薪でも豪快な燃焼を見せてくれたフォールディング ファイヤーピット。次は、そんな焚き火台に対して容量MAXの薪を投入したらどうなるのか、試してみます。使用した薪がこちら! 焚きつけ用に削った細薪(針葉樹)をひと握り分と、太薪(広葉樹)を5本用意。全て焚き火台に入れると、燃焼室の高さから薪がハミ出さない限界の量での燃焼実験です。
着火剤を入れ、焚きつけ用の細薪に火を入れます。通常焚き火を楽しむ場合は、もう少し火が回ってから太薪を少しずつ追加するのが正しい使い方ですが、今回は焚き火台の燃焼効率を試すべく、この超・種火の状態で太薪をズカズカ投入してみました!
※今回の使用方法は推奨されていないので、真似はしないでくださいね
太薪を計5本入れたところでパンパンに。三段重ね状態といったところでしょうか。ここで最初の焚き火の時には、全く出なかった煙が大量発生!
これには2つの原因が。ひとつは撮影当日、途中から小雨が降ったり止んだりな天候になり、薪を盛大に湿気させてしまったこと。
そしてふたつ目は、煙の原因となるガスを燃やし尽くしてくれる二次燃焼用の排出孔を薪でほぼ覆ってしまったこと。これではせっかく考え抜かれた構造が活かされず、煙が発生してしまうというわけです。
最初の焚き火の際に煙が出なかったのは、構造がしっかり働き、二次燃焼を促していたのだと再確認!
「この実験は見せられないな」と思っていた矢先、何やら端の方に炎の存在が……。
試しにこちらも時間を測っていたのですが、火種の状態から2分も経たずに端の方から火が上がってきました。並列に薪を並べ、空気の通り道もほぼ作らずにこの結果……信じられます?
次第に、火柱が高くなってきました。よく見みると、二次燃焼を促す排出孔の位置に沿って、薪が白くなり始めているのが分かります。
そしてこちらが下部の薪が燃えつき、全体に火が回り、燃焼室7分目ほどの高さまでの薪の量になった状態。圧倒的な火力で、二次燃焼によるスジのような炎の流れに、惚れ惚れしてしまいます。しっかりと二次燃焼が行われている証ですね。
正直無茶苦茶な実験をしたため、ここまでの結果になると思っていなかった筆者。もうこの焚き火台の虜です。
線を描くかのように流れる炎、美しいですね。
本当に見ていて飽きることのない焚き火台です。深型デザインの炉は、薪が燃え崩れ落ちる心配がないのも良いですね。
ここで念の為、正しい燃料の追加方法をお伝えしておきます。
正しい燃料の追加方法
①着火剤の上に燃料を置き火種を作ったら、徐々に大きい乾燥した薪を追加しましょう。②燃焼が進んだら、燃焼室の上部まで薪を積み込むことができます。ただし過剰重鎮してしまうと燃焼が不完全になり煙が発生するので注意!
③必要に応じて、燃料を追加してください。追加した際は、耐熱性のある器具を使い、火をかきたて空気の流れができるようにしましょう。
この後も存分に焚き火を楽しんだ筆者。炎が定着するまでのスピードが早く、火の手入れをし続ける必要がない燃焼効率の良さは、キャンプ初心者さんにぴったりなメリット尽くしだと実感しました。
別売りのゴトクを合わせれば、焚き火調理もできます
ちなみに今回ご紹介したモンベルの「フォールディング ファイヤーピット」。前述しましたが焼き網付きなのでBBQが楽しめるのですが、別売りの「クッカースタンド」を合わせれば焚き火調理も可能です。
シンプルなゴトクなんですが、本体の溝に固定できる設計なので調理中にズレることはありません。また溝は4箇所あり、左右、中央とお好きな位置にゴトクが設置できるようデザインされています。
ダッチオーブンなどの重い調理器具をのせることができ、暖を取りながら美味しいキャンプ飯を楽しめます。ただし、燃焼効率が良すぎるがゆえに、火加減の調整はやや難しめ。
調理する際は、小さめの薪をその都度追加して火力調整してくださいね。
「フォールディング ファイヤーピット」の詳細はこちら
「フォールディング ファイヤーピット クッカースタンド」の詳細はこちら
見た目以上の実力誇るモンベルの「フォールディング ファイヤーピット 」
パタンと折りたためる携行性に優れた焚き火台なのに、二次燃焼を促す本格的なギミック。初心者さんはもちろん、見惚れてしまうほどに美しい炎は、既に焚き火台をお持ちの方にも体感してほしいレベルでした。きっとこの焚き火台は、長く愛され続ける定番品となるでしょう!
揺れ動く炎を動画でもどうぞ!
動画では、よりリアルな燃焼の様子をお届け。美しい燃焼の様子をご覧ください。Text:GGGC
Photo:編集部