ロケットストーブがかっこいい!
シンプルかつ秀逸な構造により、少ない燃料でよく燃え上がり、煙が出ないと言われる「ロケットストーブ」。ネット動画などで見かけると、噴出する炎がとてもかっこいいんですよね。今回ピックアップするのはペトロマックスの「ロケットストーブ rf33」。焚き火台でしか木を燃やしたことのないキャンパーが、ロケットストーブをはじめて使ってみます。
「ロケットストーブ rf33」の構造を図にしたものがこちら。煙突効果を利用することは予想していましたが、断熱構造(熱がこもる構造)により、その上昇気流は強烈なものに。また燃焼筒内部では二次燃焼まで起こるのだとか。
この二次燃焼とは、ざっくり言うと「煙まで燃やす」ということ。煙が出ないと言われるのはそのためです。こいつはぜひとも使ってみたい火遊びギアですね。
「ロケットストーブ rf33」を借りてきた
先輩キャンパーが「ロケットストーブ rf33」を持っていると言うので、さっそく借りてきました。スタイリッシュなデザインが目を引き、コンパクトながら存在感の強いアイテムです。
サイズはΦ23.5×33cm、重量は7.5kg。
専用のケースが付属するようです。黒のファブリックに白いロゴ、ケースも硬派でかっこいいですね。
ケースにはショルダーストラップも付いていました。当製品は7.5kgとそこそこ重量があるので、これは嬉しい気配りです。
貸してくれた先輩の不注意でしょうか、ボディ側面が取っ手の形で押しつぶされていました。積載時は横からの圧力に注意が必要であると、身を持って教えてくれています。これでもまあ使用には問題ないとのこと。
細部をくまなくチェック
それではディテールを見ていきましょう。特に焚口(小枝など燃料を入れるところ)とその奥にある燃焼室をじっくりと観察していきます。
蓋付きの焚口
こちらが焚口、蓋が閉まっています。
蓋を上に開けると、何やら金属のプレートが出現しました。
引き出してみました。プレートの先端にツメが付いていますね。そして焚口の下部には、ツメを引っ掛ける穴が空いています。
このようにセットして使用するようです。燃料の木をプレートに置いて、焚口に送り込むというわけです。
燃焼室をじっくり観察
焚口から燃焼室を覗いてみました。まず2階建ての構造であることがわかります。1階は空気を取り込むためのフロアですかね。
2階・燃焼室の火床には無数の穴が空けられていました。1階からガンガン空気を吸い上げることでしょう。
アングルを変えて燃焼室の天井を観察。中央の大きな穴が燃焼筒で、ここからボディを貫いて炎が立ち昇ります。
燃焼筒の出口には五徳を搭載。本体も五徳も頑丈で、重いダッチオーブンを使用してもまったく問題なさそう。
こちらは取っ手。本体を持ち運ぶときに便利です……が、横方向から力が加わるとボディを凹ませてしまうので、積載時に思い出してあげたい存在です。
はじめてロケットストーブを使ってみた
さあ初点火!
杉の薪を細かめにバトニングし、燃料としました。焚口から差し込んで点火!
かなり細めに薪を割った甲斐があり、順調に燃え始めました。ときどき薪を押し込んでやることで、燃料を供給し続けることになります。
細かい薪、それもほんの一掴みだというのに、勢いよく炎が立ち昇ってきました。話に聞いた通り、すばらしい燃えっぷりです。そのうち煙もほとんど出ない状態に……!
横着したところ……
細かい薪を足す、その薪をときどき押し込んでやる……という工程が面倒になり、横着して太めの薪を投入。といっても、握って人差し指と親指がつく程度の太さですから、問題はないでしょう。
と思いきや、問題は大アリでした。煙がもくもくと出てくるようになり、いつしか燃焼室は熾火(おきび)の状態に……!
当製品のマニュアルによると、推奨される燃料は「指ぐらいの太さの小枝」。これはもちろんバトニングして薪を割ってもOKで、とにかく細い燃料を用意する必要があるようです。
というわけで、焚き火台と同じような感覚で太い薪を投入した結果、炎と意気が消沈してしまう大失敗となりました。素直に小枝や細い薪を用意することにします。
小枝集め&バトニングでしっかり準備
後日、再び「ロケットストーブ rf33」に挑戦!今度は念入りに燃料を用意します。まずは小枝を拾い集め……。
薪も丹念に丹念にバトニング。指ぐらいの太さをメドに、割り続けます。
どこまでも小枝で
いかにもよく燃えそうな、細~い小枝と薪をセット。
ガストーチで点火します。失敗した前回と同じように、すぐに炎が上がりました。
炎が顔を覗かせました。まだ煙が出ていますが、燃焼室が充分に熱くなると、二次燃焼が起こって煙が消えます。
ゴーッという音とともに、立派な炎が立ち昇りました。煙もほとんど見えない状態です。さあここで横着せず、燃料の継ぎ足しはどこまでも小枝のみで!
ちなみに「ゴーッ」と鳴るロケット的な音が、ロケットストーブという名称の由来だそうです。
お湯を沸かしてみた
500mlの水をクッカーに入れ、五徳に。どのぐらいで沸騰するのか試してみます。焚口の蓋は閉じることで、かえって燃焼効率がよくなるとのこと。
ほんの5分ほどでこの状態に。燃料は水の状態から追加していません。
アヒージョを作ってみました。スキレットぐらいじゃビクともしない安定感が、調理時には快適に感じられます。そして相変わらず凄まじい火力! もたもたと写真を撮っている間に、焦げが目立つ状態となってしまいました。
ロケットストーブのここがすごい!
すさまじい火力
最大の特長は火力でしょう。燃焼筒から飛び出してくる炎はパワー充分で、いわゆる焚き火台で同等の火力をつくろうと思ったら、それはそれは大きな火柱が立つのではないかと思われます。
それでいて煙が出ないというのも嬉しいですね……というか煙まで燃やした結果の火力であり、これはもう本当に申し分ありません。
すばらしい燃費
写真の右奥に写り込んでいる小枝。拾い集めるのにかかった時間は20分ほどでしょうか。両手でギュッと握り込んだら指同士がくっつきそうな、大した量ではない小枝。これらをすべて使い切ることなく、水500mlを沸騰させ、アヒージョも“食材が揚がってしまう”事態となりました。
苦労してバトニングした杉の薪は、ほぼ手つかず。すばらしい燃費の良さ、これもロケットストーブの見逃せない利点です。
気になった点は?
とろ火~中火が難しい
強い火力が特長である反面、中火やとろ火の状態にするのは慣れが必要だと思われます。薪を引いて火力を弱めると、そのまま火が消えてしまうのではないかという不安があり、ラジカルな火力調節ができませんでした。
もちろんうまく調節できているキャンパーもいるようなので、あくまでも「初心者には難しい」という話です。
暖房&明かりにはならない?
焚き火台のように暖を取ったり、明るさを利用したり……には向いていないようです。ボディに断熱性能を持たせているので、直の炎のように周囲をガンガン暖めるのは難しいかと。また炎は燃焼筒から勢いよく飛び出さないと露出しないため、揺らめく炎に照らされる行為とは無縁です。
まあこのへんは構造ゆえの仕様であり、当製品の弱点でも何でもないんですが、筆者と同じような初心者に向けて触れておきます。
これからは「ロケットストーブ」を使っていこう
以上、ペトロマックスの「ロケットストーブ rf33」を使って、ロケットストーブを初体験しました。ロケットストーブの炎には、キャンパーなら一度は体験してほしい迫力があります。木を燃やすという点では焚き火台と同じなのに、構造によってこんなにも違う燃え方をするのかと……。
この驚きはソロストーブの製品を使ったとき以来であり、感動的ですらありました。
構造上の要点を押さえれば、DIYで自作することも可能なロケットストーブ。しかし実際にキャンプに持ち出すことを想定すると、やはり既製品が無難でしょう。
借り物ではありましたが、「ロケットストーブ rf33」を煮炊きに使う贅沢は格別でした。もしも所有できたら、とてもリッチなキャンプサイトを構築できそうです。
今回使用したロケットストーブはこちら
ペトロマックス アウトドアロケットストーブ rf33
●サイズ:φ23.5×高さ33cm
●重量:7.5kg
●材質:本体=ステンエス・鋳鉄、ハンドル部=ステンレス
●重量:7.5kg
●材質:本体=ステンエス・鋳鉄、ハンドル部=ステンレス