車中泊の気になること。先輩車中泊キャンパーに全部聞いちゃいました!
ここ最近、アウトドアの新定番として注目されている車中泊。それを助長するように、自動車メーカーの新車発表会では”車内での寝泊り”を前提としたフルフラットシートモデルが続々とリリースされています。そんな流れを受け、あえて車中泊をやってみたいと思っている方も多いのでは? しかし車中泊に挑戦するには、具体的にどうすればいいのかイメージが湧かないという声もよく耳にします。
そこで気になってくるのが、車中泊を満喫しているキャンパーの実態。プライベートな空間である車中は、一体どんな室内カスタムが繰り広げられているのか。「寝るときは?」「ご飯はどうしてる?」と気になることは山積み。というわけで、車中泊キャンパーにフォーカスした新連載をスタート!
第1回目は、中古で購入した真っ赤な旧型ジムニー「JA22」でソロ車中泊を楽しむNAOさんを取材。気になる疑問をぶつけ、リアルな車中泊事情を赤裸々に語っていただきました!
絵になるクルマと思い出づくり。NAOさんの愛車ジムニー「JA22」
果たして彼女は、どうのような車中泊を楽しんでいるのでしょうか? まずは、愛車についてお話を伺います。
数ある車種の中でジムニーを選んだ理由は?
NAOさんが所有するジムニーは、95年式の「JA22」。軽自動車でありながら本格的なオフロード仕様が魅力で、中古市場で高値で取引されるほど人気のある車種です。愛車遍歴で言うと、「JA22」に乗るのはコレで2台目。クラシカルなルックスが可愛くて、4年ほど前に宮崎県の中古車屋さんで購入しました。この写真は、まだ買って間もない頃の一枚です。
ボディーのカラー以外は原型なし?!カスタムを楽しむのもジムニーの醍醐味
はじめて手にした「JA22」はほぼ純正のままで乗っていたんですけど、2台目は色々とカスタムを繰り返し、ボディーの赤以外ほとんど原型を留めていない状態です。
ルーフは自分で白に塗り替え、それに合わせてフロントグリルの塗装をカスタム専門店に依頼、ホイールは父に……(笑)。他にも、もともと黒色だった箇所はボディーの赤に統一しています。
内装もNAOさんの色に染められている様子。
木目調のインパネは、フローリング用のリメイクシートをリサイズして貼り付けたもの。
レザーのホルダーカバーとレバーシフトノブカバーは岐阜県にある「カネマツ工房(@knmt.ko_bo_)」さんにオーダーして作っていただきました。革製品が好きなので、お気に入りです!
「ナルディ」のウッドステアリングも「JA22」の内装と相性抜群。ウッドやレザーなど、車内全体がクラシカルな世界観に統一され、より洗練された一台に。
一見手の込んだカスタムに見えるこのペンドルトン風のシートカバーですが、じつは手芸屋さんで購入した布を接着剤と布用の両面テープで貼り付けただけ。「細かい作業が苦手」という方にもおすすめのカスタムです。
天井にはネットオークションで購入したパイン材をはめ込んでいます。
視界に入る面積が広いからこそ天井のカスタムも抜け目なく。プロショップにお願いできる施工も、こうやって自分の手でカスタムできれば愛着がより湧きそうです!
しかし、NAOさんがアウトドアを始めたのは半年ほど前。そう、車中泊前提でクルマをカスタムしたわけではありません。では、もともとアウトドア人間ではない彼女が車中泊を始めるきっかけはどこにあったのでしょうか。
車中泊スタイルについて
そもそも車中泊を始めたきっかけは?
もともとアウトドアが好きだったから「JA22」を選んだのではなく、「JA22」の映える場所で写真を撮りたいからキャンプに興味を持ちました。
でも、はじめてのキャンプとなるとイチから道具を揃えたり、テントを設営したりと色々大変そうなイメージがあったので、最低限のギアで楽しめる車中泊に挑戦しよう! と。きっかけは、すごく単純なものでした。
始めたての頃は冬が近かったということもあり、とにかく寒かったですね。でも、回数を重ねていくごとにギアを買い足し、車中泊の快適度はだんだんと高くなっています。
お気に入りの車中泊スタイルは?
最近はカーサイドタープを張ることが多いです。でも、天気が良いと結局こうやって外にテーブルやチェアなどをセットし、自然を満喫しています。
彼女が愛用するogawaの「カーサイドタープAL」は、車体のサイドだけでなく、リアゲートにも取り付け可能の汎用性の高い一幕。横開きのリアドアにも連結できるので、ジムニーには好都合です。
●素材:フライ/ポリエステル75d(耐水圧1000mm)、ナイロン70d(耐水圧1000mm)、メッシュ/ポリエステル、フレーム/6061アルミ合金
●付属品:タープ用吸盤フック2個、アンカーバッグ2袋、収納袋
休みが1日だけなら、ドライブがてらにクルマを走らせて荷室スペースでコーヒーを淹れたりキャンプご飯を作ったりしてます。日帰りの日は特にクルマが主体になるので、タープは張らず、持って行くギアも最低限なものだけ。
基本的に、何か決まったスタイルがあるわけではなく、キャンプ場であればタープなしのオープンスタイルも楽しんだりしてますね。
ゼッタイ外せない!車中泊を快適にしてくれるマストアイテムは?
車中泊のマストアイテムは、寝るときにつけるアイマスクと自作のマット。始めたての頃は薄手のエアマットを使っていたのですが、それだと寝づらく……。今は、すのこにウレタンを貼り付けたマットが必要不可欠です。
また、車中泊に限った話ではないんですが、カセットガスヒーター「カリフォルニアパティオ」も常備しているアイテム。もう、コレなしでは過ごせません!
ハイエースやワーゲンバスと違い、車内に十分なリビングスペースを確保できないジムニー。自ずと外にいる時間が長くなるため、車外で過ごす快適性も大事なようです。
●発熱量:1.1kW(950kcal/h)
●ガス消費量:0.80kg/hr
●連続燃焼時間:約3時間
●総重量:2.4kg
●サイズ(幅×高さ×奥行):280mm×230mm×210mm
さて、車中泊のマストアイテムを聞いたところで、やっぱり気になるのがジムニーの車中。寝室はどのような空間に仕上げられているのでしょうか?
車中泊の寝室を見せて!
助手席を倒し、自作のマットを2枚つなげてベッドにしています。フルフラットになる車種なら、倒したシートの上にマットを敷くだけでOKなんですが、ジムニーはそういう訳にはいかず……。なので、寝室を作るのにちょっとした工夫が必要です。
まずは、助手席のヘッドレストを外し、助手席を限界まで前にスライドさせたらシートを倒します。そして、シートの凹凸に合わせてクッションを置き、その上に自作のマットを。
あとは、シートと荷台スペースの段差をなくすように工具箱をセットしたら、もう一枚のマットを載せるだけ。これでベッドの完成です。
マットさえあれば、誰でも簡単に作ることができる車中泊用のベッド。脚の代用が工具箱なら、そのまま収納ボックスとしても活用できますし、一石二鳥です。
さて、車中泊に必要なのはベッドだけに非ず。「カーテン」もベッドと同じく重要なキーアイテムですよね。NAOさんはどんなアイテムを使用しているのでしょうか?
車中泊始めたての頃は窓にタオルを挟んで目隠しを作ったんですけど、今は自作したカーテンを。人目を気にせず寝られるので、かなり快適です。
車種によって専用シェードもありますが、彼女のようにカーテンを自作すればコスト面も抑えられますし、何より自分好みの一枚に仕上げられます。皆さんも、ぜひ真似してみてはいかがでしょうか?
車中泊でのご飯どうしてる?
時間がないときはカップラーメンとかでサクッと済ませることもありますが、基本的には車外にキャンプギアを広げ頑張って作っています!
あまりお酒が飲めないので、しっかりとした食事を作ることが多いです。
じつは、NAOさんの普段の顔は管理栄養士。そのため、料理のレパートリーは多く、蒸しパンや燻製などの手間暇かかる料理も難なくこなされていました。
いつもどこで車中泊してる?お気に入りの車中泊スポットを教えて!
私がよく行くのは、久住にある「ボイボイキャンプ場」と奥別府に位置する「志高湖キャンプ場」。どっちも大分県のキャンプ場です。基本的にソロで行くことが多いんですけど、最近は弟も車中泊を始めたので二人それぞれのクルマで一緒に行ったりもしています。
一部では道の駅で車中泊をするマナー違反が多発し問題になっていましたが、NAOさんのようにキャンプ場を利用すれば安心。炊事場やトイレも完備しているので心置きなく車中泊を楽しめますね!
ボイボイキャンプ場の詳細はこちら
志高湖キャンプ場の詳細はこちら
最後に、「これから車中泊を始めたい」という方にアドバイスをお願いします!
私と違い、“手軽に快適な車中泊を楽しみたい”のであれば、フルフラットにできる車種が断然オススメです。最近は、軽バンでもフルフラット仕様のクルマは多くなってますしね。ひと言で「車中泊」と言っても、目的によって車種選びをしたほうがいいと思います。
近年、車中泊用のレンタカーが続々と登場しています。もし興味のある方は、そういったサービスを使って“試し寝”することから始めてみるのも良いかもしれません!
ドライブ気分で始められる車中泊。これからの新スタイルにぜひ!
「ハードルが高い」と誤解されがちな車中泊。しかし、彼女が言うように車中泊はテント泊よりも気軽に始められ、自由度の高さも魅力のひとつです。クルマと場所さえあれば、予定に縛られず思い立った時にできるので、ぜひ皆さんもドライブ気分でトライしてみてはいかがでしょうか?TEXT&EDIT:GGGC