キャンプサイトをスマートフォンでうまく撮りたい!
テントもタープもキレイに張れたし、天気もロケーションも上々。なのに写真がうまく撮れない……。そんな歯がゆい経験はありませんか?
そこで今回はいわゆる“映える”写真撮影のテクニックを、アウトドア業界で活躍するプロのフォトグラファーに教えていただきました!
フォトグラファー 宿利(しゅくり)さん
キャンプサイトの上手な撮り方を教えてくださるのは、カメラマン歴約20年、保有するテントは20張以上というベテランキャンパーでもある宿利さん。
私物のキャンプ道具を設営していただき、撮影テクニックを指南してくれました。
宿利
普段の仕事ではもちろん一眼レフを使いますが、キャンプ写真をインスタグラムなどに投稿する際は、スマートフォンをメインに使っています。
ということで、一眼レフではなく身近な存在であるスマートフォンを使って、写真を撮るためのコツを教えていただきました!
ちなみにこの記事内で使用している写真はすべて宿利さんのiPhoneで撮影していますよ。
まず写真を撮る前に知っておくべき基本
撮影がうまくいかず悩んでいる筆者が、実際に教えてもらいながら色々試してみました!ぶれないようにしっかり構える
せっかくいい写真なのによく見るとブレている……。そんな失敗は誰しもあるはず。
特に暗い場所を撮影する場合はどうしてもブレやすくなるので、撮影するときはスマホを両手で持ち、できれば肘の位置を固定させましょう。
グリッド線を活用しよう
また、ほぼすべてのスマホには、水平、垂直を見るためのグリッド線の機能が備わっています。
まっすぐに写真を撮るのは基本中の基本ですし、これは後述する「三分割構図」で撮影する際にとっても便利。まだグリッド線設定をONにしてない方は、すぐに設定でONにしておきましょう。
太陽の動きを意識して「順光」と「逆光」を使い分けよう
この2枚の写真、構図は一緒ですが、ひとつ違う点があります。それはズバリ、撮影した時間帯。うえは午前に撮った順光パターン、したは午後3時頃に撮影した逆光パターン。
「順光」と「逆光」という言葉を聞いたことがある人は多いと思いますが、きちんと意識して撮影している人は少ないのではないでしょうか?
順光:被写体に対し、光が正面から当たっている状態。アイテムの色味が強く出る
逆光:被写体に対し、光が背後から当たっている状態。色味は出にくい代わりに、雰囲気のある写真になる
テントサイトをつくる際は太陽の動きも意識してみましょう。写真の雰囲気がグッと変わるだけでなく、快適性にも差が出ますからね。
テントサイトを撮るのは構図が大事
筆者
両手でしっかり支えて撮っているんですが、なんだかピシッと決まった写真が撮れません……。
宿利
そうですね。この位置からだと構図があまりよくないかもしれません。構図を意識することが大切ですよ!
筆者
構図が大切なのは分かるんですが、それってセンスとか感覚でつかむものですよね?
宿利
経験やセンスで磨かれる部分もありますが、基本を知っているだけで劇的に写真は変わるんです!
例えば以下のような代表例が挙げられます。
例えば以下のような代表例が挙げられます。
【構図①】バランスのいい写真を撮るなら「三分割構図」
三分割構図には先ほど登場したグリッド線が役立ちます。写真の縦、横を3分割し、線上、もしくは線の交点を意識して被写体を撮る構図です。
テントサイトを下1/3におさめることで、木々の緑が美しい写真に。さらに被写体を真ん中からずらし、あえて端に置くことで空間に広がりが出ます。
【構図②】美しさを感じる「シンメトリー構図」
シンメトリー構図は、左右対象に撮るのがポイントです。このように撮れるかはお持ちのアイテムの形状にもよりますが、今回はタープとテントを一直線上に設営し、ポールがど真ん中にくるように撮影しました。
左右対象にすることで安定感が生まれ、被写体の美しさも引き出されているのが分かるかと思います。
筆者
カッコイイ! 構図にはセオリーがあるんですね。これをちょっと意識するだけで、うまく撮れるような気がします。
宿利
あともう一点、覚えておいてほしいのは、たとえば富士山のような景色がきれいな場所で撮影する際のテクニックです。
どうしてもテントを設営する際、富士山に入り口を向けて設営しがちですよね。
どうしてもテントを設営する際、富士山に入り口を向けて設営しがちですよね。
筆者
はい、普通そうしますよね。テント内からの眺めがいいですもん。
宿利
でもそうすると、富士山とテントサイトを一緒に撮った際、写真に映るのはサイトのお尻側になってしまいます。
写真映えを気にするなら、思い切って富士山に背を向けて設営しましょう! サイトと富士山を両方きれいに写せますよ。
写真映えを気にするなら、思い切って富士山に背を向けて設営しましょう! サイトと富士山を両方きれいに写せますよ。
筆者
なるほど! 富士山を背後に入れて、さっきのシンメトリー構図で撮ったらそれだけでカッコイイ写真が撮れそうです。
宿利
このほかにも、覚えておくだけで写真が上手くなる構図があります!
【構図③】被写体を強調する「額縁構図」
これは名前の通り、撮りたいものを額縁のようなもので囲って撮る構図です。今回はテントのなかからタープを覗くようなアングルで撮ってみました。
画が引き締まり、視点が中央に集中しやすいという効果があります。また、テントのなかで寝転んでいるような視点なので、臨場感も生まれますね。
【構図④】奥行きを生み出す「対角線構図」
写真を斜めのラインで2分割することで画面に動きが出る、対角線構図。じつはこれ、被写体である蚊取り線香を真ん中ではなく右下の交点に置いた三分割構図にもなっているんです。
タープの斜めのラインが入ることで芝生のグリーンが強調され、結果、蚊取り線香が引き立つ写真になっています。
焚き火台やランタンをかっこよく撮るテクニック
筆者
いろいろと教えていただきありがとうございます! せっかくなので、焚き火やランタンを撮るコツも知りたいです。
宿利
ランタンや焚き火など、発光する被写体は撮るのが難しいアイテムのひとつですね。
でもコツさえ覚えてしまえばとても簡単なんですよ!
でもコツさえ覚えてしまえばとても簡単なんですよ!
白飛びしてしまうランタンは画面をタップで解決
白飛びしやすいランタンなどの発光物を撮るときは、画面の白飛びしている箇所をタップしてみましょう。
ほら、スマホが自動的に明るさを調整してくれるので、ランタンの絵柄が見えるようになりました!
焚き火台を撮るなら“日没前”
焚き火台を撮る場合、前述したように炎に露出を合わせるとこの写真のように炎以外が真っ暗になってしまいがち。立ち上る炎自体はかっこいいのですが、焚き火台が見えないですよね。
そんな焚き火台をうまく撮る方法は、単純ですが“日没前に撮る”です。焚き火台の写真を撮るのは、夕飯も食べ終わった日没後のまったりタイムが多いですよね。でもそれだと遅いんです!
日没前に撮れば、炎も焚き火台も、テントサイトもしっかり写るかっこいい写真になりますよ。
【おまけ】料理は後ろから光を当ててみる
料理写真は、「後ろから光を当てる」が基本です。そうすると料理の色や立体感が出て美味しそうに写りますよ。
太陽の光をほどよくブロックしてくれるタープの下で、このように奥から手前にライトで照らしながら撮りましょう。
どうですか? 美味しそうでしょ? メインのお肉系の料理を手前に持ってくると、インパクトがでますね。
また、光色を選べるLEDランタンの場合は暖色モードに設定しましょう。温かみのある、美味しそうな色合いになります。
ちなみに、ランタンなしだとこの仕上がり。おなじメニューなのに写りは雲泥の差ですね。アプリなどを使ってあとから加工するにしても、こちらでは美味しそうに見えません。
筆者
今日はありがとうございました! 宿利さんのおかげで写真を撮るのがとっても楽しくなりました!
宿利
それはよかったです。今度キャンプでいい写真が撮れたら見せてくださいね!
スマートフォンでも上手に撮れる!
キャンプの一番の醍醐味は、自然のなかでゆっくりとした時間を過ごすことでしょう。「写真を撮るためのキャンプ」になっては本末転倒ですが、写真を撮ることは楽しいことですし、かっこよく撮れたらもっと楽しいですよね。
そしてなにより、写真は思い出となってずっと残ってくれるもの。ぜひ、今日お教えした内容を覚えて、かっこいい写真をたくさん撮ってくださいね。