着っぱなし推奨の動けるインサレーションベスト、Marmot の Polartec Alpha Power Grid Vest

着っぱなし推奨の動けるインサレーションベスト、Marmot の Polartec Alpha Power Grid Vest
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Marmot というと、スタンダードな登山用品のブランドとしてのイメージが強いでしょう。でも歴史をさかのぼってみると、1983年のカタログでは「LIGHT PACKING」をテーマとして打ち出していたりもします。

※編集部注: 本稿は土屋智哉さんの談話をもとに、編集部が文章化しています。

そうした背景を見つめなおし、今年の春から RE:LIGHTPACKING というテーマを掲げて、30年以上の時を経た今こそライトパッキングを再定義・再提案する動きに取り組み始めています。そんなご縁からわたし土屋も一部の商品企画のお手伝いをさせていただいています。そのデビューとなる2016年の春夏シーズンから、第一弾商品がデリバリーされました。

カラー展開はトップ掲載のレッド、こちらのベージュ、ほかにネイビーの3種類。

カラー展開はトップ掲載のレッド、こちらのベージュ、ほかにネイビーの3種類。

その中でも、より多くの人に使ってもらえるアイテムが Polartec Alpha Power Grid Vest です。その名の通り、前身頃の Polartec Alpha と、背面の Polartec Power Grid という、二種類の素材を組み合わせたベストです。ベストといえばフリースやダウンを使ったものが思い浮かぶかもしれませんが、それらの主な用途は保温で、休憩中をはじめとする停滞時に着る傾向が強い。そのため、行動中に着ると体がオーバーヒートして熱くなってしまいます。これは、インサレーション系ウェア全般にまつわる悩みでしょう。それに対し、Polartec Alpha は保温と言うより「調温」と形容できるような機能に特化しています。寒すぎない、暑すぎない、そんな適度な体感温度を維持させてくれる素材ですので、着たまま動き続けることに非常に適しています。

Polartec Aplha の素材特性

多くのハイテク素材と同様に、Polartec Alpha も元来は軍用に開発されたもの。アウトドアではそのときの気候にあわせて衣服を脱いだり着たり、いわゆるレイヤリングができますが、軍での作戦中にそんな余裕はありません。兵隊の衣類は着っぱなしが前提なので、軍からは「着続けたまま行動しても暑くも寒くもならないものを」という開発依頼がくるわけです。

それに対する Polartec 社の答えが、Polartec Alpha でした。非常に高い通気性と適度な保温力を提供する厚みの素材は、短く刈ったグリッドフリースのような見た目を有します。そんな中綿を、これもまた高い通気性のシェル生地で両側からはさみこむ。これにより適度に空気を溜め込め込んだ層を形成します。同時に、中綿・シェル共に通気性が高いため、十分な透湿もおこなわれます。もちろん、通気性があるとはいえシェル生地ですから、強い風は防いでくれる。

つまり、あたためるためというよりも、寒くならないほどよい温度をキープするための素材だといえます。一般衣類のイメージでいうと、薄手のカーディガンに近いかもしれません。着ればちょっとした寒さは防げるし、薄手なので蒸れも少ない。春や秋の季節に、まさに暑すぎず寒すぎずを実現してくれます。

中綿ということでどうしても「暖かさ」に価値を求めがちですが、そうではありません。みなさんも「カットソー1枚だと寒い。何かしら暖かいものを羽織って行動したいのだけれど、すぐに熱くなって汗をかいて脱いでしまう、そしてまた寒く……」といったジレンマを経験したことがあるでしょう。盛夏はともかく、山ではそんなシチュエーションによく遭遇しませんか? Polartec Alpha とはこの悩みを解決するための中綿なのです。

ありそうでなかった3シーズンの行動時に適したベスト

冬場の商品でこの素材を使ったものはたくさんあるのですが、その調温機能は春や秋にも活かせるのではないでしょうか。というのも、自分自身が先に書いたような状況を冬以外の季節にもしばし経験するからです。「Tシャツだけではちょっと冷える。なにか一枚羽織りたいけどシェルだと熱いしな、でも風も出てきたし防ぎたい。どうしようかな……ま、もう少しこのまま様子みるかな、でもちょっと寒いよなぁ……中綿じゃ暑過ぎるしな……」と。そう逡巡しているときに、重要な体幹部に絞った防風・保温・透湿を、ちょうど良いレベルで調節してくれる衣類があれば絶対に便利なはずなのです。もちろん、Polartec Alpha を使った長袖のものがあってもいいのですが、春から秋にかけてのシーズンに幅広く使っていただくにはやはりベストが最適ではないでしょうか。

背面には薄手の生地を使用

背面には薄手の生地を使用

ザックを背負って動くことを考えて、背中側には Polartec Alpha ではなく、抜けがよく汗戻りの少ない Power Grid を使いました。着っぱなし前提であれば着脱のしやすさは多少犠牲にしてもいいので、フルジップではなくかぶりにしています。なおかつ、ジップは大きく開くのでこちらでも換気がしやすい。体幹の温度さえ調整ができればいいので、首周りも省いて他のウェアとの干渉を避けました。着続けること、暑すぎない、寒すぎないという着地点を目指してみると、これがいちばんシンプルな形だと考えています。春から秋の3シーズンにおいてPolartec Alpha の使い方に最も則しているウェアのひとつに仕上がったと自負しています。

デザインはユニセックスを強く意識しています。普通にかわいいベストとして着てもらってもいい。盛夏だったら肌寒いときのちょっとした防寒具としても使えるはずです。春先や秋だったら、ぜひ積極的に着っぱなしで行動してほしいです。ずっと着続けていられるウェアを選べばバックパックを重くすることもありませんし、スペースもとりません。そんな意味からも、このベストは単に衣類自体が軽いだけではなく、トータルな軽量化に寄与するRE:LIGHTPACKING を具現化する製品のひとつなのです。

製品名
Polartec Alpha Power Grid Vest
価格
15,800円(税別)
ブランド
Marmot
購入
DESCENTE ONLINE SHOP ほか
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