キャブコンって何?
キャブコンとは、トラックやハイエースなどのキャブ(運転席部分)を残してコンバージョン(改造)したキャンピングカーのことをいいます。運転席の後ろに家を背負って移動しているようなイメージですね。キャンピングカーとしてはハイエースやキャラバンなどのバンを架装した一見キャンピングカーには見えないバンコンタイプも人気ですが、今回ご紹介するキャブコンの魅力は何といっても大人が立って歩ける室内の広さにあるでしょう。
キャブコンで一度キャンプに出るとバンコンが狭く感じてしまうほど、移動中も目的地に着いてからものびのび過ごせるキャブコンの魅力をまとめてみました。
キャブコンの長所と短所とは
長所としては前項でも触れた圧倒的な広さが挙げられます。キャブコンは居室部分が箱型になっているため天井に行くほど狭くなるバンコンとは違い、圧迫感を受けにくくなっています。車内の広さはそのまま滞在先でも居住性の良さにつながりますのでキャンピングカーとしては非常に重要な要素になってくるといえるでしょう。また、ボディの断熱性能の高さから、夏場に締め切った車内でも外気と車内の温度がさほど変わらないなど、車内の快適性に優れていることも魅力の一つです。
しかしその反面、短所としてはバンコンに比べて幅があるため、駐車スペースを選ぶ点や、ベース車がトラックであるため走りに不安があることがあげられるでしょう。
ベース車がバンであっても重たい居室を背負って走るため、本来のポテンシャルを出し切れないこともあり、いずれのベース車であってもバンコンには及ばないという印象です。
キャブコンのオプションは何が必要?
1.FFヒーター少量の車の燃料と少量の電気を使用し、効率よく車内を暖めることができるヒーターです。アイドリングせずに使用できるので、就寝中の使用にも場所を選びません。キャブコンは比較的標準装備が充実しているため、FFヒータ―は標準装備になっている場合が多いと思いますが、冬場のお出かけには必須となりますのでオプションでの選択が必要な場合は必ず選んでおくべき装備と言えるでしょう。
2.トイレ
キャンピングカーにトイレは必要か?という議論はキャンピングカー購入にあたって必ず起こるもの。筆者は「あったらあった方がいいだろうと思うけれど後の処理を考えると…」という考えでしたがそのイメージが一変しましたので、トイレについては次項で詳しく検証してみようと思います。
3.家庭用ルームエアコン
各社エアコンを動かせるように電装設備を充実させているラインナップを用意していますので、今後、キャブコンは夏も快適!が当たり前になっていきそうです。また、愛犬と旅を共にされる方にはエアコンは必須といえるでしょう。
4.冷蔵庫サイズアップ
65リットルが一般的なキャブコンの冷蔵庫サイズです。家族みんなの飲み物やお土産などを入れることを考えると、容量が大きければ旅の快適さもアップしそうですね。そんな場合は90リットルに変更可能か、購入前にビルダーへ相談してみるといいでしょう。
5.足回りの強化
キャブコンの短所の一つともいえる乗り心地の悪さですが、足回りに手を加えることで解決しようという声も耳にします。しかしサスペンションやショックアブソーバー、スタビライザーなどを交換するにはそれぞれの兼ね合いから組み合わせが難しく、どれか一つを交換することで劇的に変化する、というものでもないようです。
そこで試したいのがタイヤの交換です。純正タイヤによくみられる空気圧の高いタイヤですと低速での乗り心地が硬く、高速道路ではパンパンに空気を入れたボールがよく跳ねるように路面の凹凸を拾って飛び上がる感覚があるため乗り心地が悪くなってしまいます。そこで、空気圧を下げて乗り心地を良くするために、低い空気圧でも重たいキャンピングカーを支えるに足るロードインデックス(タイヤ1本で支えられる最大耐荷重)の得られるタイヤに替えてみましょう。そうすることで比較的簡単に乗り心地の向上が図れます。ただ、タイヤのサイズをアップする場合は車体と干渉する可能性があるので、ビルダーやタイヤ専門店によく相談する必要があるでしょう。
6.サイドオーニング
タープを張るより簡単で手軽なため、あると便利なオーニング。キャンプ場では活躍しますが、道の駅など場所によっては使用できないこともありますので、どんなシチュエーションでキャンピングカーを利用するかを考えて装備するかを決めるといいでしょう。
キャンピングカーにトイレは必要か?
トイレ完備のキャンピングカーといえばバンテック。筆者に「これならできるかも。」と思わせたバンテックの標準、電動式水洗トイレの簡単後処理方法を見てみましょう。手順1:タンクを引き出す
手順2:スーツケースの要領で転がして移動
手順3:トイレに流す
たったのこれだけ。3ステップで終了です。容器の中に専用の溶剤を入れておくだけで車の振動も手伝って比較的短時間で汚物を分解してくれるため、子供の汚物程度であれば移動の間に問題なく液状化することが可能でトイレに流すときには薬品臭のする緑色の液体になっているとのことでした。なお、マルチルームにベンチレーターを導入するのがおすすめです。
これだけ後処理が簡単ならばトイレはやはり必要なオプションと言えるのかもしれません。
キャンピングカーのベース車まとめ
これぞキャブコン。トラックベース
トラックタイプのキャブコンの弱点と言えば馬力不足が挙げられますが、昔と違いディーゼルエンジン車を選択すれば高速道路や上り坂での走行も全く問題ないと感じることができるでしょう。走りも克服、長所一杯の広々キャブコンの代表的なベース車を以下にまとめてみました。1.トヨタ カムロード
キャブコンと言えばカムロード。といわれるほどよく目にするベース車です。多くのビルダーで使用されているため安心感抜群です。
2.いすゞ エルフ
後輪ダブルタイヤのベース車がいい。という場合によく選ばれるいすゞエルフ。カムロードの次に見かけるベース車です。
3.トヨタ ハイエース
最近増えてきたハイエースベースのキャブコンは走りと乗り心地の良さが一番のポイント。トラックベースのキャブコンとは一線を画します。
4.いすゞ Be-cam
いすゞエルフをベースにキャンピングカー専用の設計変更を施し、乗用車のような乗り心地を実現した新しいベース車です。まだまだ扱うビルダーは限られているものの、全国のいすゞサービスセンターでの修理を受けられるなど、遠出が多く長い年月乗ることを前提としたキャンピングカーユーザー安心の一台となっています。
5.トヨタ ダイナ
カムロードベースのキャンピングカーのオプション選択で後輪ダブルタイヤを選択したときのベース車はトヨタダイナとなることがほとんどです。ただ、キャンピングカー用のセッティングがされていないため、乗り心地が劣るのが弱点といえるでしょう。
6.フィアット デュカト
海外のキャブコンの多くがこのフィアットの小型商用車、デュカトをベース車として採用しています。キャビンとシャシーだけの販売もあり各ビルダーが架装しやすいのも特徴です。
ちいさめキャブコン
馬力不足は否めませんが、コンパクトなボディで取り回しが楽な点がメリットです。1.マツダボンゴ
2016年のモデルチェンジでリアがダブルタイヤからシングルタイヤへ、リアのタイヤ径が12から14へ、オートマチックミッションが4速から5速へと変化して乗り心地と出足の速さや燃費の向上という嬉しい変化を遂げました。
2.バネットトラック
リアのダブルタイヤに安定感を感じるベース車でしたが残念ながら生産が終了。アトラスF24(1.5tシリーズ)へ統合されたため、今後アトラスF24をベースとしたキャブコンが開発されるかもしれません。
おすすめキャブコン6選
年々快適度を増すキャブコン。今回は「車内で快適に過ごす」をテーマにおすすめ車種を選んでみました。その関係で各ビルダーの上位モデルが並んでいますが、上位モデルのイメージは廉価モデルにも引き継がれていますので、ぜひ各社の廉価モデルもチェックしてお気に入りの一台を探してみてください。1.バンテック Zilクルーズ520
資金に余裕があるのなら間違いなくおすすめなのがバンテックのフラッグシップモデルであるこのZilクルーズ520。ダブルタイヤのいすゞエルフをベースとし、乗り心地がいいようにチューニングされているため乗り心地も上々。
トイレ、エアコン、温水設備、床暖房の他、充分な発電量を誇る400wソーラーパネルやアラウンドビューモニターまで標準装備されており、他に付け足すものはない!と思われる至極の一台となっています。
2.ナッツRV クレア5.3 EVOLUTION
4~5時間のアイドリングだけでバッテリーのフル充電が可能という画期的な電装システム「EVOシステム」を搭載した一台。外部電源の取れない場所でも安心して電化製品を使うことができるため、お出かけの幅が広がること間違いなしです。
3.東和モータース WOHN SIEBEN
家庭用エアコン、ソーラーパネル、電子レンジが標準装備になっている上位モデル。エンジン停止時でも3~4時間はエアコンを稼働させることが可能ですが、更に上級グレードである「EXCLUSIVE」は4~5時間のアイドリングだけでバッテリーのフル充電が可能という「EVOシステム」を搭載し外部電源がなくても安心です。バッテリー残量計も標準装備されているため様々な電化製品を動かしても不安がありません。
4.ファンルーチェ セレンゲティ
ハイエースベースのキャブコンの代表格といえるセレンゲティ。トラックベースのキャブコンとは異なりエンジン音が静かで走りもスムーズ。オプションでルームエアコンの選択も可能で、5mを切る全長の中に必要なものをうまく入れ込んでいるデザイン力と安全を考えた鋼製スペースフレームが秀逸。
5.NTB(日本特殊ボディー) ASAKAZE
いすゞBe-camの2tワイドがベースになっている一台。さすがにワイド車だけあり、室内も広々でゆったりくつろげます。標準装備の車載専用クーラー「i-Cool」は耐震性能が高く、サブバッテリーだけで9時間稼働できる優れもの。その他にもソーラーパネルや電子レンジ、シャワーも標準装備されていて憧れの一台といえますね。
6.AtoZ アミティ
ちいさめキャブコンの代名詞。1950mm×4690mmのコンパクトボディに様々なレイアウトパターンを用意し、2人から6人までの幅広い家族構成に対応できるのが魅力。インテリアコーディネーターによる可愛らしい室内もアミティらしさを演出しています。