コーヒーのプロにおいしい淹れ方を教えていただきました
今回キャンプコーヒーの淹れ方を教えてもらったのは、自家焙煎珈琲屋台「Old Lanterns Cafe」オーナーの岸本さん。コーヒーインストラクターの資格を持っていて、キャンプイベントには必ずいるほどの引っ張りだこのお店です。
コーヒーを淹れる方法は数多く存在しますが、“キャンプ”で淹れるコーヒーは他とどう違うのか? どうすればおいしく仕上げることができるのか? 専門家ならではの意見とともに教えていただきました。
まずはプロが持っているコーヒー道具をご披露
おいしいコーヒーを淹れたいなら、まずは道具を揃えることが重要! ということで、岸本さんにおすすめのアイテムを持ってきていただきました。右上から、コーヒーミル、ドリップポット+温度計、ヴィンテージミル、テトラドリップ、コーヒー豆、ドリッパー、そしてサーバー。
ヴィンテージ品は岸本さんのご趣味で、フランス自動車メーカー「プジョー」製のコーヒーミル。テトラドリップは、持ち運びしやすく手軽にコーヒーを淹れられるのでおすすめとのこと。
そのほかに、コールマンから発売されている「パルテノンコーヒードリッパー」は、コーヒー豆を入れてマグカップにセットし、穴の開いた蓋の上からケトルでお湯を注げば、簡単にポタポタとドリップできるペーパーレスドリッパー。ゆっくり少しずつお湯を注ぎ、完成までの時間も楽しめます。初心者でも使いやすいアイテムです。
さらに、岸本さんが監修したペーパーレスドリッパー「コールマン コーヒーハンドドリップセット」は、サーバーがセットで付いてくるうえに、コーヒーオイルも抽出してまろやかな味が楽しめるようになっています(写真は試作第1号のプロトタイプ)。
コーヒーを淹れるときのポイント
おいしいキャンプコーヒーを淹れるときのポイントをご紹介します。【コーヒー豆】淹れるコーヒーの種類によって量が異なる
岸本さんによると、ストレートコーヒーのホットとアイスとで、コーヒー豆の量が異なるそうです。具体的にどのくらいの量が良いのですか?
ストレートのホットコーヒーは15g(10gコーヒーメジャー:1.5杯)で150cc抽出ですから、マグカップに200cc抽出したいときは20g。アイスコーヒーは氷が溶けて薄まるので、濃く淹れるためにその約1.5倍くらいを淹れるのが理想です。慣れてきたらお好みでご自分の量に調整してください。濃い目が好きな人や薄い目が好きな人、好みはさまざまなので。
また、コーヒー豆を挽くときには、グラニュー糖の粒よりちょっと大きいくらいの“中挽き”で行うと、バランス良い味に仕上がります。これもお好みに応じてですが、粒度は細かくすると濃いコーヒーに、粗くすると薄いコーヒーになります。
細かい粒は粗い粒より早く出涸らしになり、雑味が出やすくなります。粗い粒は味は薄目に出ますが雑味は出にくいので、粉の量を増やして濃さをカバーしてやると、雑味のないおいしいコーヒーができます。コーヒー豆を多く使う贅沢な珈琲も、キャンプシーンを盛り立ててくれること間違いなし! です。
ちなみに、岸本さんはベーシックな味とされるコロンビア豆を使用。中煎りと中深煎りの2種類をいつも用意していて、お客さんの好みや抽出方法で使い分けているとのこと。
同じコロンビアの豆でも、煎り具合によってはまったくキャラクターの違う味わいになります。中煎りは苦みはなくフルーティな酸味と甘味があります。中深煎りは酸味はほとんど消え、コーヒーらしい軽い苦味と香ばしさのある味わいになります。深煎りになると酸味は完全に消え去り、苦味とコクのある無骨でワイルドな味わいになります。
それぞれの特徴を生かしたオリジナルブレンドを作るのも、ゆったりと過ごすキャンプではおもしろいと思います。
【お湯】温度は「90〜96度」がベター
お湯の温度は、90〜96度がベターと岸本さんは言います。
沸騰してからちょっと置いたくらいがこの温度です。コーヒーの成分がバランスよく抽出できる温度なんですよ。
また、お湯を沸かす時はやかんなどを使い、沸騰したらドリップポットにお湯を移して注ぐのがベスト。
ドリップポットのままお湯を沸かすと、沸騰時に注ぎ口からお湯が出てくるので危険なんです。
【ドリッパー】ペーパーと金属で味がまったく異なる!
最近ではペーパーレスの金属ドリッパーが増えていますが、じつはペーパーと比べると味が異なってくるとか。どう異なるのですか?
金属はコスト・荷物量の削減ができて便利ですが、コーヒーオイル(油脂分)がそのまま落ちるので、味がまろやかな口当たりのコーヒーに仕上がります。微粉も混じるので、これらが苦手な人はペーパーにしたほうが無難です。
ちなみに、深煎りのコーヒー豆をドリップするときは、ペーパーの中でも“コットンペーパー製”のものがおすすめとのこと。
木材などを主原料にしたパルプのペーパーがほとんどですが、コットンペーパーはネルドリップに近い味が抽出でき、口当たりの良い仕上がりになりますよ。
【ドリップ方法】お湯は“置く”ように注ぐ
ドリップコーヒーの基本であり肝心な作業。岸本さんいわく、お湯は“置く”ように入れることが大切だとか。
高い位置から注ぐと、中でコーヒー豆がおどってしまい、雑味が出てしまいます。お湯を置くイメージで、低い位置からやさしくお湯を注ぐと良いですよ。
今回使っている円錐型ドリッパーでは、500円玉くらいの大きさで『の』の字を書くようにお湯を注いでください。中心から注いで中心で終わる……この繰り返しです。注意点としては。ペーパーには直接お湯をかけないこと! です。
ちなみに、経験が浅い人でも置くように淹れるにはどうすれば良いですか?
ドリップポットの注ぎ口が寝ているものを使うと良いです。ホウロウ製にありがちな、先端が上に向いているタイプだと、ポットをしっかり傾けないとお湯が出づらいため、慣れないと置くように注ぐのが難しいです。先端が細く角度が寝ているものがおすすめです。
アイスコーヒーにしたいときのおすすめ方法とは?
暑い日には、ホットではなくアイスでコーヒーを飲みたくなる人も多いのでは? そこで、アイスコーヒーにするときのおすすめ方法も教えていただきました。ポイント1/氷はあらかじめポット・マグカップに入れておく!
一番の特徴は、氷は完成してから入れるのではなく、ドリップする前にセットしておくこと。
コーヒーが急速に冷却されるので、香りを閉じ込めておいしいアイスコーヒーに仕上がります。また、事前に氷を入れておけばドリップしながらコーヒーの量を調整できるので、後から氷を入れてコーヒーが溢れる心配もありません。
ポイント2/コーヒー豆は“細挽き・量多め”で!
さらに注目すべきは、コーヒー豆にも配慮をすること。
細挽きにすることで濃厚なコーヒーが抽出できるので、氷が溶けたときにちょうど良い味に仕上がります。氷で薄まりながら出来ていくので、量はお好みで更に多めに入れても良いでしょう。
おいしいコーヒーを淹れるためのFAQ
キャンプのコーヒーといえば『パーコレーター』が最初に思い浮かぶのですが、これでおいしくすることが可能でしょうか?
パーコレーターは、コーヒー豆をセットして沸かすだけで作れるので、手間をかけずにコーヒーを飲みたい人には最適なアイテムです。ただ、どうしても粉が混じってしまうので、ざらつきを気にしない方であれば問題ないと思います。キャンプらしい雰囲気ならパーコレーターがイチバンですね。
バネット(バネの形をした折りたたみ式ドリッパー)はおいしくコーヒーを淹れることはできますか?
バネットでもおいしくコーヒーを淹れることができます。カフェをしている友人はお店でも使っているくらいです! また、コンパクトに収納できるので、荷物が多いキャンパーには重宝するかと思います。弱点として、風や気温の影響を受けやすく、特に冬に使うと冷気でペーパー内のコーヒー粉が冷めてしまい、味が出にくくなる可能性があります。そこだけ気をつけてください。
ポーレックスのようなコンパクトに収納できるコーヒーミルをよく目にしますが、これを使っても問題はないですか?
問題ないです。こちらも収納力に優れていますので、最近はよく売れていると聞いています。しかし、個人的には置いて挽くミルのほうが、安定して挽けるうえに一度に挽ける量が多いタイプもあるので、大人数のキャンプでコーヒーを淹れるときは置いて挽くコーヒーミルが良いと思います。
出来たて・淹れたてコーヒーで至福のひと時を!
キャンプで飲むコーヒーは格別! と思う人も多いことでしょう。インスタントで飲むのも良いですが、ドリップして手間暇かけて1杯のコーヒーが出来るまでの時間を楽しんだり、自分だけのこだわりのコーヒーを飲むのもまた乙です。ご紹介した方法をもとに、さらなるおいしいコーヒーを淹れてみてはいかがですか?
岸本さんご自身が淹れるコーヒー屋台の出店情報はFacebookで公開中。ぜひチェックしてみてください!
自家焙煎珈琲屋台「Old Lanterns Cafe」 → https://facebook.com/Coffee.Stand.Old.Lanterns.Cafe/
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キャンプでおいしいコーヒーを飲もう!