燻製には専用の道具が必要?絶対に?
写真は、筆者が愛用している燻製器です。燻製は「煮る」とも「焼く」とも違った調理方法で、肉や魚介など、好みの食材にすばらしい風味を加えてくれます。燻製にダッチオーブンを使うという方法もありますよね。
しかしこうした燻製器やダッチオーブンがなくても、手軽に燻製を楽しむことができるんです。
ダイソーの300円スキレットを利用して燻製を!
今回、燻製に使う道具は、100均ショップのダイソーで購入できるスキレット。300円と値は張りますが(ダイソー比)、専用の道具を買うよりはずっとリーズナブルに済ませられます。
燻製にハマってきたら専用の道具にステップアップすればいいし、それでもスキレット自体は無駄にならないしで、メリットしかありません。
というわけでダイソーのスキレットを使って、キャンプ&自宅のキッチンで燻製にチャレンジした模様をお届けします。
ダイソーだけで燻製道具は揃うんです!
900円の買い物で道具面の準備はOK
スキレット以外にも必要なものを探し、購入しました。合計金額は900円(税抜)。なんとダイソーの1店舗で、食材以外のすべてを買い揃えることができました。
ダイソーでの購入品(燻製に必要な道具)
購入したものを見てみましょう。まずスキレット×2、そして焼き網とアルミホイル、最後に煙を出すスモークチップ。まさかのスモークチップまで、ダイソーで揃えることができてしまいます。ダイソーさん、さすがです。
スモークチップはホームセンターでも購入可能
ちなみにホームセンターなどでもスモークチップは売られています。チップの他にスモークウッド(ブロック状に固められたもの)なんてのもあります。
サクラをはじめ、リンゴの木やウィスキーオーク等々、さまざまなフレーバーがありますから、ダイソーのスモークチップで一度やってみて、面白いと感じたら買い足していけばいいですね。
さっそく燻製をしてみよう!
スキレット燻製の作り方① アルミホイルでスキレットを養生
さっそく燻製をしてみましょう。まずはアルミホイルを敷いて、スキレットを養生。こうすることで片付けがラクになるのと、スモークチップが炎上しにくくなります。
ちなみに燻製には冷燻、温燻、熱燻と温度違いで種類がありますが、スキレットを使う場合は基本熱燻が適しています。
アルミホイルにスモークチップを敷き詰めます。下からバーナーで熱されて、くすぶって煙を出すというわけです。ダイソーで購入した900円分の道具の他に、ガスストーブなどの熱源は別途必要となります。
スキレット燻製の作り方② スモークチップと網を設置してその上に食材を
焼き網を乗せ、その上に食材を設置します。そうしてもう1つのスキレットでフタをすれば、食材に熱が入り、煙が充満して燻製香がつきます。
食材は牛の肩ロースを用意しました。スモークビーフをつくってみましょう。スキレットのサイズがそんなに大きくないので、小さめのものを選びました。
肉の表面の水気を拭き取り、塩コショウ、そして宮崎県発の万能スパイス「マキシマム」を振ります。
燻製はもともと保存食をつくる目的で生まれた加工手段なんですが、スパイスの発展とともに、グルメ的要素が大きくなってきたという歴史があるようです。
スキレット燻製の作り方③ フタ担当のスキレットも養生
肉を設置し、フタをします。フタをする方のスキレットも、アルミホイルで養生しました。燻製成分がべっとりと付着すると洗うのが大変だからです。燻製専用のスキレットにすると割り切る場合は、必要ないと思われます。
さあ、それではいよいよ点火しましょう!
スキレット燻製の作り方④ 火力をコントロールしつつ熱する
スモークチップから煙が出てくるまでは強火で、以降は煙が止まらない程度の弱火で……というのがセオリーなのですが、アウトドアではガスストーブの炎が風で消されることがあります。
このときも風が少々強かったので、煙が出てからも弱火を心がけつつも「風に消されない程度の火力」を維持しました。
30分ほどして一度、肉をひっくり返しました。肉のサイズ的にフタが押しつぶすような格好になってしまったので、上のスキレットと密着している部分には、煙が当たらないからです。
また燻製時間は1時間を予定しています。これは間違いなくしっかり火が通るだろうという判断からですが、レア度を追求する場合はもっと短くていいと思います。その場合、カットして中身を確認し、不安が残るようなら燻製再開すればOKでしょう。
注意!フタ担当のスキレットも高温に
ご存知のとおり、スキレットはハンドル部分も熱くなります。今回の燻製使用の場合、下のスキレットはもちろんのこと、長時間熱していたため上のフタ担当スキレットもかなり熱くなりました。革手袋や軍手が必須ですのでご注意を。
完成!こいつはビールが進む!
点火から1時間ちょっと過ぎました。美味しそうな色がついて、ついでに網目もつきました。これにて肩ロースのスモークビーフ、完成です!
火が通りすぎるも風味は上々
カットしてみると、加熱されすぎた印象。もっとピンク色の部分が多い状態をイメージしていたんですが……。しかししっかりと燻製の香りがついているし、レアすぎる肉でお腹を壊しても困るので、これで成功とします。
くぅ~、ビールがうまい! うますぎる! これが燻製という行為のクライマックス、ぜひキャンパーに味わってもらいたい瞬間です。
余談ですが、ちょうどこのとき近くのソロキャンパーに話しかけられ、何切れかおすそ分けしたところ、お礼に珍しいカップ麺をもらうという一幕がありました。燻製が紡いだソロ同士の友情物語です。
スモークチップの適量は?
燻製を終えたスモークチップは、このような状態に。煙を出し切って炭になったものがほとんどです。使った量は正確には量ってませんが、まんべんなく敷き詰め、それが1cmほどの層になるようにしました。
正直、スモークチップの量にはこだわらなくていいと思っています。仮に多すぎたとしてもそれは余裕を持った安全策と言えますし、少なかったら途中で継ぎ足せば問題ありません。
【初めて燻製をする方におすすめ!】食材を変えてより手軽な燻製を
ゆで卵やチーズも燻製してみた
よくネット上で見かける食材も燻製してみました。スキレット燻製の場合、チーズとゆで卵が定番のようです。今回はそこにウィンナーを加えました。
チーズの下にもアルミホイルが敷かれていますが、これは溶け落ち防止です。網に直に配置してしまうと、溶けてしまって必ず失敗するので、この方法をおすすめします。
先ほどと同じ手順で燻製します。今回熱する時間は約20分。もともと加熱処理された食材ばかりだったので、納得できるレベルに色がつけば完成です。
ゆで卵はセブンイレブン製の塩味付き。ただでさえ美味しいゆで卵が、グンとグレードアップです。
チーズもウィンナーも、より香り立つ仕様に。たった20分放っておいただけで、絶品のおつまみへと生まれ変わりました。
ちなみにこちらの燻製方法は、You TubeのCAMP HACKチャンネルでも動画で詳しくご紹介しています。参考にしてみてください。
【実験】スキレットでの燻製で「スモークウッド」を試してみたら……
熱燻の必要はないと考えた
スキレット燻製は熱燻一択と言われていますが、さきほどのゆで卵やチーズの場合、改めて熱を加える必要はありません。煙だけで問題ないはずです。
そこで熱源がなくても線香のように煙を出し続ける、スモークウッドを使ってみることに。
トーチで着火すれば、あとは燃え尽きるまで延々と、煙を出しつづけてくれます。予備のゆで卵とチーズを燻製してみましょう。
結果は失敗!スキレット燻製ではチップ一択か
スモークウッドを使用しており、かつ加熱する必要のない食材なので、ガスストーブには点火する必要がありません。さあ、煙がモクモクと出て……きませんね。いっこうに。
何度かトーチで再着火したんですが、煙が立ち昇ることはなく、すっかり暗くなってしまいました。
スモークウッドはほんの一部分が焦げ付いただけでした。フタをされたスキレット内部は空気の流れが悪いので、スモークウッドがくすぶり続けることができなかったようです。
というわけでスキレットを利用した燻製では、スモークチップを使用した熱燻一択なのだと学びました。
自宅のキッチンでもスキレットで燻製って可能!?
宅飲みのつまみにササッと燻製を
ここまで見てきたように、じつに簡単でお手軽なスキレット燻製。こんなに手軽なら、自宅でも普段から楽しめるのでは……というわけで自宅の台所でも挑戦してみました。食材は手羽中です。市販のシーズニングをまぶし、網の上に並べました。
強火で煙が出るまで待ち、あとは弱火にするだけなんですが、ちょろっと煙が出るにとどまりました。なぜなら強火が持続してくれないんです。
これは筆者の自宅コンロの空焚き防止機能によるものが原因でした。この機能は、熱したスキレットが高温すぎると判断されると、自動的に弱火に、あげくは消火されてしまうのです。これではぜんぜん手軽に燻製できません。
もちろんそのような機能が付いていないコンロであれば、スムーズに熱燻を楽しめるのでご安心くださいね。
煙が上がらずガスストーブを投入
仕方がないので、このようなシステムを組みました。ST-310がガスコンロの上で活躍している、稀有な光景です。
無事に煙が立ち昇りました。換気扇は「強」に設定しているので、ぐんぐんと換気口に吸い込まれていきます。おかげでニオイが部屋中に充満するということはありませんでした。
自宅で燻製することによる残り香ダメージは、ホットプレートで焼き肉をやったときの1/10以下といったところです。
30分後、内部までしっかり加熱され、燻製の色もついて完成しました。皮部分がパリパリとなった極上食感、加えて燻製の風味が最高でした。
自宅で使える燻製器も売られていますが、大きな食材を扱わない場合は、リーズナブルなスキレットで簡単に燻製が可能です。これはキャンパーじゃない人にもおすすめしたいですね。
スキレットがあれば燻製をスタートできる!
というわけで以上、ダイソーのスキレットで燻製に挑戦してみました。スキレットを2つも買いたくない場合、またはすでに「ニトスキ」などを所有している場合は、フタ部分をアルミホイルで自作するという手もありますね。
いずれにせよ専用の道具が必要なく、簡単に始められるスキレット燻製。さっそく次のキャンプで絶品おつまみをつくってみませんか?