覚えておけば安心!空き缶でご飯を炊く方法
電気もガスも止まった。どうしよう? そんな非常時でも、空き缶と水180ml、新聞紙で熱々の炊きたてご飯が食べられます。レトルトご飯や、アルファ化米の備蓄がなくても大丈夫。空き缶を炊飯器代わりに、普通の米からご飯を炊くワザをご紹介します。いざという時、このサバイバル飯の炊き方を知っているだけで、心の安心度が違いますよ……!
白飯はもちろん、炊き込みご飯も
毎回白飯では飽きてしまいますが、バラエティに富んだご飯だって作れちゃうんです。今回は、キャンプで実際に空き缶ご飯を作ってみました。渾身のレポートです!
炊き方① 缶と燃料を準備する
飲み終わった空き缶を2つ用意
350ml缶を2個用意します。1個は炊飯用、もう1個はかまどにします。缶のふたを缶切りで取り去ります。缶の中には細かい切り屑が落ちているので、水ですすいでおくと◎。本来、焚き火やバーナーがあればかまど用は不要ですが、せっかくなので今回はとことん空き缶を利用してみます。「もし火種がライターしかない場合」を想定した方法ですね。
かまど用の空き缶を加工する
かまど用の缶もふたを切り取り、上部に排煙用の小窓を2箇所、90度ずらして、下部に燃料を挿入するための焚き口と、反対側に灰を出す穴を開けます。
油性ペンで、穴開けのガイドラインを描いておくと簡単ですよ。
ペンで描いた線をカッターで穴開けします。少々ガタガタでも大丈夫。
カッターでの穴あけは、滑りやすく、力も要ります。小学生以下のお子さんは、大人が代わって作業してあげた方が良さそう。
燃料その① 新聞紙で薪を作る
薪を作ります。新聞紙1枚の半分をさらに1/8に破き、ねじって棒状にします。(薪の量は、だいたい朝刊1部で足りました)
燃料その② 牛乳パックをカットして使う
牛乳パックを3個用意し、1cmほどの幅に切ります。切ったものを1本ずつかまどに差し込んで燃やします。
コーティングがあるのでよく燃え、新聞紙より火力も燃費もよかったです。牛乳パックすごい。
炊き方② 米研ぎと水加減のコツ
米を計って研ぐ
炊飯用の缶に米1合(180ml)を入れます。米を持って行くとき、チャック袋に1合ずつ入れておくと、計量カップ要らずで便利ですよ。割り箸で米を研ぎます。2〜3回研げばOK。とぎ汁もそのまま捨てると環境には悪いという説もあるので、なるべく流しに捨てましょう。
研いだら水180mlを入れる
次は肝心要の水加減。適正量は、米1合に水180ml。水はきちんと計って入れてください。計量カップがないときに、適正量を知るワザは、350ml缶の切り口から約2cm下のところに水面が来ていれば、ほぼOK。もしくは、シェラカップでも測れますね。
米と水を入れたら、アルミホイルできっちりフタをし、中央を凹ませます。
炊き上がりに米の芯が残らないよう、30分以上浸水させます。
炊き方③ いよいよ炊飯
2つの缶を重ねて着火
かまど缶の上に米の入った缶を載せ、いざ炊飯! 軍手、ライター、新聞薪を準備して着火します。この日のキャンプサイトは芝地で直火不可。平らで固い場所がなかったため、急遽七輪を裏返し、その上で炊飯開始。火を絶やさないよう、新聞紙の薪を継ぎ足します。
沸騰するまで強火で加熱
湯気が出てきました! 沸騰するまで強火で加熱します。吹きこぼれたら弱火に落とし、吹きこぼれがなくなったら、炊き上がりの頃合い。フタのホイルをちょっとだけめくって食べてみます。水分も芯もなくなっていたら火から下ろします。
ホイルをつけたまま缶をひっくり返して、10分ほど蒸らします。(新聞紙の燃えカスが芝生に落ちてしまいましたが、芝生にダメージを負わせないよう冷え切ってから落とし、後にすべて回収)
お茶碗2杯分が完成! それでは実食!
いただきます!
底の方のお焦げがまた美味しいです。出来上がりの分量は、350ml1缶で、軽くお茶碗2杯分ほどでしょうか。
さて、今回新聞紙の薪でご飯を炊いてみたところ、火力が今一つでした。炊きあがりまで小一時間かかったので、新聞紙を使うのは本当にサバイバルな時ですね。
楽しみのために炊く場合は、牛乳パックの燃料か、バーナーまたは焚火台で炊くのが良さそうです。
味のバラエティ、炊き込みご飯5種
家にある備蓄品で楽しめる!
空き缶で炊き込みご飯を炊いてみました! 鍋や飯盒に比べて少量ずつ炊けますから、何種類か炊いて、みんなでいろんな味を楽しむこともできます。サバイバル飯のレパートリーとしても、参考にしてください。
キッチンにあるいつもの食材を使って色々試した中から、簡単で美味しかったものを5種、ご紹介しましょう。
その① ほぼ松茸ご飯
・エリンギ茸(小サイズ):半本
・松茸のお吸いものの素:2袋
研いだ米1合と水180mlを缶に入れ、松茸のお吸い物の素を入れてよく混ぜる。エリンギ茸は薄く切り、缶に入れる。30分以上浸水させる。炊き方は白飯と同じ。
エリンギ茸の姿形と歯ごたえが松茸っぽく、いい味出しています。余ったお吸いものの素はお湯を注いで、キャンプで松茸のフルコース!?
その② 蟹カマ飯
・カニカマ:3〜4本を半分の長さに切り、粗くほぐす
・だしの素(4g):1パック
・醤油:小さじ2杯
醤油小さじ2杯と水を合わせ、180mlに計量する。研いだ米1合とともに缶に入れ、だしの素を加えてよく混ぜる。カニカマを入れ、米と馴染むように底から混ぜる。30分以上浸水させる。炊き方は白飯と同じ。
一見して釜飯らしい感じに仕上がりましたが、お味の方は? カニカマからもだしが出て、まるで老舗の駅弁。かなり美味しいです!
青ネギの小口切りや刻み海苔を載せても。
その③ 懐かしのドライカレー
・ドライカレーの素:2人分
・干しぶどう:軽く一握り(多めが美味しいです)
ドライカレーのソース2人分と水を合わせ、180mlに計量する。研いだ米1合とともに缶に入れ、よく混ぜる。ドライカレーの具と干しぶどうを加えて底の方からよく混ぜる。30分以上浸水させる。炊き方は白飯と同じ。
キャンプには鉄板のカレーですが、趣向を変えてドライカレーはいかが? 懐かしの洋食店の味が空き缶でできちゃいました。
炊いている最中からカレーのいい匂いが漂って、よだれが出そうでした!
その④ 盛り盛りのいかめし
・イカの味付け煮缶詰(130g):1缶
・生姜の繊切り(あれば):ひとつまみ
イカ缶の汁と水を合わせ、180mlに計量する。研いだ米1合とともに缶に入れ、よく混ぜる。生姜は繊切りにする。イカを食べやすい大きさに切り、約2/3量を缶に入れる(残りはおつまみに!)。米とよく混ぜ、上に生姜を載せる。30分以上浸水させる。炊き方は白飯と同じ。
イカ缶の汁がご飯に染み込み、具も山盛り。BBQのあとの〆のご飯にぜひどうぞ。
その⑤ 真打ち登場!鶏めし
・やきとり缶(たれ味、85g):1缶
やきとり缶の汁と水を合わせ、180mlに計量する。研いだ米1合とともに缶に入れ、よく混ぜる。やきとりを入れて軽く混ぜる。30分以上浸水させる。炊き方は白飯と同じ。
やきとりの缶詰を入れて炊いただけ。でも、ちゃんと鶏めしができました。こんなに簡単にできちゃうの? と拍子抜けするくらい。
お好みで白ごまなどの薬味を載せてどうぞ。揉み海苔とわさびを添えて、お茶漬けにしてみたら絶品でした!
おまけ カンパンカナッペ
災害用に備蓄しておいたカンパン、賞味期限が近づいても、味が単調でいまいち食べきれないもの。そこで、友人がおつまみにしてくれました。カンパンの上にクリームチーズと生ハムを載せたカナッペです。カンパンのカリカリな食感と、トロリとしたチーズ、生ハムの複雑な塩味が絶妙に溶け合い、カンパンってこんなに美味しかったっけ!? と、驚きました。ビールにもワインにも缶チューハイにも合います。
※BPA(ビスフェノールA)の溶出について
缶の内側のコーティング剤を加熱すると、ごく微量のBPAと呼ばれる化学物質が溶け出すことがあります。たまのキャンプや災害時に空き缶で炊いたご飯を食べる程度なら、健康への影響は少ないとのことですので、あまり神経質にならなくても大丈夫でしょう。
心の片隅にサバメシ(サバイバル飯炊き)を!
ごく簡単なサバイバル術でも、知っていれば心の不安を少なくしてくれます。アウトドアでのキャンプは街の暮らしから離れて楽しむ一種のサバイバルゲーム。次のキャンプでは、ぜひサバメシをメニューに取り入れてみてください。
一度でも実際にやったことがあれば、いざという時に身体が憶えていますよ。
Survival rice-cooking experience makes yourself stronger than ever!
サバメシ体験があなたをもっと強くする!
参考サイト・mamanoko
・国際サバメシ研究会!
・アウトドアに役立つ200のサバイバル術