人気株のガレージブランドは代表の熱い思いが詰まっていました

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SotoLaboとはどんなブランド?

最初に販売したコットンタープ<KOKAGE-wing->は、初日で完売を果たし、カーミットチェアの張り替え生地の市販は同ブランドが初めて行った製品とされています。
取材のきっかけはネット通販でのある“失態”から……
本記事を執筆することになったきっかけは、インターネットで購入したある“失態”にさかのぼります。ネット通販が店頭販売より勢いが強い昨今。筆者も、スマホで簡単に購入できる利便性から、徐々にネットでの購入率が増えてきました。なかでも、レアものが続々と登場する「ネットオークション」は、毎日確認するほど中毒気味。


埼玉にあるSotoLaboの事務所へ実際に訪問!

<プロフィール>
江崎 孝(えさき たかし)
文化服装学院・技術科にてパターンメイキングを学び、その後アパレル会社へ就職。2009年に、アパレル事業を主体とした株式会社エヌエスアールを設立。並行してキャンプの張り替えオーダーを受けるようになってから、アパレル事業からキャンプ用品の製造へ事業を転換。現在はSotoLaboを主体としたキャンプ用品メーカーの代表として活動している。

今回作っていたのは、ガスカートリッジに被せるコットン地のカートリッジカバー。いまやブランドの代名詞とも言える人気商品です。


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SotoLaboの原点は「カーミットチェアの張り替え生地」の製作から

バイクに乗ってキャンプをしていたお客さんが、あるときにカーミットチェアの収納袋を紛失したと聞き、製作したのがきっかけです。本国の生地を輸入するとそれだけでコストがかなりかかるので、持っている生地を使って作ってお送りしたところ、大変喜んでいただきました。
— 収納袋を失くされたご友人から相談を受けたのが始まりだったのですね。ブランドのスタートもこの収納袋からですか?
ブランド自体は、同じカーミットチェアでも座面や背もたれの張り替え生地を製作したところが原点です。通常の生地にはロックミシン(布の端がほつれないようにする加工)がかかっていないため、そこから徐々に糸がほつれて滑脱(かつだつ)した状態になりやすいんです。自分のチェアがその状態になったので、生地を自ら作り、張り替えて実際に使ってみたのをブログにあげたところ、反響があり規模を広げていきました。
— ご自身のチェアで試した生地をネットに投稿して広まったのですね。会社名は株式会社エヌエスアールですが、このカーミットチェアの張り替え生地が起業の原点なのですか?
もともとは、本職であるアパレル分野の国内生産事業で2009年に起業しました。カーミットチェアの張り替え生地の製作が拡大してからは、日中にアパレル会社の運営をして、夜に生地の製作をする日々になり、徐々に事業を転換して本格的にキャンプ分野へ進みました。
自分も、まさか好きな分野で仕事ができるとは思ってもみませんでした(笑)。でも、アパレル事業をやっていたおかげで、生地の供給が十分にできたり、今までのお取引先から別の工場を紹介してもらえたりと、スムーズに製作ができました。
— なるほど、アパレル事業があってこそ今のキャンプ事業があるということですね。SotoLaboの代表作はコットンタープだと聞いています。
はい、2013年に発売したコットンタープ<KOKAGE wing>がブランドの最初の製品です。数はそんなに多くなかったですが、発売した初日に完売しました。
— 初日に完売したのですね! そのときの心境はいかがでしたか?
うれしい気持ちもありましたが、どちらかというと『ホッとした』という表現が当てはまるかもしれません。品質にはもちろん自身がありましたが、発売を公表したものの、当時の市場に受け入れられるかどうか不安でした。
「“自分が欲しいもの”と“お客様の声”の合致点にマッチした製品を作りたい」

ナイロン生地だと、日が照っているとタープ下がとても暑くなるので、とても快適とは言えないのが現実です。それに、当時のコットンタープはノルディスクくらいしか販売されていなかったので、自分の好きな色やデザインを取り入れながら製作しました。
— たしかに、コットンタープのほうが直射日光に対して快適に過ごせますね。
現在は台湾にも納品しているのですが、向こうの夏は朝から40度を超える猛暑。ナイロンの下ではとてもじゃないですが過ごすことができません。コットンタープであれば、ナイロンに比べて遮光性が強いので、快適に過ごしやすく重宝していると聞きます。
現在開発中の<cotton KOKAGE tarp WIDE>ですね。<cotton KOKAGE tarp >として3M×4Mしかなかったのですが、とあるお客さんから『もっと大きいスクエア型のものはないの?』と質問がきまして、ご要望を詳しく聞きながら試作を重ねてきました。
大型のスペックでアレンジを楽しめるコットンタープです。近日リリースを予定していますので、ご期待ください。
また、本気で商品化するには、自分が本当にこの商品が欲しいか? と毎度問い直しています。自分の気持ちが正直でないと、商品の仕上がりにもそれが反映されると思うので。自分が欲しいこととお客様の声が合致したときに、製品作りに取りかかります。
— たしかに、作り手の思いと製品の良さは関係してきますよね。原稿を書くときにも、すらすらと進む製品はどれも作り手の思いが詰まっていることがよくわかります。
私が欲しいものとお客さんの声の合致点を探すのは、メールやブランドページからの個人オーダーがとてもやりやすいので、これからもそれは継続していきたいです。
— オーダーメイドスタイルは、これからも続けていかれるのですね。最後に、SotoLaboで実現したい夢や今後の予定などを教えていただけますか?
タープや小物が徐々に軌道に乗ってきたので、コットンテントを製作したいです。製作に協力してくれる工場や素材自体の問題、コストなどさまざまな問題がありますが、いつか実現したいです。
また、SotoLaboはキャンプにおける“張り替えの文化”を築いたブランドだと自負しています。愛着が湧いたギアを長く使ったり、好きな色や素材にカスタムしたりして、よりキャンプの良さを発信できたらと思っています。
— 新しい製品ができることを楽しみにしています。この度はありがとうございました!
代表・江崎さんの取材を終えて

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