【代表インタビュー】「SotoLabo」の誕生秘話と“オーダーメイドスタイル”のこだわり

アイキャッチ画像撮影:小川

人気株のガレージブランドは代表の熱い思いが詰まっていました

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撮影:小川
2013年に立ち上がり、セレクトショップから大手量販店まで幅広いショップで取り扱いされているブランド『SotoLabo』。代表の江崎さんとお話をしているなかで、ブランドに対する愛情やモノづくりへのこだわり、将来の夢などが次々と登場し、どんどん引き込まれていきました。
  1. SotoLaboとはどんなブランド?

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出典:SotoLabo
SotoLaboは、「そとを楽しむ人のためのラボラトリー」をテーマに、国内生産とコットン生地にこだわって製造する注目のガレージブランド。

最初に販売したコットンタープ<KOKAGE-wing->は、初日で完売を果たし、カーミットチェアの張り替え生地の市販は同ブランドが初めて行った製品とされています。


取材のきっかけはネット通販でのある“失態”から……

本記事を執筆することになったきっかけは、インターネットで購入したある“失態”にさかのぼります。ネット通販が店頭販売より勢いが強い昨今。筆者も、スマホで簡単に購入できる利便性から、徐々にネットでの購入率が増えてきました。なかでも、レアものが続々と登場する「ネットオークション」は、毎日確認するほど中毒気味。

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撮影:小川
そんななか、念願のカーミットチェアを購入! 数日後に家に届いて、ワクワクした気持ちで開封すると、付属品であるはずの収納袋がない……。紹介文には、たしかに収納袋がついているという記載がなく、「やってしまった!」と残念な気分に。

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撮影:小川
ネットで探しても、カーミットチェアの収納袋は単体で販売されておらず、諦めかけていたそのとき! 「SotoLabo」のホームページに行き着きました。私と同じように、カーミットチェアの収納袋のみが欲しいという声がよくあるようで、オーダーを受けてから製作して郵送しているとのこと。いわゆる「オーダーメイド」スタイルです。

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撮影:小川
メールでやり取りを進めて、数日後に家にその収納袋が到着。素材はナイロンではなくコットンを使用し、使うほどアジがでる仕様に。通常の収納袋は、チェアがギリギリ収まるタイトなつくりをしていますが、こちらはゆったりとした形で簡単にチェアを収納することが可能。大満足でした!


埼玉にあるSotoLaboの事務所へ実際に訪問!

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撮影:小川
忠実に再現されたデザインにくわえ、細かいところまで丁寧に仕上げられた収納袋。どのようにしてこれを作っているのか。また、SotoLaboはどうやって誕生したのか。とても興味がわき、代表の江崎さんに連絡をとって事務所を訪問しました。

<プロフィール>
江崎 孝(えさき たかし)

文化服装学院・技術科にてパターンメイキングを学び、その後アパレル会社へ就職。2009年に、アパレル事業を主体とした株式会社エヌエスアールを設立。並行してキャンプの張り替えオーダーを受けるようになってから、アパレル事業からキャンプ用品の製造へ事業を転換。現在はSotoLaboを主体としたキャンプ用品メーカーの代表として活動している。

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撮影:小川
事務所は、ご自宅の1室に。もともとアパレル関連の事業を行なっていたこともあり、隅には現役で使っている業務用ミシンが配置されています。中央はミーティングができるテーブルチェアがあり(もちろんキャンプができる折りたたみ式のもの)、奥にはSotoLabo製品がズラリと並んでいます。

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撮影:小川
「事務所では、試作品や個人オーダーいただいた製品を作っています」ということで、実際に試作品を作っているところも見せてもらいました。

今回作っていたのは、ガスカートリッジに被せるコットン地のカートリッジカバー。いまやブランドの代名詞とも言える人気商品です。

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撮影:小川
ミシンで一気に縫い上げたあと、バキューム機能が付いた業務用アイロン台で仕上げ。バキューム機能があることで、アイロンの熱や水蒸気を吸い上げ、パリッとした仕上がりに整えることができるとのこと。

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撮影:小川
実際にガスカートリッジにはめて、微調整をしてきます。完成した試作品は、図面とともに東北の工場へ送り、それをもとに量産するそうです。
  1. SotoLaboの原点は「カーミットチェアの張り替え生地」の製作から

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撮影:小川
— この度はカーミットチェアの収納袋を作ってくださり、ありがとうございました。依頼したきっかけであるホームページを見ると、「収納袋のみが欲しいという人が多い」と記載されていました。この収納袋を作るようになったきっかけを教えてください。

バイクに乗ってキャンプをしていたお客さんが、あるときにカーミットチェアの収納袋を紛失したと聞き、製作したのがきっかけです。本国の生地を輸入するとそれだけでコストがかなりかかるので、持っている生地を使って作ってお送りしたところ、大変喜んでいただきました。

— 収納袋を失くされたご友人から相談を受けたのが始まりだったのですね。ブランドのスタートもこの収納袋からですか?

ブランド自体は、同じカーミットチェアでも座面や背もたれの張り替え生地を製作したところが原点です。通常の生地にはロックミシン(布の端がほつれないようにする加工)がかかっていないため、そこから徐々に糸がほつれて滑脱(かつだつ)した状態になりやすいんです。自分のチェアがその状態になったので、生地を自ら作り、張り替えて実際に使ってみたのをブログにあげたところ、反響があり規模を広げていきました。

— ご自身のチェアで試した生地をネットに投稿して広まったのですね。会社名は株式会社エヌエスアールですが、このカーミットチェアの張り替え生地が起業の原点なのですか?

もともとは、本職であるアパレル分野の国内生産事業で2009年に起業しました。カーミットチェアの張り替え生地の製作が拡大してからは、日中にアパレル会社の運営をして、夜に生地の製作をする日々になり、徐々に事業を転換して本格的にキャンプ分野へ進みました。

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撮影:小川
— アパレルからキャンプへの転換ですか! 異色ですね。

自分も、まさか好きな分野で仕事ができるとは思ってもみませんでした(笑)。でも、アパレル事業をやっていたおかげで、生地の供給が十分にできたり、今までのお取引先から別の工場を紹介してもらえたりと、スムーズに製作ができました。

— なるほど、アパレル事業があってこそ今のキャンプ事業があるということですね。SotoLaboの代表作はコットンタープだと聞いています。

はい、2013年に発売したコットンタープ<KOKAGE wing>がブランドの最初の製品です。数はそんなに多くなかったですが、発売した初日に完売しました。

— 初日に完売したのですね! そのときの心境はいかがでしたか?

うれしい気持ちもありましたが、どちらかというと『ホッとした』という表現が当てはまるかもしれません。品質にはもちろん自身がありましたが、発売を公表したものの、当時の市場に受け入れられるかどうか不安でした。


「“自分が欲しいもの”と“お客様の声”の合致点にマッチした製品を作りたい」

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撮影:小川
— 最初の製品は、反応が気になりますよね。タープをコットン生地にこだわったのは、何か理由があるのですか?

ナイロン生地だと、日が照っているとタープ下がとても暑くなるので、とても快適とは言えないのが現実です。それに、当時のコットンタープはノルディスクくらいしか販売されていなかったので、自分の好きな色やデザインを取り入れながら製作しました。

— たしかに、コットンタープのほうが直射日光に対して快適に過ごせますね。

現在は台湾にも納品しているのですが、向こうの夏は朝から40度を超える猛暑。ナイロンの下ではとてもじゃないですが過ごすことができません。コットンタープであれば、ナイロンに比べて遮光性が強いので、快適に過ごしやすく重宝していると聞きます。

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撮影:小川
— 海外展開もしているのですね! 日本では、お客さんの声で実現した製品は何かあるのですか?

現在開発中の<cotton KOKAGE tarp WIDE>ですね。<cotton KOKAGE tarp >として3M×4Mしかなかったのですが、とあるお客さんから『もっと大きいスクエア型のものはないの?』と質問がきまして、ご要望を詳しく聞きながら試作を重ねてきました。

大型のスペックでアレンジを楽しめるコットンタープです。近日リリースを予定していますので、ご期待ください。

また、本気で商品化するには、自分が本当にこの商品が欲しいか? と毎度問い直しています。自分の気持ちが正直でないと、商品の仕上がりにもそれが反映されると思うので。自分が欲しいこととお客様の声が合致したときに、製品作りに取りかかります。

— たしかに、作り手の思いと製品の良さは関係してきますよね。原稿を書くときにも、すらすらと進む製品はどれも作り手の思いが詰まっていることがよくわかります。

私が欲しいものとお客さんの声の合致点を探すのは、メールやブランドページからの個人オーダーがとてもやりやすいので、これからもそれは継続していきたいです。

— オーダーメイドスタイルは、これからも続けていかれるのですね。最後に、SotoLaboで実現したい夢や今後の予定などを教えていただけますか?

タープや小物が徐々に軌道に乗ってきたので、コットンテントを製作したいです。製作に協力してくれる工場や素材自体の問題、コストなどさまざまな問題がありますが、いつか実現したいです。

また、SotoLaboはキャンプにおける“張り替えの文化”を築いたブランドだと自負しています。愛着が湧いたギアを長く使ったり、好きな色や素材にカスタムしたりして、よりキャンプの良さを発信できたらと思っています。

— 新しい製品ができることを楽しみにしています。この度はありがとうございました!

代表・江崎さんの取材を終えて

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撮影:小川
国内生産とコットン素材というもっともコストがかかる分野に挑戦し続けるSotoLaboは、これからも目が離せないブランドのひとつ。オリジナルのテント、ぜひとも実現してほしいです!

SotoLaboのホームページはこちら

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