車中泊の気になること。先輩車中泊キャンパーに全部聞いちゃいました!
アウトドアの新定番である車中泊。車とともに暮らすバンライファーも増加し、“寝床=車”というスタイルも今や違和感のない時代となりました。では、実践するにはどうすればよいのでしょうか?「どんな車種でどういったギアが必要? カスタムは?」そんな疑問は先輩車中泊キャンパーを参考にしたいところ。 一歩を踏み出すのに必要な情報は先駆者が教えてくれます。
装備だけでなく食事のことや車中泊の魅力、失敗談まで幅広く伺い、ビギナーが抱きがちなモヤモヤと不安を払拭! 今回は、約1年半前にテント泊からバン泊に切り替えた小濱さんを直撃しました。
ソロに限らずファミリーでも車中泊しているだけに、たくさんのヒントがありそうです。
什器や資材の運搬に便利で寝所にもなるから、三菱「デリカスペースギア」
自らアウトドアギアをプロデュースするだけにキャンプ歴が長く、愛車にもこだわりがたくさん詰まり、気持ち良く過ごせる工夫が随所に見られます。
これまでの愛車遍歴は?
小濱さんの愛車遍歴は、高校生時代から憧れていたという日産「ラシーン」から始まり、維持費と小回りの良さに惹かれスズキ「ジムニー」へ。そこから現在の三菱「デリカスペースギア」に。どうしてデリカをチョイス?
仕事柄、地方出張が増えたため資材の運搬がしやすく、仮眠もできるクルマが欲しいなと。同時に、ネットで海外の情報を集めるうち、バンライフに強く興味を持つようになりました。
運搬はもちろんモバイルオフィス的に使えて、ギアも積みっぱなしにできるバンライフをテーマに中古車探し。それで出会ったのが「デリカスペースギア」でした。
広大なスペースを生かした寝室作り
小濱さんの「デリカスペースギア 」は、あまり出回っていないGグレードのロングボディ。10人乗りの4列シートと、標準より車体が約40cm長い仕様です。その分、ゆとりある内装カスタムが楽しめます。バンライフに憧れる身として、やはり内装にはウッディなテイストが欠かせません。海外のバンライファーっぽく車内空間すべてをウッドで施工しようかとも。
しかし、サイドまで木で覆うと車内スペースが狭小化してしまい、家族3人が横になることを想定するとキツい。重点的に手を加えるのは天井と床部分のみに抑えました。こういったカスタムは、仕事で空間デザインを手がけていた経験もあるので、全て自分で行いました。
3列目シートは撤去して、4列目の背もたれが倒れた状態でフラットになるよう、合板を渡して寝室に。ロングボディなので2 列目シートを残した状態でも、身長180cmの私が足を伸ばして寝転べるだけの空間が確保できました。
資材やキャンプ道具などはベッド下にたっぷり収納できますから、テーブルやチェア、クーラーボックスなどは積んだまま。
休日には駐車場でキャンプごっこをしたり、お昼寝スペースにしたりと、子供にとってもテンションが上がる空間のようです。もちろん、ベッド部分の合板を外せばシートが復活。状況に応じて使い分けています。
車中泊スタイルについて
車中泊にハマったきっかけは?
10年以上前からキャンプや登山などを楽しんでいますが、私も妻もかなり面倒くさがりなところがあり……。テントの設営と撤収をしなくて済み、天候にも左右されず、好きなときに移動してどこでも宿泊できる車中泊は理想的。「デリカスペースギア」に乗るようになってから一気に移行しました。
必ずクルマの中で寝なきゃいけないという理由はなく、キャンプ場なら近くにテントを張っても良いしタープだけでも良い。天気が悪くなったらすぐに移動だってできます。その時々で最適な宿泊スタイルを、自由に選べるのが一番の魅力だと思います。
お気に入りの車中泊スタイルはどんなの?
アウトドアの気持ち良さを気軽に味わえるカーサイドタープスタイルがスタンダードです。設営を簡略化したいので、メインで使っているタープは片側をタイヤに固定するだけで良いクイックキャンプの「カーサイドタープ(QC-CT500)」。
低めポールによってタープを変形させればシェルター風の使い方ができ、昼間はオープンスタイル、夜は閉じてクルマのバックドアのみ開ければ、空気が流れるのに周囲の目は気にならないプライベートスペースとなります。就寝時にはドアをクローズするだけでOKだからストレスフリーです。
●収納サイズ(目安):幅70×20×20cm
●重量:約4.4kg
●素材:ポリエステル UVカット加工 ポール:スチール
●耐水圧:1200mm
●付属品:本体 スチールポール2本 ペグ8本 延長ロープ 車体固定用吸盤 張り縄×8
快適に過ごすためのマストアイテムは?
車内で火を扱うことは避けたい反面、テント内と同じような雰囲気は演出したいと考え、デイツの「ハリケーンランタン」にLEDフェアリーライトを仕込みました。オンオフや明るさ、点灯間隔の変更がリモコン操作できるのも便利です。
乾燥している季節はアロマディフューザーがあると快適です。特にモバイルバッテリー対応や充電タイプだと、エンジンをかけなくても使えて重宝。好みの香りを持っていけば、自宅同様のリラックス空間が作れますよ。
食事はどうしている?
グループキャンプの時と違い、私たち家族の車中泊はいかに楽できるかに尽きます。地元の名物が近くで食べられるなら出向きますし、調理するにしてもプリムスのシングルバーナーやコベア程度の装備で手早く。おつまみに缶詰やおでんを温めたり、朝はパンやベーコンを焼いたりと、それだけで足りている感じです。コーヒーすらインスタントなので、さすがに味気ないなとモカエキスプレスの購入を検討しています。
どこで車中泊している? お気に入りのスポットを教えて!
ソロだと川音を聞きながらのんびり焚き火できる「青野原オートキャンプ場」。妻と娘が一緒なら各地の道の駅が多いです。自宅を夜出発、途中の道の駅で一度休んで、朝になったら移動と。昨年、伊豆に向かう際に寄った長浜海浜公園は、ビーチの目の前で車中泊でき、レストランや温泉、大型遊具のある公園へ徒歩で行けました。子供連れには最高の環境でしたね。
青野原オートキャンプ場の詳細はこちら
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車中泊での失敗、注意すべきことは?
一番厄介なのは夏だと思います。起きている時間帯はいろいろ対策できますが、夜になってプライバシー確保のためにカーテンや窓を閉めると風が入らず……。かといってアイドリング状態でエアコンを使うのはマナー的にNG。仕方なく窓を開け放てば数秒経たずに蚊が。一晩中不快な飛行音にまとわりつかれ、翌朝は寝不足。しかも数カ所刺されている、なんて嫌な思い出があります。
道の駅は立地に注意を。交通量の多い道路に近いと夜中でも出入りが頻繁で、走行音響く大型トラックまでやってきます。騒音でなかなか寝つけないかもしれません。
これから車中泊を始めたい! という方にアドバイスを
クルマ1台で誰でもすぐにできるのが車中泊。寝室を作らないといけないルールなんてないですし、快適性も好み次第だと思います。そういう意味でハードルは低く、テント泊をするよりむしろ簡単。ただ、冬は厚着や寝袋で乗り越えられますが、夏になると暑さと虫対策が欠かせません。ソロ用メッシュテントを持ち込んだり、窓にメッシュネットを取り付けたりするのがオススメです。
個人間カーシェアリングが普及してきています。車中泊に興味があるなら試しにバンタイプのクルマを借りて、近場で体験してみると良いかもしれませんよ。
誰もが挑戦できる、ユルくて現実的なバンライフを実践
前職を生かして快適&素敵なインテリアを車内に完成させた小濱さん。息抜き的にバンライフを送るスタイルも、多くの人が参考にできるはずです。これからやってくるハイシーズン、キャンプ初心者なら彼のようなカーサイドタープスタイルから入るとスムーズでしょうね。Text:金井幸男 Edit:GGGC