憧れのUSパップ(的な)テント
ソロキャンプブームの影響もあり、高い人気を誇るUSパップテント。ガチのミリタリーギアということで扱いが難しく、それっぽいテントが各社からリリースされています。そんななか、BUNDOK(バンドック)が手がけた「ソロベース」が高クオリティだと大評判! 実際に現物を使ってみました!
こちらが話題になっているバンドックの「ソロベース」。USパップテントのフォルムやカラーを再現しつつ、付属品も充実しています。
またTC素材が採用されているので、本家と同じ……ほどではないかもしれませんが、火の粉に強いという特長も。それでいて実勢価格が2万円を切るという、驚きの価格で出回っています(※2020年2月17日現在。Amazon販売価格より)。
収納状態&中身をチェック
それでは、バンドック「ソロベース」の実力に迫っていきます! まずは収納状態を見てみましょう。余裕で持ち運べるサイズ感
収納時のサイズは直径20cm×長さ40cm、重量は約4.4kgです。コールマンの「 ツーリングドームST」と同じくらいですね。
ソロテントとして「驚きの軽量コンパクト!」ということはありませんが、クルマやバイクで移動するキャンプなら、負担になるサイズではないかと。
「インナーテント」から「サブポール」まで付属する充実さ!
中身を出してみました。左からインナーテント、フライシートというかテント本体、大小の袋が1つずつ。
大小の袋の中を出してみました。ポールが4本とガイライン、ペグまで付属します。4本のポールは、幕を立てるメインポールが2本と、キャノピーを跳ね上げるためのサブポールが2本という内訳。
アレンジ可能なフライシート本体
さっそく設営していきましょう。収納袋に説明書が縫い付けられているので、見ながらやっていきます。といっても、非常にシンプルな設営方法でしたが。
まずメインポール2本で幕を起こし、あとは裾をペグダウンするだけ。初見でも30分はかからないと思います。
それもそのはず、もともとシンプルなUSパップテントの設営方法が、バンドックによって懇切丁寧なものになっているのですから。
ちなみにメインポールを立てるためのガイラインは、あらかじめ二股になっているという親切さでした。
あっさり完成!サイズ感は?
キャノピー内に座ってみました。筆者の身長180cm台で、チェアはフィールドアの「ポータブルチェア T/C」です。
モロに頭が当たるので、もっと低いチェアを選ぶか、あるいは武骨にジベタリアンで過ごすのがよさそうですね。
コット寝を想定してレイアウトしてみました。ご覧の通り、コットも余裕をもって収まるし、足元にも枕元にも、そこそこの荷物を収納することができます。
張り方は自由自在
こんなポールの使い方をする人はいないと思いますが、サイド部分を開けることも可能。キャノピーを下ろした後の夜間の出入りは、こちらがよさそうですね。
開閉部分はすべて丸めてフックすることができるので、開放具合のアレンジは自由自在。
こんなふうに、完全にタープ利用することもできてしまいます。実際にUSパップテントを使っているキャンパーが、「こうなればいいのに」と実体験を活かして開発したとしか思えません。ナイステントです。
インナーテント付属も嬉しいポイント
取り付け楽々
本家のUSパップテントには存在しない付属品ですが、快適性を高めるためにインナーテントは欠かせません。
4ヶ所のバックルと1ヶ所のフック、2ヶ所のペグダウンで完了と、取り付けはいたって簡単でした。ペグダウンしているのは手前の下2ヶ所ですが、こちらのループはメインポールに通してしまってもいいかも。
奥側の下、2ヶ所のバックルは外からでも脱着可能。これはラクチンですね。
フルメッシュで夏もバッチリ
インナーテントは全面がメッシュになっています。夏には虫対策をしつつ、涼しく過ごせそうですね。
両サイドにポケットがあり、小物を入れることができます。天井にはランタンフックもありました。使い勝手がしっかり考慮された、優秀なインナーテントだと言えるでしょう。
入り口のアレンジ可能
インナーテント出入り口のジップは三つ又になっています。「こういうのって片側だけしか開けなくなるんだよな」などと思っていましたが……。
こんな大胆な開け方が紹介されていました。外幕もそうですが、とにかく自分なりのアレンジができる製品なんです。
気の利いてる3つのポイント
雨風対策もバッチリの「ジップ加工」
本家パップテントの場合、自分でジップ加工をする必要があります。ソロベースではそれがあらかじめ施されているだけでなく、ジップ全体が比翼仕立てで覆われる構造です。雨対策でもあり、風対策でもあります。
弱点をカバーする「エンドキャップ」
ポールはハトメに通して固定するので、エンドキャップが付属します。ポールとハトメとの隙間はわずかではありますが、雨が侵入しそうな部分ですからね。
跳ね上げ用の「サブポール」も付属
当たり前のように、跳ね上げている様子を紹介していましたが、こういったサブポールは別売りしているテントがほとんど。
サブポールまで付属するとは、至れり尽くせりのオマージュ品ですね。憧れのパップテントをグッと身近にしてくれました。
バンドック ソロベース
●フライ材質:コットン混紡生地(ポリエステル65%・綿35%)
●フライサイズ:W360xD190xH110cm
●インナーサイズ:W190xD85xH100cm
●重量(約)4.4kg
●収納サイズ:(約)W40xD20xH20cm
●対応人数:1人
●フライサイズ:W360xD190xH110cm
●インナーサイズ:W190xD85xH100cm
●重量(約)4.4kg
●収納サイズ:(約)W40xD20xH20cm
●対応人数:1人
【検証その1:火の粉に強い?】至近距離で焚き火してみた
さてTC素材を採用しているということなので、焚き火台を強気な距離に配置して、火の粉をガンガン飛ばしてみましょう。もしDDタープなどを張っている場合は、ほとんど自殺行為の距離です。
6時間のソロ焚き火を敢行
夕暮れ前から焚き火を開始しました。できるだけ高く薪を組んで、炎を大きくするよう心がけています。よく写真を見ると、キャノピーに向かって飛んでいる火の粉が確認できます。
たっぷり6時間、焚き火しました。熱さと煙に耐えきれず、ときどき外に避難するということまでやって、焚き火を続けました。まったくの余談ですが、飲んでいるのは燗をつけた「日本盛」のカップ酒です。
さすがTC素材!
翌朝、キャノピーを確認してみると……小穴が空いているようなダメージはゼロ! あんなにがんばって焚き火を続けたのに、いい意味で拍子抜けでした。
じっくりじっくり観察したのですが、やっぱりダメージは皆無。変化といえば、サブポールに結びつけたロープが、焚き火のしすぎで黄色く変色していたぐらいでした。
おそらくキャノピーの真下で焚き火しても、同じ結果になるような気がします。というわけで火の粉への強さは十二分でした。
【検証その2:結露はどう?】河原で一夜をともにしてみた
さて時間を夜に戻して、就寝の様子を。そろそろキャノピーを下ろして寝る準備に取り掛かります。
ところでLEDランタンを最大光量で吊るしているんですが、ほとんど透けてませんね。着替え時のシルエットが浮かぶことなく、プライバシーが守られます。
夜露を避けるためにチェアを中に入れたので、背もたれが覆いかぶさってくるようなレイアウトに。次は地べたに座るスタイルにしようと思いました。
そこそこの結露が……
TC素材は結露がつきにくいはずなんですが、そこそこの結露が確認できました。この朝の気温は氷点下、しかし幕内は5℃程度だったので、どうしても結露は発生してしまう状況でした。
また川のすぐそばに設営したため、地面から通常以上の湿気が立ち昇ったのも原因かと。
夜露も多かったようで、外側も水滴だらけでした。しかし防水加工が利いているのか、水が染み込んで変色している部分は見つからず。
基本的にTC素材は雨天での使用が推奨されませんが、ちょっとした雨なら耐えられそうです。
反面、防水加工の効能が効いているうちは、TCらしい結露のしにくさが発揮されないのかもしれません。
【検証その3:防水・撥水性は?】水をぶっかけてみた
さて、このいかにも失くしてしまいそうなエンドキャップ。これが非常に重要な役割を担っています。これがないと雨が室内に侵入してしまうんです。
バケツで水をぶっかけてみた
メインポールに接するように、綿100%のグレーのカットソーを配置しました。上からバケツで水を浴びせ、エンドキャップの有無でどう違うのか検証していきます。
まずはエンドキャップを装着した状態から。
このようなバケツチャレンジを2回、強要しました。
繰り返しますが、TC素材のテントをリリースしているメーカー各社は、雨天での使用を推奨していません。当製品も「完全防水ではありません」と公式に断言されています。しかしキャンプ中の降雨を完全に回避することは困難ですから、念のため検証しています。
結果はこの通り。水が落ちた痕跡は見当たりませんでした。
エンドキャップがないと?
次にエンドキャップを外してやってみましょう。まず1回目!
そして2回目! これで計4回目の放水となりますが、これまでの3回で浴びた水が、見事に撥水されている表面にもご注目ください。
ジップを開けてみると……異変が! ポールに触れている部分が変色しているように見えます。
ポールをよく見ると、水滴がつたっていました。あの小さなエンドキャップを付けなかっただけで、こんなことになるとは……。
カットソーはこの通り、水滴が落ちた証拠を残していました。これではもう、このカットソーを着ることができません(乾くまで)。エンドキャップの付け忘れと紛失には、くれぐれも気をつけたいですね。
ジェネリックに徹したテント
実際に現物を見て、使って、非常に完成度の高いテントであることがわかりました。そんな実力以上に、好感を持った部分があるので最後にご紹介します。
それは、このロゴの目立たなさ! ぶっちゃけよく探さないと見つかりません。冒頭で収納状態の写真を載せていますが、収納袋でもブランド名がわかりにくいんです。
「パップテントをモチーフにつくった、我社のテント」という開発者や広報のドヤ顔がまったく浮かびません。USパップテントを実直にアップデートさせた、ジェネリックに徹した製品なのだと察することができます。
設営が簡単で、フォルムがかっこよくて、しかも火に強い……バンドックの「ソロベース」、大好きです。
バンドック ソロベース
●フライ材質:コットン混紡生地(ポリエステル65%・綿35%)
●フライサイズ:W360xD190xH110cm
●インナーサイズ:W190xD85xH100cm
●重量(約)4.4kg
●収納サイズ:(約)W40xD20xH20cm
●対応人数:1人
●フライサイズ:W360xD190xH110cm
●インナーサイズ:W190xD85xH100cm
●重量(約)4.4kg
●収納サイズ:(約)W40xD20xH20cm
●対応人数:1人