未曾有の強風による大停電、役立ったものは
2019年9月9日、千葉県を中心に、首都圏を強い台風が通過。筆者の住む房総半島中部地域では、午前3時過ぎから停電に。
一夜明けると、強風に伴う倒壊が相次ぎ、広範囲な停電に見舞われました。約1ヶ月が過ぎた今、停電や断水も少しずつ復旧しつつあります。電気や土木技術者の方々による不眠不休のご尽力、公職に携わる方々、続々と現地入りしてくださるボランティアの皆様のおかげと感謝します。
キャンプギアがあって良かった……
大規模停電中に心強かったのは、いつも使っているキャンプギアの存在でした。その中から実際に何が使えたかを、一部再現画像を交えてご紹介します。筆者の経験が少しでも今後の参考になれば幸いです。
この先、台風についての記述が続きます。もし、ここまでご覧になってお辛い気持ちになられた方は、どうかこの記事を閉じてください。
① まずは明かりの確保
ソーラーランタン 「キャリー・ザ・サン」
本当にこれには助けられました。太陽光で充電ができる軽量LEDランタン「キャリー・ザ・サン(旧商品名:ソーラーパフ)」です。暗い家の中を常に持ち歩いていました。約7〜9時間太陽光に当てればフル充電ができ、強(約100ルーメン)では10時間、中(約20ルーメン)では42時間、弱(約10ルーメン)なら72時間にわたって点灯してくれます。
軽くて場所を取らず、安全
停電中は晴れ間を狙って毎日充電。電池も電源も不要。重量約86g、たたむと21×11cm、厚さは1.2cmととてもコンパクト。柔らかなPET樹脂製で、誤って上から落ちてきても怪我の心配がありません。火を使わない明かりなので、小さなお子さんがいるお宅にもおすすめです。
停電中はずっと暖色系ランタンの下で夕ご飯
充電したライトを吊るして夕ご飯。幸いなことに水道とガスは来ていたので、しばらくはレトルトカレーやインスタント食品、お惣菜で凌ぎました。
手持ちは暖色系の「ウォームライト」2個。ほのぼのとした光の色に癒されました。明るい白色系のLEDランタンもあったのですが、なんだかくつろげずに、このLEDランタンを主に使っていました。
行水にも便利
停電で給湯器が使えず、やかんで湯を沸かしてバケツにぬるま湯を作り、お風呂は行水で済ませました。このLEDランタンは防水・防塵設計で、風呂場でも大活躍。ちなみに、バケツにかかっているのはユニフレームの「UFシェラカップ 900」です。体を流すとき、手桶として抜群の性能を発揮。“でかシェラカップ”の新たな用途を発見してしまいました。
モンベル 「パワーヘッドランプ」
家の中の移動に重宝したのは、キャンプでもおなじみのヘッドランプ。暗闇の家の中でも比較的安全に動けます。このモンベルの製品「パワーヘッドランプ」は、明るさ200ルーメン、視野角の広い高輝度白色LED1灯と、20ルーメンの電球色LED2灯を装備。単4電池3本で稼働します。
充電式のヘッドランプも簡便ですが、電源のあてがない時に困ることも。乾電池式ヘッドランプの信頼性を再認識しました。
階段やトイレに重宝
とくに、真っ暗な階段の足元を照らすことができたのは安心でした。トイレの中でも両手が空きます。
ゆらぎモードが心地良い、スノーピーク「たねほおずき」
いつもはテント内の照明に使っている「たねほおずき」。電球色LEDの穏やかな明かりは、ろうそくの炎のようなゆらぎモードを搭載。情報が少なく不安が募る夜に、ほのかに揺れる光があるだけで安らぎました。
単4アルカリ乾電池3本使用、「HI」の連続点灯時間は約60時間、「LOW」で約100時間。電池さえあれば使えるライト、1つは備えがあったほうがいいなあと痛感。
マグネットで固定できる
ループ先端のマグネットで設置可能。キッチンでは換気扇のフードに下げて画像のように使っていました。
1つ目でご紹介した「キャリー・ザ・サン」では、こういった配置は難しかったので、非常に助かりました。
② 頼れる高性能保冷剤
さすがはロゴス「倍速凍結 氷点下パック」
主婦として、停電で心配なのはやはり冷蔵庫。凍結するまでやや時間がかかるロゴスの「倍速凍結 氷点下パックXL」は、キャンプに備えて冷凍庫に入れっぱなし。これがいい仕事をしてくれました。
電気の復旧を待つ間、コンビニを駆け回ってどうにか手に入れた板氷を冷凍庫に補充し封印。筆者の地域は停電4日目という早いうちに復旧しましたが、その間、冷凍庫の中身も氷点下パックもギリギリ0℃を保っていました。今後の為にも、氷点下パックと板氷は常備しています。
③ 傍にはレインウェア
モンベル 「ストームクルーザー」
「警戒レベル3(避難準備)」や「警戒レベル4(避難勧告・避難指示)」が発令されたら、これを着て出よう。そう思いながら市の防災無線を聴いていました。
強い風で傘は役に立たず、ポンチョやレインコートでは煽られそう。街灯の消えた暗闇の移動を考えると、身体に沿う上下セパレートタイプのレインウェアが動きやすく適しています。透湿防水素材使用で蒸れも少ないことは雨キャンプの撤収で実証済み。
※警戒レベル1〜5について、内閣府のまとめはこちら
④ 持ってて良かった電気製品
乾電池式のラジオ2種
停電中、主な情報源はAM/FMが入る「備蓄ラジオ」(手前)。市の斡旋で設置していた「防災ラジオ」(奥)は、市役所からの防災無線も入る仕様。
乾電池式ですが、鳴らないので電池ボックスを開けてみると、中の乾電池が液漏れしていて清掃する始末。普段から確認しておかねばと痛感しました。
手回し発電もできる、太知ホールディングス「備蓄ラジオ」
電池が切れても裏のハンドルを回すと発電でき、USB端子付属でスマホの充電も可能。これも安心材料でした。
大容量のモバイルバッテリーは必需品
電源が確保されている市役所や公民館には、充電コーナーが設置されました。多数の方が訪れ、混雑するところも。家に予備のモバイルバッテリーがあったので、まずはそれを使うことに。
ラジオ(右)は常にオン、スマホを見るのは最小限に。
最も困ったのは、テレビも電話も使えず、停電復旧の見込みや援助物資等の情報が入らないこと。そして、実際にどんな被害が起きているのかを発信できないことでした。中継基地局の電源切れのためスマホの電池がみるみる減っていく中、数回分の充電ができるモバイルバッテリー(左)は頼もしかったです。
後日、筆者も連泊キャンプ用を兼ねて、容量の大きいモバイルバッテリーに買い換えました(中)。ゆくゆくは太陽光充電パネルとも接続できるポータブル電源を購入予定です。
⑤ 水や物資を運ぶアウトドアワゴン
断水時に活躍、コールマン「アウトドアワゴン」
井戸水をポンプで汲み上げているところや高層住宅では、停電と同時に断水に……。公民館などの災害用井戸が解放され、給水車による配水も行われました。いつもキャンプ道具を運んでいる「アウトドアワゴン」。この耐荷重は約100kgあるので、重たい水の運搬にも適役です。
キャンプギアはまさかの時に頼りになる
自然の中で、団らんを楽しむためのキャンプギア。図らずも停電中にどれだけ役立つかの確認になりました。同じ自然の様相でも、いったん牙を剥けばこのような厳しい一面をあらわにします。キャンプ道具は優れた防災用具にも成り代わるもの。災害時にお手持ちの道具をどう使うか、ご家族皆様で話し合うきっかけになればと思いつつ……。
未だ復旧途上の皆様に心よりお見舞いを申し上げますとともに、1日も早く安寧な暮らしに戻れますようお祈りいたします。