どこのブランドのギアだろう?と思ったら、なんとDIYでした
キャンプギアの車への収納、どうしてます? 「どうしてるかって、そりゃテトリスですよ」という返答が聞こえてきそうですが、Instagramで見事な収納テクニックを発見しました。天板を装着したシェルフコンテナとラックにより、3階建て構造できれいに収められているんです。
どうやら自作したらしい
しかもこのラック、キャンプサイトではロースタイルのキッチンテーブルとして活躍する模様。ジャグ置き場、洗い物を入れるメッシュトレイ、ガス台……と見るからに使いやすそうなキッチンテーブルですが、Instagramのコメントを読むと、なんと自作したそう!製作キャンパーを直撃!
自作したキャンパーの名はasayanさん。福井県在住、54歳のパパとのこと。ご家族と一緒にDIYフル活用のキャンプを楽しんでいるようですね。どのくらいの費用と手間で作れるものなのか、直撃取材してみました。随所に見られるこだわり機能
使いやすいレイアウト
いきなり費用や製作時間といったコストの話をするのもお行儀が悪いので、まずはどんなギアなのかをしっかり教えてもらいましょう。――こんにちは、CAMP HACKです。自作されたキッチンテーブルの話を聞かせてください。
こんにちは! 喜んで協力させていただきます。よろしくお願いします。
――便利そうな様子がInstagramのポストから伝わってきますね。
使いやすいレイアウトに設計したので、料理がしやすくなりました。
――メインテーブルとサイドラック、高さの異なる構造にポイントが?
はい。メインテーブルでカットした食材を、斜め下方向にあるツーバーナーのフライパン等に、スムーズに移動させられます。
――流れるように作業できるというわけですね。
ただバーナー台の奥行きジャストサイズで、娘が使用するにはツーバーナーが落下しそうな気がしたので、どうしようか悩みました。
――それは危険ですね。どういった解決を?
ツーバーナーの脚とキッチンカウンターの台を、U字金具で留められるようにすることで解決しました。
――なるほど、これなら娘さんでも安心ですね。娘さんが調理を?
はい、娘のサイズに合わせた設計なので、進んで料理を担当できるようになりました。このテーブルが完成してから、食パンとハムエッグの朝食、焼き飯、たい焼き………と料理してくれましたよ。
子供たちがいろいろな経験をするのは、ファミリーキャンプの醍醐味。子供にも使いやすいように設計した結果、調理面での経験と成長を促しているというわけです。DIYした甲斐がありましたね。
秀逸な使い勝手
――サイズとレイアウト以外に、使いやすい工夫はありますか?天板にオタマなどを吊り下げられるようにしたので、さっと取り出せて便利です。
こうした調理用具の置き場に困るのがキャンプの常。この吊り下げ機能は果てしなく便利なことでしょう。写真を拝見すると、こうした便利そうな工夫があちこちに散りばめられています。
洗った食器を乾かすためのトレイ。ハンギングネットを使っているキャンパーも多いと思いますが、これなら座ったまま食器を取り出すことができます。
メインテーブル自体が2階建てなので、下段に食器や食材を置いておくことも可能。キャンプギアを車の荷室に収納するときに便利なDIYテーブルなんですが、それ自体にも収納力があるという……発明レベルの便利さです。
以上、キッチンテーブルとしての機能を見てきました。機能だけでなく、味のある佇まいも素晴らしいですよね。ちなみに脚の結合部にある黒い金属パーツは「ソーホースブラケット」といい、DIY界では定番の部品です。
さて、それでは収納時の活躍っぷりに話を進めましょう。
驚きのピッタリ収納
ここからは、このギアを知ったきっかけである収納ラック編です。荷室の形状に合わせて……
シェルフコンテナの上にDIYテーブルだけを積んだ状態がこちら。上の写真赤丸のある天板の向こう側の角に注目してください。跳ね上げたサードシートの窪みに、見事にはまってますね。――この天板のはまり具合、最初から狙ったんですか?
はい、狙っていました。自作したテーブルの脚は折りたたみできないので、ならラックとして使おうと思い、シビアにサイズを決めたんです。
――これ、高さをちょうどよく設計するのが難しかったのでは?
そうですね。ソーホースブラケットを利用した脚なので、脚の木材は斜めになります。三角関数で垂直方向の高さを求めるのに苦労しました……。
愛車の荷室に合わせた見事なジャストサイズ、既成品にはマネのできない芸当ですね。ひとつ前の写真を見返してほしいのですが、メインテーブルの脚の下に、サイドラックの脚がすっぽりと収まっているのもお見事!
セカンドシートとDIYテーブルの間には、このようなスペースが。
――この隙間には何を?
はい、チェアや寝袋などを積み上げています。テントやタープ等をDIYテーブルの天板に乗せ、他のものはこの隙間に積むことで、家族4人分の荷物がすべて収納できます。
――このキッチンテーブルができたことで、車へのキャンプギアの積み込みはラクになりましたか?
なりました! 今までは毎回積載テトリスがバラバラで、行きと帰りの積み方が違っていたりしてムダな時間を要していました。今は完全にキャンプギアの積み込み場所が定位置なので、悩むことなくスピーディに行き帰りの積載ができています。
クーラーボックス問題も解決
――クーラーボックスを簡単に取り出せるのも大きなメリットですね?はい。このキッチンテーブルを作る前は、クーラーボックスを一番下に置いていたので、途中で買い出しをすると大変なことになっていました。
――よくわかります(笑)。クーラーボックスの重量ってけっこうなものですもんね。
クーラーボックスに食材を入れるために、わざわざ上の荷物を車から降ろして、フタを開けていました。それが今では、クーラーボックスだけを取り出すことができてかなり便利です。
自宅での保管も美しく
自宅での保管もこの通り。お洒落なラックとして、キャンプギアを整理整頓しておくことができます。車でもキャンプサイトでも、そして自宅でも活躍するDIYギアなんです。制作秘話を聞いてみた
なぜDIYしようと?
――キッチンテーブルを自作しようと思ったきっかけは何でしょうか?我が家のキャンプギアにはキッチンテーブルがなく、妻がスノーピークのIGTシステムキッチンに興味を持ちまして。見積もると10万円超えでした。
――もし購入するとしたら大きな出費ですね……。
予算オーバーでしたので、IGTには敵いませんが自作しようと思いました。またちょうど小2の娘の夏休みの宿題が「家庭でお料理に挑戦」というものだったので、キャンプフィールドでの料理に挑戦させようと思ったのが設計サイズの裏話です。
――なるほど、それで娘さんに合わせたサイズになったんですね。もともとDIYの心得が?
ないに等しかったですよ。でも器用な方でしたので、やればできると思いました。
キッチンテーブルの作り方
asayanさんが実際に行った、キッチンテーブルの作り方をお聞きしました。[材料]
●天板→パイン集成材(厚さ18mm)
●脚→2×4(ツーバイフォー)の木材
●結合部の金具→ ソーホースブラケット×4個
※天板のサイズはお好みで。
※2×4木材は10本にカットするので、好みの脚の長さから逆算して用意。
いずれもホームセンターで簡単に入手できる材料です。決して高価ではなく、asayanさんが今回のキッチンテーブルを作るのにかかった材料費は、1万円弱とのことでした。
[製作手順]
①好みの長さに2×4木材をカット。同じ長さのカット木材を10本作る。
②カット木材をソーホースブラケットに差し込んでネジ止め。カット木材を8本使い、4つの脚を作る。
③残っているカット木材で脚同士を連結。これを2つ作る。
④天板を載せて完成。
あとはお好みでペイントしたり、asayanさんのようにサイドラックをつくって拡張したり……とご自由に。ちなみにasayanさんが完成までに要した時間は約5時間、これなら週末に設計から完成までいけそうですね。
楽しかったこと、苦労したこと
――先ほど、三角関数で天板の高さを求めるのに苦労されたとお聞きしましたが、他に何か大変だったことは?私が下手なのかハケが安物だからかわかりませんが、塗装ムラが出て苦労しました。ムラを防ぐために、ペイントしてはウエスで拭き取るという作業を行いました。
――逆に製作中に楽しかったことは何でしたか?
イメージ通りに完成に近づいていく喜びは大きかったです。そして先ほど苦労したとお話したペイントですが、少しずつパイン集成材が理想の色に近づいていくのが、嬉しかったですね。
加えてasayanさんは「一心不乱、無我夢中になって集中できたこと」も楽しかったことに挙げられていました。何かに夢中になって作業をすると、いいストレス解消になりますからね。
完成の喜びはハンパない!
パパってすごい!
――そしていよいよ完成するわけですが、その瞬間のお気持ちをどうぞ!ほぼ設計どおりに完成したので、嬉しかったですね。早くキャンプフィールドで妻と娘に使ってほしい気持ちでいっぱいになりました。
――ご家族の反応はいかがでしたか?
家族そろって「パパってすごい!」と絶賛してくれました。私としても自信に繋がりましたね。それと、子供たちから学習机の製作依頼をうけたのが思わぬ出来事です(笑)。
よく声を掛けられるように
――キャンプでDIYギアを使ってみて、いかがでしたか?眺めているだけで気分がよく、強い満足感がありました。あとはキャンプフィールドで、たくさんのキャンパーさんから声をかけていただけるようになりまして、楽しくコミュニケーションをとっています。
――Instagramで拝見する写真からも満足感が伝わってきます。
妻や娘が楽しそうに料理している姿を見ていると気分がよく、おもわずシャッターを切ってしまうんですよね。
あなたもできるキャンプギアのDIY
――今回のキッチンテーブル以外にも、DIYをしているんでしょうか?シェルフコンテナの天板も自作です。キッチンテーブルと同時期に製作しました。自作するとキャンプサイトに統一感が生まれるんですよ。
あとは今、100均DIYにハマっています。キッチンテーブルに乗せる小物は、100均DIYで作ったギアが多いですね。
100均DIYはいかが?
キッチンテーブルのDIYに「自分にできるかなぁ……」と二の足を踏んでしまう場合は、asayanさんもハマっているという100均DIYあたりから始めてみてはいかがでしょう?上の写真には、100均DIYギアがチラホラと見受けられます。ロールペーパーホルダー、スパイスボックス、CB缶カバーが100円ショップを利用したDIYとのこと。手始めに安価で小さなものからスタートし、楽しみながら少しずつ自信をつけていきたいですね。
最後に
――asayanさん、取材へのご協力ありがとうございました。これで最後の質問です。この先、どういったDIYをやりたいですか?今後はテント、タープにも挑戦しようと考えています。あ、その前に子供たちの学習机ですかね(笑)。
テントやタープのDIYは、上級者中の上級者が挑むイメージ。どんなDIYになるのか非常に楽しみです。と、その前に学習机をがんばってください!
DIYに興味のあるキャンパーの皆さん、ぜひasayanさんのInstagramをチェックしてみましょう。いろいろなDIYヒントが見つかるかも!?