焚火、薪ストーブの炎の写真を撮ろう
秋も深まり、アウトドアライフには火が手放せないシーズンになりましたね。仕事柄、薪ストーブの撮影が多い私にとっても大好きな季節の始まりです。薪ストーブの炎と向き合うようになったのは今から23年前のこと。
焚火好きキャンパーの皆さまには分かっていただけると思いますが、炎ってホント魅入ってしまいますよね。
うまく撮るにはコツがある
そうなるとつい写真も撮りたくなってしまいますが、思ったよりキレイに撮れていなかったり、肉眼とは違う感じに写ってしまうことはないでしょうか?今回は炎を自由自在に操り、美しく撮るためのちょっとしたコツを紹介したいと思います。
焚火を美しく撮ってみる
焚火は時間帯と燃やし方で炎の写り方が変わってきます。これは冬の明るい時間帯。太薪の上にのせた小枝が勢いよく燃えていますが、周囲が明るいので透明感のある炎に写ります。
逆に暗闇の中では炎が白く飛んでしまいます。さほど勢いよく燃やしているわけではありませんが、写真に撮るとこんなにデカくて真っ白な炎になってしまいます。
肉眼ではきれいなオレンジ色に見えていても、カメラでは決められた露出で撮影するので焚火が異常なほどに明るく写ってしまうのです。
暗闇では極端に炎を小さくするか、もう少し早い時間帯に撮るようにしましょう。
小枝を活用してみよう
日が暮れてあたりがうっすらと暗くなった時間帯にマイナス補正をして撮りました。焚火の色も肉眼に近い色が出ています。
私は基本的には小さな焚火を好みます。炎の大きさを調節するには、まず十分な熾きを作っておいて、そこに小枝を数本くべることで細く柔らかい炎が生まれてきます。
画面のどの位置に炎が欲しいかも、小枝を燃やすことで炎を自由自在に操れます。
薪ストーブの炎を美しく撮る
焚火と同様、薪ストーブも燃焼方法と時間帯がポイントです。キャンプ用薪ストーブでも当てはまる部分がありますのでぜひ参考にしてみてください。
まず失敗例です。室内の明るさに比べ炎の勢いが強すぎて白く飛んでしまいました。燃やし始めはこのようになってしまうので、ある程度炎が安定してから撮影します。
十分に薪に火がまわり、温度も上昇した時点で空気調整を絞ります。部屋の明るさと炎がほぼ同じになれば白く飛ぶことはありません。
薪の置き方も重要
またシャッター速度を変えることで、炎の表情は変わります。これはシャッター速度が1/4秒と遅いので、炎が流れたように写ります。
シャッター速度を早くすると、同じ火力でもひとつ前の写真のように炎が止まったように写ります。
また薪の入れ方によって炎が偏ったりする場合があります。炉内いっぱいに炎を広げたい場合は、炉内の熾きを満遍なく広げ、そこに同じ材質・同じ太さの薪を数本並べるように置きます。
立てたり重ねたりすると、炎に強弱がついてうまく撮れません。
太陽の光はやっぱり美しい
次に時間帯です。薪ストーブの撮影は昼間の自然光が入る時間帯がベストでしょう。
窓からの自然光は写真の発色も良く、薪ストーブを立体的にみせてくれます。
ただ薪ストーブのガラスに部屋の景色が映り込んで、せっかくの炎がよく見えない場合があります。私の場合は黒いボードで映り込みを防いでいますが、黒い紙や衣類でも防げますので試してみてください。
そして夜になり室内照明下で撮影してみました。人工的な光源は色補正が難しく、天井からの照明はベタ光線になりがちなので決していいライティングとはいえません。
いっそ照明を消して炎だけの撮影に集中した方がいいかもしれません。
温かみのある炎を作り出そう
一次燃焼から二次燃焼に切り替えたときの炎です。力強い炎から柔らかい炎へと変化します。
キャンプ用薪ストーブでも二次燃焼機能が備わっている機種もあるので、一次燃焼とは違った炎を体験してみてください。
さらに空気量を絞って二次燃焼が進むと、ゆらゆらした炎に変化します。これはゴーストフレームやオーロラの炎と呼ばれています。
赤やオレンジ色に炎が見えるのは炭素が熱せられて発光しているから。燃焼が進み炭素の量が減ると、今度は薪の可燃性ガスと酸素が反応して青白い光を放ちます。
やがて薪は熾きとなり、800~1000℃の高温で熱を放出しています。新しい薪をくべるタイミングはこの時が最適です。
寝転んでいるのは……私です
最後にファイヤーサイドのカタログの表紙になっている写真です。
一般的なストーブカタログをみると「そこまで燃やすんかい!」と思えるほど激しく燃えている写真がありますが、このカタログでは、力強い炎ではなく炉内いっぱいに温かみのある炎を作りだしてみました。
よく子どもが寝ていると勘違いされますが、還暦過ぎた老いぼれの自撮りです。
このように炎は様々な色や形に変化していきます。燃え始めから熾きになるまで、一度じっくり観察してみてはどうでしょう。