写風人の駒ヶ根アウトドアライフ#09:焚火料理とそのアイテム

夏の焚火は、まだ続く。

夏の焚火はどこか懐かしさを感じます。10代後半から20代にかけて、夏休みのほとんどはキャンプ指導に明け暮れていました。

その頃のキャンプはサイトごとに直火を熾し、飯盒と鍋でカレーづくりの一点張りです。夜はキャンプファイヤーのレクリエーションを進行し、消灯時間を過ぎればリーダー達は焚火を囲んで不寝番でした。焚火まみれの若き日の想い出です。

僅かな余暇を楽しむ鉄鍋料理

焚火料理はその時々によって調理器具も変化してきました。
photo_001 1980年代はキャンプに出掛けることも多く軽量コッフェルなどが主流でしたが、1995年に薪ストーブを設置したことがきっかけで鉄製品へと変わっていきます。ちょうどその頃は多忙な時期でもあったので、キャンプとも遠ざかっていきました。

そこで僅かな余暇を楽しむために始めたのが、裏山で焚き火しながらのダッチオーヴン料理です。最初は火加減が分からず、鶏一羽が丸焦げになったこともあります。徐々に経験を重ねながら多人数のイベントも行うようになり、鉄鍋の種類もここまで増えてしまいました。
photo_002 西部劇に憧れていた年代ですので、100年以上そのスタイルを変えないダッチオーヴンはカウボーイそのものだと思っています。
これは菊池仁志氏著書の中で最も好きな文面です。

・・・カウボーイは朝食を終えると焚き火の脇に掘った穴に熾きを入れ、食材の詰まったダッチオーヴンを沈めて再び熾きで覆う。仕事に出払ってしまったキャンプサイトには誰もいない。ダッチオーヴンは温められた大地に包まれ、たった一人で料理を仕始める。仕事を終えたカウボーイ達は、熾きのまわりに吸い寄せられるように集まる。熾きを掘ると鋳鉄製の円盤が姿を現す。グラブで灰を払い、蓋をずらすと湯気が盛大に立ち上がり、食欲を刺激するたまらないにおいが溢れ出る。一瞬広がったハットの輪が再び吸い寄せられるように狭まった。いくつかの鍋が掘り起こされ、蓋を開けるたびに湯気の奥から姿を現す。それらの料理は噛むたびにおいしさの粒を弾けさせ、溶けて胃に流れ込み、ネバダの砂漠に吸い込まれる水のように身体の隅々へとしみ渡る・・・。(出典:菊池仁志著「ダッチ・オーヴン」)

photo_003 極弱火であれば2・3時間放っておいても鉄鍋自身が料理を作るので、その時間は有効に使えるわけです。その点アウトドアでは必須のアイテムです。そんな万能調理器のダッチオーヴンですが、油で手入れするため繊細な料理の前には油分を完全に取り除く必要があります。
photo_004 そのために用意したのが南部鉄器のごはん釜です。内面がホーロー加工されているので油で手入れする必要がありません。
photo_005 すべてが鉄製なので焚火の中に放り込んでも平気。もちろんガスでもIHでも熱源を選ばないので普段使いにとても重宝します。

森暮らしのフライパン料理

2013年に駒ヶ根での週末森暮らしが始まってからは、ほとんどの余暇は森暮らしに費やされてしまいます。しかも滞在中は野外作業や住まいのリフォームに追われ、料理に時間を掛ける余裕がなくなってきたこともあり、素早く出来るフライパン料理が多くなりました。
photo_006 考える余裕がないときは、厚切りベーコンとパンだけで済ませることもあります。
それではいかにも料理らしくないので、少ない食材でボリューム感もあるカウボーイ風の豆料理をひとつご紹介します。
photo_007 材料は合い挽き肉300g、キドニービーンズ380g、ミートソース缶。
photo_008 焚火の火加減は、十分熾きになった状態で調理します。
photo_009 フライパンに油をひき、軽く塩コショーしたひき肉を炒めキドニービーンズを加えます。
photo_010 続いてミートソースを加え、火が通ったら出来上がりです。本来ならこれに玉ねぎのみじん切りを加えると更に美味しくなりますが、野外作業中はその手間を省いてしまいます。またミートソースの代わりにトマトソースを使い、チリペッパーなどを加えるとチリコンカーン風に仕上がります。

豆類は食物繊維や栄養が豊富で、健康や美容にも良い食材です。アウトドアでも気軽に扱える食材ですので、定番料理に加えてみてはどうでしょう。次回は焚火でのスイーツづくりをご紹介したいと思います。
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