注目のソフトクーラーが日本に上陸!
ちょっと見慣れない形状のクーラーボックスが、日本に初上陸!
その名も「Trooper LT 30 ソフトクーラー」、手がけるのはオッターボックスというメーカーです。初耳だという人のために、まずはオッターボックスについて。
オッターボックスって?
オッターボックスという名前は、iPhoneのケースで知っている人が多いかもしれません。落としても割れないと好評を受け、瞬く間に全米No.1シェアを獲得。堅牢なアイテムをつくっているアメリカのメーカー、それがオッターボックスです。1998年創業、当時は小規模なガレージブランドでした。原点はDrybox(ドライボックス)
オッターボックスの原点でもあり、代表的なアイテムがDrybox(ドライボックス)。堅牢な素材と構造で衝撃から中身を守ってくれるだけでなく、防水性にも優れています。カヌー等、水で遊ぶ系のアクティビティを楽しむ人たちの間では定番アイテムと言えるでしょう。そんなオッターボックスが手がけるソフトクーラー、はたしてその実力は気になってしまうのは言わずもがな。
Trooper LT 30 ソフトクーラーの全貌をチェック
というわけで、Trooper LT 30 ソフトクーラーを入手しました。まず一言目の感想は外観がかなりオシャレということ! キャンプサイトではクーラーボックスに頻繁に手を伸ばすので、気持ちのいいデザインであることは第一条件です。その点、当製品は余裕でクリア! 容量は28.4L、重さは約3kgです。フロントには便利機能を搭載
前面には2つのポケットが。実際にキャンプに持って行ったのですが、これが存外に便利! ハードタイプのクーラーボックスにはマネのできない芸当です。耐水ジッパーを採用しているので、スマホでも何でも入れちゃいましょう。オプション用のアタッチメントには、付属の栓抜きを装着することができます。普段飲みの缶ビールとは気分を変えて、小洒落た瓶ビールをキャンプに持っていっても栓抜きを忘れた! なんてこともこれでなくなります。
側面と底はこんな感じ
側面をチェックしましょう。下の方にタイダウン用の留め金がありますね。バイクに積む際、がっちりと固定できそうです。上部の開口部はのちほどじっくり見ていきます。「底面に凝ったクーラーボックスに外れなし」……これは筆者のポリシーなんですが、当製品もかっこよく凝ってくれています。素材は固いゴムが使用されており、砂利サイトで少々引きずったところで問題はなさそう。
持ち運び方法は2種類
背面をチェックしていきます。当製品の大きな特長が、バックパックのように背負って持ち運べるという点。ベルトの長さは自由に調節できるので、薄着の夏キャンプでも、しっかり着込んだ冬キャンプでも見事に背中にフィットすることでしょう。
ショルダーストラップの間には、ロードリフトストラップが。地味ながらひょいと持ち上げるときに非常に便利で、ひょっとしたら最も触る部分かもしれません。
実際に背負ってみました。背面の曲線が絶妙で、背負い心地は上々です。BBQや花見のときにアルコール担当としてさりげなく背負って登場したい……! 重さは約3kgとバックパックとしては決して軽くはありませんが、本分はクーラーボックスなので不満はありません。
ベルトの長さを調節することで、肩がけスタイルに変身します。長めの距離を歩くときはバックパック状態がラクチンですが、ほんの数十メートルの場合は肩がけの方が気軽に行えますね。
ちなみに350mlの缶が50本入るので、いっぱいにドリンクを入れた場合、本体含めて20kgほどの重さに……。状況に応じて持ち運び方法を選べるのは、嬉しい機能です。
開閉部は、がま口
気になる開閉部の構造ですが、なんと「がま口」です。ほぼほぼジッパーで開閉されるソフトクーラー界にあって、これは異端と言えるでしょう。他のキャンパーとは違うクーラーボックスが欲しい場合、この個性は大きなプラスです。めいっぱい開口させるとこの通り。ジッパータイプの場合、全部開けるのって正直めんどくさくないですか? その点、がま口は広げるだけですから、上から覗き込めば取り出したいものが一目瞭然、かつ大きなものも快適に出し入れできます。
開口状態であらわになる、柔らかめの黒いゴム。これがぴったりと密着することで冷気を逃さないとう構造。また構造的に一番上までものを詰め込むと締められなくなりますから、ボーダーラインがプリントされています。
大型のバックルでがっちりと閉まります。クーラーボックスが壊れる場合、たいていはバックル部分が欠けたり外れたり……というパターンなので、大型のバックルは安心感がありますね。
少々コツは要りますが、慣れれば片手で開閉できます。ジッパータイプの場合、片手で開け閉めしようしてズルズルと引きずってしまいがちですが、がま口ならいたってスマート。片手でOKというのは大きなメリットでしょう。
キャンプで使ってみた
Trooper LT 30を持って実際にキャンプに行ってみました。ソロなので容量的にはオーバースペックもいいところですが、家族用の大きなハードタイプを持って行くよりは違和感がないかも。車を近くに駐められるフリーサイトだったので、肩がけスタイルでひょいと運びます。容量は4人家族までいける!
内容物は、底にまず保冷剤を敷いてその上にドリンクを。ドリンクの上に肉や野菜といった食材を。保冷室は縦長なので、下の方につぶれる恐れのないもの、その上につぶれては困るものを入れていきます。
ソロなのですべての食材を放り込んでもスカスカ。よほどのビール好きがいない限り、3~4人程度のキャンプで程よい容量だと思われます。
ポケットが大活躍!
ポケットには調味料やゴミ袋を。ある程度ホールドして運びたい調味料たちは、その収納に普段から頭を悩ませていたのですが、いとも簡単に解決してくれました。クーラーボックスにポケットがあるとこんなに便利だったとは!そして一晩が過ぎた
Trooper LT 30と過ごす夜が更けていきます。10月ということもあり、入れてから30時間は経っていたビールもキンキン! 帰宅しても美味しい状態をキープしていました。公表スペックでは「氷を3日」は保冷できるとのこと。秋の一泊キャンプなど、スペック的に楽勝だったようです。
しかし、やはりソロキャンプで使うにはサイズが大きく、秀逸デザインもあって存在感がハンパじゃありません。ソロで使う場合は同シリーズ、容量18.9Lの「Trooper 20 ソフトクーラー」がよさそうですね。
実験してみた① 保冷性能は充分!?
気温的に秋の一泊キャンプでは実力を測れなかったので、実験をすることに。冷蔵庫から取り出したばかりの水を用意しました。ちなみにこの日の最高気温は21℃です。7℃の水を24時間保冷させてみる
水の温度は7℃。これを午前9時に入れ、24時間後に再び温度を計測しようというわけです。「氷を3日間保冷する」と言われてもピンとこないのが正直なところ。キャンパーが夏場に使って、どうなるのかが気になりますから。保冷剤を1個、助っ人にしました。キャンパーが保冷剤も氷も入れずにクーラーボックスを使うという状況は、考えにくいからです。ただし密着まではさせず、あくまでも補助の役割に。
保冷環境は過酷な車内!
夏場を想定したいので、保管場所は車内としました。実験日は10月下旬、最高気温はたったの21℃ですが、JAFによると車内温度は50℃を超えるそう(たとえ秋でも子供の車内放置が危険であることを告知するため、JAFは季節ごとの車内温度を公表しています)。本当に50℃を超えるのか信じられなかったので、昼頃に温度計をダッシュボードに乗せてみると、あっという間に50℃を超えました。そんな車内でTrooper LT 30は一日中、水を保冷します。いくらなんでも過酷すぎたかも……。
さあ24時間後の温度は…?
気になる結果は……12℃! 最高温度50℃を超える車内でも、24時間でたったの+5℃という結果になりました。保冷剤もまだまだ固い部分が残っていたし、もし水と保冷剤を密着させていたら、おそらく冷蔵庫から出したときよりも低い温度が計測されたことでしょう。もちろん朝の冷え込みを考慮する必要があるので、じつは前日の午後2時にも一度計測していました。そのときの水の温度は15℃。それが夜~朝を経て12℃という結果になったようです。保冷力に不足はないと考えますが、いかがでしょう?
実験してみた② 耐水性能に不安があるんですが……
がま口スタイルの開閉部は便利ではあるんですが、ちょっと気になることがあります。それは、上方向からの水に弱いのではないかということ。いくら大型バックルでしっかりと閉められているとはいえ、ちょうど水が溜まりそうな窪みもあります。うっかりタープ下に移動させるのを忘れ、サイトを離れている間に雨に降られたら……。ビンや缶はともかく、食材にとっては死活問題です。
グレーの綿Tシャツで実験
濡れると激しく変色する、グレーの綿Tシャツを用意しました。このデリケートなTシャツを使って、耐水性能を試してみることに。ちなみにグレーの綿ときたら、濡れた手をそっと置くだけでコレです。「ほんの一部は濡れたが、全体的に濡れているとは言えない」「水滴がいくつか落ちているが、見なかったことにして記事を書く」といったマネがいっさい許されません。
乾いた状態のTシャツをクーラーの底に置きました。たとえTシャツに直接水がこぼれなくとも、侵入した水滴は底に溜まり、グレーを容赦なく変色させることでしょう。
水を浴びせること5分間…
シャワーホースを使ってざぶざぶと雨を降らせました。がま口のサイド部分が弱そうなので、集中的に狙って浴びせていきます。まだまだ浴びせます。この調子でたっぷり5分間、水をかけ続けました。いくら実験とはいえ、キャンプギアに水をかけ続けるというのは、精神的に辛いものがありました。
がま口のサイド部分にある窪みには、なみなみと水が溜まっています。少しぐらいは水が滲んでしまっても仕方ないのではないか……そう思わせる酷い状態です。5分を終えたらひっくり返して水を切り、全体の水を拭きとりました。
はたして結果は!?
バックルを外すと、内部にまで水滴が付着していました。がま口の両サイドから執拗に水を浴びせたことが、よくわかってもらえると思います。ちょっとやりすぎたかもしれません。しかし結果はこの通り! 水を切るためにひっくり返して上下に振ったので、Tシャツも転げ回ったようですが、変色はありません。つまり、濡れてません!
取り出してしっかり確認しましたが、完全にセーフ! 思えばオッターボックスはDryboxを原点とするメーカーでした。耐水性能に妥協するはずがないんです!
念のため内部存在の写真を。水滴ひとつしないことをご確認ください。運良くグレーTシャツに水が触れなかったわけではありません。水はたったの一滴も侵入しなかったのです。もっとも、しょせんは水道のシャワーですので、命の危険を感じるような豪雨ではどうなるかわかりません(そんな日はキャンプに行かないと思いますが)。
活躍の場はキャンプだけじゃない!
以上、日本初上陸のTrooper LT 30 ソフトクーラーをレポートしました。最大の特長はバックパックでも肩がけでも持ち運べるモビリティでしょう。持ち運ぶときに両手がフリーになるクーラーボックスは、ほとんど存在しませんから。「電車で花見に」「徒歩で小学校の運動会へ」という状況でも無理なく持っていけるTrooper LT 30 ソフトクーラー。活躍する場はキャンプに限りません。
オッターボックスの公式サイトはこちら