※この記事の撮影は直火での焚き火が許可されているキャンプ場で行っています。
新しい焚き火の楽しみ方に挑戦してみたい
家族でキャンプに行くときは、焚き火のかたわらでのんびり過ごすのが好きな筆者。焚き火を使って子供たちと普段できない経験をするのが楽しみでもあります。
これまでフェザースティック作りやファイヤースターターでの着火などをしてきましたが、今回はやったことがない焚き火がしてみたくなり、気になっていたスウェーデントーチに挑戦してみました。
そもそもスウェーデントーチって?
丸太を燃やして焚き火をするのがスウェーデントーチ。スウェディッシュトーチとも呼ばれ、北欧では古くから“かがり火”として使われていたようです。
一度火をつければ薪をくべる必要もなく数時間燃え続ける便利なもので、焚き火同様に暖を取ったり料理を作ったりすることができます。
今回初挑戦のスウェーデントーチ、やり方や注意点を交えながらその魅力をお伝えしていきます!
準備~点火まで
まず必要なのが丸太。種類はスギやヒノキなど基本的には何でもいいようですが、しっかりと乾燥されていることが重要。これは焚き火にくべる薪と同じですね。
スウェーデントーチが燃える仕組みは?
単に丸太に火をつけるのではなく、切れ目を入れます。そこから空気が入り込み、煙突効果で発生する上昇気流によって燃焼し続けるというのが燃える仕組み。切れ目の数が多いほど多くの空気が中に入り込むため、火が大きくなり素早く燃焼します。ただそもそも丸太をすぐに調達できる方や、切り込みを入れるためのチェーンソーを持っている方は少ないはず。初めはアウトドアショップや材木屋さんのネットショップで販売されている、完成品のトーチを使うのが手っ取り早くオススメです。
今回は直径約25×高さ40cmのヒノキで作られた市販品のトーチを使ってみました。では、さっそく点火と参りましょう!
着火はとても簡単だった
普通の焚き火では着火剤から細い枝に火をつけ徐々に太い薪に移していくのがセオリーですが、どうやらトーチは上の切れ目のところに着火剤を置いて、火をつけるだけでいいのだとか。果たしてこんな太い丸太に、そんな簡単に火をつけられるんでしょうか?
「中の方まで火をつけないと燃えないのでは?」と不安だったのですが実際にはそんなことはなく、拍子抜けするほどあっさり着火。10分ほど経って着火剤が消える頃にはトーチ自体に火が燃え移り、そのまま安定して燃え始めました。
何もしなくてもみるみる燃えていく
最初のうちは中の方でじっくり燃えているな……という感じでしたが、30分も経つと炎が大きくなり、外から見てもよく燃えているのがわかるように。
点火から約1時間後の状態。全体に火が行き渡り、勢いよく燃えています。焚き火は燃やし方によっては途中で消えてしまったりしますが、何もしないでここまでしっかり燃えるとは、とても楽ですね。
どのぐらい暖かいの?
点けて間もなくはまだ火の勢いが弱く煙が多いため、ほんのり暖かい程度。このまま何もしなくても徐々に火は大きくなりますが、早く暖かくしたい場合は切れ目のところから火吹き棒で吹くと燃えが良くなります。
30分ぐらい経って全体に炎が行き渡る頃になると、焚き火台で薪を燃やしているのと同程度の暖かさに。燃えが進むにつれて、暖かさもだんだんと増していくのが感じられました。
スムーズに着火できたところで、やってみたかったことのひとつ「スウェーデントーチで調理」に挑戦です!
スウェーデントーチで料理をしてみた
これだけの火力があれば料理も問題なくできそうということで、試しにフライパンで肉を焼いてみることに。
まだ火が小さい状態でフライパンをトーチの上に直置きしてみたところ、空気の流れが悪くなるせいか急に火の勢いが弱くなってしまいました。煙ばかり出て、なかなかフライパンが熱くなりません。
そこで、普段から焚き火のときに使っている焚き火ハンガーをセット。少し離して空気の通り道を確保したところ、また勢いよく燃え始めました。ジュージューといい音がして、みるみる肉が焼けていきました。
火が近いと高火力での調理は難しいので、火加減の調節のためにもロストルやゴトクを使うなどした方がやりやすそうです。
またトーチは時間の経過と共に崩れてくるので、ダッチオーブンや直径が大きく重いスキレットなどは置かない方が良さそう。長時間火にかけるような煮込み料理にも、あまり向いていないことがわかりました。
気を付けるべきことは?
筆者のように、ある程度普通の焚き火に慣れてくると物珍しさから「スウェーデントーチをやってみたい!」となる方もいるかもしれません。しかし実際やってみると予想以上に注意しなければいけない点がありました。みなさんが安全にできるよう、気をつけるべき点についてもまとめておきます。
スウェーデントーチをやる上で知っておきたいこと
キャンプ場のルールに従って楽しもう
丸太に直接火をつけるスウェディッシュトーチは、1時間を過ぎたあたりから全体に火が回り、ご覧のようにトーチの一部分が崩れはじめました。地面に火のついた薪が落っこちてしまいます。
そのため実施する場合は直火OKなキャンプ場を選びましょう。
ただほとんどのキャンプ場は直火NGなことが多いので、そういった場所でやる場合は下に防火シートを敷くのはもちろん、熱伝導を防ぐため焚き火台の上に置くなどして必ず地面から距離を取ること。
また崩れるとき思いのほか広範囲に飛び散ることがあるので、崩れる前に火挟みでそっと崩すなどして充分にご注意を。スウェーデントーチは普通の焚き火以上に対策が必要ということを心得て、しっかり準備した上で実施することが大事です。
ロゴス たき火台シート・ワイド
●サイズ:(約)幅130×奥行80cm
●収納時サイズ:(約)幅15×奥行22×高さ2.5cm
●重量:(約)550g
●素材:ファイバーグラス
●収納時サイズ:(約)幅15×奥行22×高さ2.5cm
●重量:(約)550g
●素材:ファイバーグラス
キャンプ場や他の利用者の迷惑にならないよう、しっかりとマナーを守って楽しみましょう。
最後まで燃やし切り、後始末も忘れずに!
最終的にはすべての木が崩れ落ち、普通に焚き火をしているような状態に。ただ一番下の切れ目が入っていない丸太の部分は、そのままにしておくと燃え残ってしまいます。
切れ目の深さにもよりますが、すべて燃やしたい場合は落ちた木をなるべく集まるように置き、火吹き棒で吹くなどすれば最後まで綺麗に燃やすことができます。
燃え残ってしまった場合は、普通の焚き火のときと同じように冷めるのを待ってから持ち帰るか、指定の灰捨て場に処分しましょう。
鎮火は予想より早く、着火から約3時間ほどでここまで燃えて、あと1時間以内には完全に鎮火しそうな状態に。トーチの大きさや切れ目の数・樹種の違いで時間は異なりそうです。
ただ、薪1本ごとに燃え加減や時間をコントロールできる普通の焚き火と比べると、火をつけたらあとは燃え切るまでそのままなので、時間の余裕を持って行うに越したことはありません。もし途中でやめなければいけない場合は、水をかけて鎮火させることもできます。
注意点にさえ気をつければ雰囲気のある特別な焚き火を楽しめるスウェーデントーチ。最後に便利なキットをご紹介しておきます!
便利なスウェーデントーチキット紹介
今回使った直径25cm級のどっしりした丸太や、より手軽に試せるコンパクトなものまでいろいろあります。小ぶりのサイズなら焚き火好きの方へのギフトとしても良いかもしれませんね。いつもとは違う焚き火の面白さを味わえた
かがり火という名の通り手がかからず、普通の焚き火とは異なる幻想的な燃え方を楽しめるスウェーデントーチ。ただ準備や後始末が簡単というわけではないので、そこは普通の焚き火と同じようにしっかりとマナーを守って準備を整えて行いましょう!