SOTOの分離型シングルバーナー「新型」と「定番」をくらべてみました

記事中・アイキャッチ画像撮影:筆者

ロングセラーと最新モデルで悩むって、どういうコト?

出典:Amazon
SOTOのロングセラー「ST-301シングルバーナー」(以下、ST-301)をご存知でしょうか? コンビニなどでも手に入りやすい、安価なCB缶(カセットボンベ)を用いた分離型のバーナーです。

分離型は一体型と比べてゴトクが大きく調理向き。また、ガスボンベを離れた位置にセットできるため、ガスボンベが加熱されて爆発するような危険が少なく、安心して使えるのも特徴です。

出典:SOTO(写真はレギュレーターストーブ フュージョン)
SOTOには、そんなカセットボンベを用いた分離型のバーナーがもう一つあります。2019年に発売された「ST-330レギュレーターストーブ フュージョン」(以下、フュージョン)です。

新製品なだけあって「ST-301」にはない機能を備えています。

ST-301 フュージョン  比較
写真左のST-301は、アマゾン限定モノトーンカラー
金額の違いも1,000円程度なので、最新型の「フュージョン」に人気が集中しているかと思いきや、あえてロングセラーモデルを選ぶ人がいるということ……! その理由とは?

今回は「ST-301」と「フュージョン」を比較して、それぞれの機能性を検証してみます。

ふたつのモデルを比較してわかった違いとは?

同じタイプのシングルバーナーに、それほど大きな違いはあるのでしょうか? この2モデルの違いを見ていくことにしましょう。

意外と違った「収納サイズ」

ST-301 フュージョン  比較
ST-301の収納サイズ約160×100×90mmに比べ、フュージョン(左)の収納サイズは約110×75×90mm。見た目同様、フュージョンのほうがひとまわり小さく収納できます。

重量もST-301が約690gなのに対し、フュージョンは約250gと半分以下の重さです。

SOTO「st-301」
ちなみに、ST-301には専用の収納ポーチが付属していますが、フュージョンには付属していません。

最新モデルでは、より簡単になった「組み立て手順」

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ST-301の組み立て手順は決してシンプルとはいえず、少々手数が多くなってしまいます。

組み立て手順
1. 2本のゴトクを開き、先端のロックピンを溝にはめ込む。そしてリングストッパーを締めてゴトクを固定。
2. 蝶ネジを緩めて点火スイッチを倒す。90度倒したら、蝶ネジを締めて固定。
3. ガスボンベを安定させるためのスタビライザーをカチッというまで開く。
4. ガスボンベの切れ込みに金具を合わせてはめ込み、ボンベホルダーを止まるまでまわして固定。

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対する最新モデルのフュージョンは、組み立ての煩わしさが解消され、素早く組み立てることができます。

組み立て手順
1.  4本のゴトクを開く。カチッと音がしてきちんと止まればロック状態。
2. たたまれている器具栓ツマミを起こす。
3. ボンベの切り込みにガイドを合わせ、止まるまで約60度回転させれば組み立て完了。

形状が大きく異なる「バーナーヘッド」

SOTO「st-301」
ST-301の火力は3,200kcal/hとクラス最大級。バーナーヘッドは大きめで、外周に沿って炎口が備えられています。無数の小さな炎を出すことによって、風の影響を少なく抑えます。

またバーナーヘッドが大きいことで、大鍋の広い底面にも、まんべんなく炎を当てることができます。


一方、フュージョンの火力は約2,200kcal/h。すり鉢状の小さめなバーナーヘッドを採用しています。炎口がすり鉢の内側に装備されているので風の影響を受けにくく、効率よく加熱することができます。

ボタンとツマミの位置が異なる「点火装置」

SOTO「st-301」
点火装置ひとつ取ってみても、この2モデルには大きな違いがあります。

ST-301の点火ボタンは、バーナーヘッドのすぐ横に配置。鍋を載せても点火しやすいように、少し離れた位置にボタンを装備しています。

SOTO「st-301」
電極はバーナーヘッドにある炎口のすぐ横に配置されています。ここで火花を散らすことによって、着火する仕組みです。

SOTO「st-301」
火力調節ツマミはガスボンベ側に配置。ツマミをひねることによって、ガスの流量を調節します。


一方のフュージョンは、点火スイッチがガスボンベ側についています。炎や鍋を気にすることなく点火できます。


電極はバーナーヘッドの中央に配置し、配線を内部に隠した「ステルスイグナイター」を採用。衝撃で破損したり、電極が曲がってしまうことが少なく、故障しにくいのが特徴です。


火力調節ツマミは、ガスボンベ側に配置。点火ボタンのすぐ横にあるので、扱いやすくなっています。

大鍋を載せることができる「ゴトク」

ST-301 フュージョン  比較
どちらのゴトクも大型で、大きな鍋を載せることができますが、いくつかの違いがあります。

ST-301はゴトクの外径が約200mmで、3本ゴトクを採用しています。一方フュージョンはより安定感の高い4本ゴトクを採用。しかしゴトクの外径は約165mmと、ST-301よりも35mmほど小さめです。

「載せられる鍋」に差はあるのか?

まずは大きめの鍋が載せられるかどうか見てみましょう。使ったのは同ブランドの「ステンレスダッチオーブン10インチ」です。

SOTO「st-301」
ではST-301から見ていくことにしましょう。ST-301は、直径約25cmの鍋までなら載せることができるので、鍋底の直径が約20.5cmの「ステンレスダッチオーブン10インチ」は載せることが可能です。

ゴトクが3本でも、先端がくの字に曲がっているので安定して載せられます。


フュージョンの場合は、説明書に「使える鍋は何cmまで」と明記されておらず、極端にはみ出る大きな鍋や大きな鉄板の使用が制限されているだけです。カタログには「ステンレスダッチオーブン10インチ」を使用した写真が載っているので、目安としてはST-301同様、25cmくらいまでの鍋となりそうです。

また、ゴトクが4本になっているだけでなく、本体の脚も4本になっているので、安定感も十分。

シェラカップも載る?

大きな鍋が載せられることはわかったので、今度は小さなものが使えるかどうか、シェラカップの載せてみることにしましょう。



SOTO「st-301」
ST-301のゴトクは内径約50mm。底面の直径が約75mmのシェラカップは載せることはできました。

ですが、バーナーの炎口がシェラカップの底面よりも外側にあるため、底面を暖めることができません。加熱はできますが効率は悪そうです。


対するフュージョンは、ゴトクの内径が約70mm。シェラカップをなんとか載せることはできましたが、決して安定感がいいとはいえません。

ちょっとした衝撃や無造作に置くことで、落下の可能性があるので、シェラカップの使用はあまり現実的ではありません。

印象が違う2種類の「炎」

SOTO「st-301」
ST-301は、炎口がバーナーの外周に配置されているので、炎はリング状に上がって中央に向かっています。


対するフュージョンは、すり鉢状に配置された炎口から炎が上がり、細い火柱を作ってまっすぐに上がっています。こう見比べると、フュージョンはより中心に炎が集まるので、例えば熱伝導のいいクッカーでホットケーキやトーストを加熱する際は、中心が焦げないよう注意が必要そうです。

忘れちゃいけない「マイクロレギュレーター」の存在

「ST-301」と「フュージョン」比較
2種類のシングルバーナーを比較してみた結果、それぞれにメリットとデメリットがあることがわかりました。しかし、まだ触れていない特徴の違いがひとつあります。

それは、フュージョンに搭載されている「マイクロレギュレーター」についてです。

SOTO「ST-301」
ガスボンベを使った燃焼器具は、低温下で使用するとガスが気化しにくくなり、火力が弱くなってしまいます。しかしマイクロレギュレーター搭載したモデルは、ガスボンベ内の圧力が上がらない低温下でも、燃焼に適した量のガスを供給することが可能です。

なので気温が低くい環境でも、火力が落ちることがありません。フュージョンの場合、25~5℃の温度帯であれば、安定した火力を保つことができます。

バーナーの特徴を知って、用途によって選んでみよう!

「ST-301」と「フュージョン」比較
というわけで、これらを総合的に考えると、以下のような使い方が見えてくるのではないでしょうか?
「ST-310」向きの人
・バーナーは火力重視で使いたい

・寒い季節には使わない

・軽さやコンパクト性は求めない
ITEM
ソト ST-301
●使用時サイズ:幅190×奥行176×高さ83mm(ゴトク+点火ボタンのみ)
●収納時サイズ:幅160×奥行90×高さ90mm
●重量:690g(本体のみ)
●発熱量:3.7kW(3,200kcal/h)

「フュージョン」向きの人
・火力よりも使いやすさ重視

・寒い季節のキャンプをする

・装備をコンパクトにしたい
ITEM
ソト レギュレーターストーブ フュージョン
●使用時サイズ:幅410×奥行120×高さ90mm
●収納時サイズ:幅110×奥行75×高さ90
●重量:250g
●発熱量:2.6kW(2,200kcal/h)


「どちらを買ったらいいのかわからない……」という人は、こんな風にそれぞれの特徴を理解して、自分に合っているアイテムを選んでくださいね!

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