キャンプで遭遇する野生動物についてちゃんと知ろう
大自然に囲まれ、気持ちのいいキャンプ。山や森の中では、移動中も含め動物にばったり出くわすことも。可愛らしい見た目につい近づきたくなりますが、思わぬ事故につながってしまう可能性もあるんです。お互いに危害を加えるつもりがなくても、こちらの知識不足で警戒させてしまい、襲われることもあります。不必要な接触を避けるためにも、正しい知識を身につけましょう。
そこで今回はキャンプで出会うかもしれない動物の特性と、遭遇した際の対処法をご紹介していきます。
遭遇する可能性のある5種類の野生動物
1. 実は臆病で用心深い「クマ」
日本にいるクマは、北海道にいる「ヒグマ」と本州以南にいる「ツキノワグマ」の2種類。大きな体の割に足も速く、ヒグマは時速50km以上で走ります。でも実は用心深く臆病な性格で、基本的には人を見つけると逃げてしまうほど。
そんなクマが凶暴になるのは以下の場合が挙げられます。
・母グマが、子グマを危険から守ろうとする時
・冬眠から覚めたばかりで、空腹な時
・いきなり人が出てきて驚かされた(と感じる)時
・自分の餌や獲物だと認識したものを、横取りされた時
・うまく冬眠できず、食糧探しに必死な時
クマが冬眠から覚める春先のキャンプや、子グマを連れている場合などは不用意に近づかないようにしましょう。
2. 餌を与えてはいけない「サル」
日本に主に生息するのは「ニホンザル」で、北海道と沖縄以外の地域に広く分布しています。表情が豊かで、好き嫌いの感情は顔を見ているだけで分かるほど。自分の感情に素直な性格なので、個体によっては攻撃的なサルもいます。
ニホンザルも、基本的には臆病で人に近づいてくることはありません。
ただ、観光地などで人に慣れてしまうと、持っている食べ物を奪いに来ることも。噛む力が強いので、思い切り噛まれると骨まで達するほどの大怪我になることもあります……!
3. 遭遇しやすい危険動物「イノシシ」
日本には2種類生息しており、そのうちの1種類「リュウキュウイノシシ」は沖縄にしか生息していません。そのため北海道と沖縄以外で見かけるのは「ニホンイノシシ」です。実は身体能力がとても高く、時速40kmで走り、垂直ジャンプで1m以上を跳ぶのだとか。泳ぎも得意で、瀬戸内海を島から島へ泳いで渡るイノシシも目撃されています。
クマやサルと同じように臆病なので、積極的に人に寄ってくることはまずありません。襲われる可能性があるとすると、
・お互いに気付かず、至近距離でばったり遭遇してしまった時
・繁殖期で興奮している時
・イノシシが怪我などで弱っており、自分の身を守ろうとしている時
以上のような場合は、こちらを敵とみなして襲ってくる場合があるので注意が必要です。
4. 突然飛び出してくる「シカ」
日本に生息するのは「ニホンジカ」と呼ばれ、6種類ほどいます。どの種類もやはり臆病な性格。嗅覚と聴覚が鋭く、人の気配を感じると逃げていきます。ただ、人間に好奇心をもって近づいてくるシカもいるようです。
多いのは、シカが道路に突然飛び出してきて車と衝突してしまう事故。シカが出没しそうな場所で車を運転する際は、スピードを控えめにして周りをよく確認してください。
5. かわいいけど触らない方がいい「キツネ」
愛らしい見た目につい近づきたくなってしまう「キツネ」。身体能力も知能も高く、相手によって狩りの方法を変えることも。性格は温和で従順、好奇心も強いので人やキツネ以外の動物と仲良くなることもしばしばあるのだそう。
そんな可愛らしいキツネですが、「エキノコックス」という寄生虫がいる可能性があります。
手や水などを介して口から入ることで人間にも感染し、気づいた時には重篤な状態になっていることも。キツネが多く生息する北海道特有のものではなく、本州でも確認されているので注意が必要です。
今まで紹介した動物、特にクマやイノシシはまず遭遇しないように対策をすることが大切です。そのために、正しい知識を身につけておきましょう。
野生動物に遭遇しないための対策
周りに注意を払う
木の根元や草の茂みにも目を向けてみましょう。糞や足跡などの痕跡があったら、近くに動物がいる可能性があります。川や沢の近くでは、水音で接近に気付かないこともあるので要注意。
2人以上で行動し、存在を知らせる
危険かもしれない場所では、必ず2人以上で行動をしましょう。鈴など音の出るものを鳴らしながら歩いたり、大声で会話することで、こちらの存在をアピールできます。ゴミは持ち帰る
食品やゴミは、必ず持ち帰りましょう。においにクマが慣れてしまい、引き寄せる要因になってしまいます。また、キャンプの夜は食材を出したままにせず、テント内に片付けることも大切です。それでも、野生動物に遭遇してしまったら……
遭遇した場合の対処法は、どの動物でもほぼ同じです。頭に入れておいて、いざという時は慌てずに対処しましょう。むやみに近づかない
餌を与えたり、むやみに近づいて触ったりすることはやめましょう。また、キツネに触れてしまった場合は必ず手をきれいに洗うことも忘れずに。石を投げたり、刺激しない
動物とばったり出くわすとついつい驚いてしまいますが、動物の方も人間と遭遇してとても驚いています。そこへ石を投げたりして刺激すると、興奮状態になり襲われる可能性も。何もされていないのに攻撃するのは逆に危険ですよ。
背中を見せないで後ずさり
クマ、イノシシ、サルの場合、後ろ向きで走って逃げると追いかけられて、襲われる可能性が高くなります。背中を見せず、ゆっくり後ずさりしながら逃げるのが正解。目線に気を付ける
動物によって、視線を合わせたほうがいい場合とそうでない場合があります。サルの場合は目は合わせず、クマの場合は目を合わせたまま後ずさりするのが有効です。ばったり会っても、落ち着いて!
突然の遭遇はお互いに驚いてしまいますが、必要以上に慌てないことが大切です。野生動物も人間と同じで、驚かされたり突然攻撃されたりしたら本能的に反撃してしまうもの。キャンプの際はこちらが”お邪魔させてもらっている”という気持ちで過ごせたらいいですね!
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不用意に近づくなとはいうけども、かわいい動物と触れ合いたいのが誰しもの本音なはず。Let’s get along well with wild animals!
野生動物と上手に付き合おう!