冬はチェアの通気性がつらい……
焚き火台と薪を用意して、さあ焚き火! ……というワクワクタイムを迎え、ひとつ気にかかることが。それはチェアの通気性。夏は快適なんですが、冬は冷たい空気が侵入してきます。ヘリノックスのチェアにはメッシュを採用したものが多いですよね。チェアワンなどは背中にすらメッシュ部分があります。焚き火にあたれば体の前面は暖かくなりますが、お尻や背中が寒くてたまらないという状況に。
業界初の「ヒーター機能付きチェアカバー」が登場!
チェアにブランケットを敷いて腰回りをくるんでいるキャンパーも多いと思いますが、よりスマートに冷え対策ができそうなアイテムを発見しました。その名も「ぬくぬくヒーターチェアカバー」! 業界初、ヒーター機能が付いたチェアカバーです。今回はこのウワサの新アイテムを実際に使ってみたので、その様子をレポートしたいと思います。
さっそくヘリノックスのチェアに装着してみました。見るからに暖かそうな素材感が伝わってきます。カラーはネイビーとグレーの2色展開。丸洗いも可能だそう。
公式から分かりやすいサーモグラフィの画像が公開されています。お尻と背中の部分に、電気毛布のようなヒーターを搭載している模様。
これが本当なら、焚き火時の前面ポカポカ、背面スースー問題を解決してくれそうです……!
なめらかな手触り
表面はポリエステル製の起毛素材。スベスベとしたなめらかな手触りで、ついつい触りつづけてしまう心地よさです。仮にヒーター機能がなくとも、冬用のチェアカバーとして活躍しそうな、ぬくもりのある素材でした。ちなみにこちらの素材、ポリエステルながら炎が燃えにくいUS-117(耐火テスト基準)を取得。焚き火時の万が一に備えています。
ヘリノックスのチェアにジャストフィット
チェアワン、チェアゼロ、グラウンドチェアといったサイズのヘリノックス製チェアに、ぴったりとかぶせることができます。はめ込むときのテンションはなかなかに手応えがあり、ずれたり外れたりする可能性は低そう。
コードがチェアカバーのフチをぐるりと一周しているので、最後にコードを締め付けて装着完了。取り付けはいたって簡単です。
他ブランドのチェアでもOK!
ヘリノックス製以外のチェアでも、もちろん使用可能。公式にはFIELDOORのポータブルチェアやMag Cruiseのクルーズチェアに対応すると発表されていますが、他にも対応チェアがありそうですね(写真はMag Cruiseのクルーズチェア)。電源はモバイルバッテリー
ヒーターの電源にはモバイルバッテリーを使用。チェアカバーの内部からUSBケーブルが伸びているので、そこにバッテリーを接続します。シリコンカバーは丸洗いするときに接続口を保護するためのもの。使用中のモバイルバッテリーは座面横のポケットに収納。写真のモバイルバッテリーは容量10,000mAh、サイズは約140mm×70mm×10mmです。ポケットにはかなり余裕があったので、20,000mAh超の大容量タイプも使用可能でしょう。
冬キャンプで実際に使ってみた
では焚き火をしながら使ってみましょう。暖かそうなビジュアルではありますが、実際問題として冬のキャンプ場で役立つレベルなのかどうか。正直なところ「たかだかモバイルバッテリーで満足のいく暖かさになるの……?」という疑いがあります。
温度は3段階に調節可能
バッテリーポケットの上にスイッチがあり、温度モードを切り替えることができます。OFFの状態から一度押すと「HIGH」、もう一度押すと「MIDDLE」、さらにもう一度押すと「LOW」、4回目のプッシュでOFFに戻ります。
温度モードが「HIGH」の状態だと、スイッチは赤く点灯。ヒーターの温度は55℃に達するそうです。使用可能時間は、10,000mAhのバッテリーで約4時間。
温度モードが「MIDDLE」では白く点灯。ヒーターの温度は50℃ほどで、使用可能な時間は10,000mAhのバッテリーで約5時間となります。
温度モードを「LOW」にすると、点灯色はブルーに。ヒーターの温度は40℃にとどまり、10,000mAhのバッテリーで使用可能な時間は、約8時間に延びます。
以上、3つの温度モードの使用可能時間はあくまでも目安、使用時の気温に左右されるようです。気温の低い状況では、使用可能時間が短くなると予想されます。
まるで自動車のシートヒーター
日没後には氷点下となったキャンプ場で使用開始。焚き火に面していない背中側が寒くてたまらず、温度モードはもちろん「HIGH」に。……するとどうでしょう。スイッチオンからほんの数分で、お尻と背中がじんわりと暖かくなってきました。ふと頭に浮かんだのは、自動車のシートヒーター。本当にあんな感じで、暖かさが体に染み込んできました。
低気温のせいか温度モードが「HIGH」でちょうどよく感じられました。まるでコタツに入ったかのように動きたくなくなり、焚き火の前で夜が更けていきます。
容量10,000mAhのバッテリーを使用しましたが、「氷点下でHIGHのまま3時間」では供給がストップすることはなく、一般的な焚き火タイムでの使用では不足を感じないかと。しかし日中から寝るまで使う場合や連泊する場合は、大容量のものを用意した方がよさそうです。
座布団としても……
テント内での座布団としても活躍しました。チェアの背中にくる部分がお尻を、座面部分があぐらをかいた足を暖めてくれました。ブランケットを膝がけにすると、さらにぬくぬくです。アウトドアチェアに装着しなくても「モバイルバッテリーで稼働する暖房器具」として普段から使えるので、オフィスや自宅でも活躍しそうですね。
使ってみて気になった3つのこと
その1. 低温環境でのバッテリーの減りが心配
「寒いとスマホのバッテリーの減りが早い」と感じている人も多いと思いますが、スマホのバッテリーやモバイルバッテリーに採用されているリチウムイオン電池は、低温だと容量の100%を出しきることができません。途中で放電がストップしてしまうので、結果として「減りが早い」と感じてしまいます。寒い状況で使うアイテムの電源が、寒さに弱いモバイルバッテリー……という点がやや不安で、長時間使用したい場合には、切実な問題になってきそう。大容量のバッテリーを複数用意するなど、使用する環境や時間を考慮して、しっかりと対策する必要があるでしょう。
その2. 知らず知らずスイッチを押してしまうことが
プッシュするタイプのスイッチなので、体重をかけてしまったのか、知らず知らずに押してしまったことがありました。まあ気づいたらまた押してやるだけの話なんですが。それと当製品にはセーフティ機能がついており、2時間で自動的に電源がOFFになります。ひょっとしたら再びONにすることを面倒に感じる人がいるかも……。筆者はうっかりしてしまったときの安全とバッテリーの節約を優先したいので、気にならないどころか頼もしく感じられました。
その3. 炎との距離に注意を!
気になったというよりは注意してほしいポイントです。当製品は380gと軽く、また軽量のチェアと組み合わせるアイテム。席を外している間にチェアが風に倒され、焚き火に覆いかぶさってしまったら……。いくら燃えにくいポリエステル素材を採用しているとはいえ、風が強くなりがちな、乾燥した季節にこそ使いたいアイテム。炎との距離には気をつけたいところです。
冬用チェアの衣替えはいかが?
実際に使ってみた結果、ヒーターのパワーは充分と感じられました。そもそもメッシュ部分がスースーするチェアに、ぬくもりある素材のカバーが付いただけでありがたい話です。冬の衣替え的な、ビジュアル面での新鮮さも楽しめますし。発売記念のプレゼントとして、今なら専用の収納ポーチが付属するようです。収納時のポーチ内には余裕があるので、バッテリーはもちろん、カイロなど他のあったかグッズを入れてもよさそうですね。