この夏、atelierbluebottle から登場した小型バックパックの collar PAC-01。
同ブランドとしては3作目となるこのモデルは、容量も12Lとミニマムながら、ファーストモデルである PAC-03、セカンドモデルの PAC-S の背負い心地の良さはそのままに、新たなギミックとシンプルさを追求した意欲的なバックパックです。
筆者自身も atelierbluebottle のバックパックは PAC-03、PAC-S を所有し、サコッシュも愛用しており、今回の PAC-01 も発表されてからずーっと気になっていたモデルです。
この8月から発売が開始されたとあって、早速入手して夏の丹沢でフィールドテストしてきました!
とにかく「ブレない」背負い心地
背面にフィットするデザイン
背中に吸い付くようなフィット感は atelierbluebottle のバックパックの特徴でもありますが、PAC-01 ではそのフィット感がさらにアップしている感じです。もともとこの手のUL系のバックパックは腰ではなく、背中全体で背負って荷重を分散するのが定石ですが、PAC-01 は背面の面積が従来のバックパックより小さいこともあって、左右の肩甲骨で挟むようなイメージで、背中の中央でフィットしやすい構造になっています。
また、バックパック自体が小さいこともあって、全体的に荷重ポイントが上になります。
上の写真を見ていただくと、バックパックのボトム部分の位置が腰よりもかなり高い位置にあることがわかると思います。荷重ポイントが背中の中心上部に来ることで、ハイクアップの時の安定感に繋がっています。
小型バックパックとしては太目のショルダーハーネス
上の写真を見ていただくと分かると思うのですが、バックパックの大きさに対してショルダーハーネスはかなり太目になっています。
通常、10~15Lと言った小型のバックパックでは、ショルダーハーネスも細いのですが、PAC-01は太いものが使われています。バックパック本体が小型な分、多少重い荷物をパッキングするとバックパック自体がブレやすくなってしまうのですが、太目のショルダーハーネスによって安定性を向上し、ブレの軽減に一役買っているわけです。
独自のストラップシステム「バックストラップシステム」
PAC-01の大きな特徴の一つが、その独特なストラップの使い方。
ショルダーハーネスを調整したストラップをそのまま背中側に回して……
バックルを固定。
そのままストラップを締めます。
こうすることで、ちょうど襷掛けのような形でバックパックを背面に固定するわけです。
このバックストラップシステム、実際に使ってみると、大げさではなく本当にバックパックのブレがほとんど感じなくなり驚きました! 試しにバックストラップを外しても走ったりしてみましたが、効果の差は歴然。実感としては下手なベストパックよりPAC-01のフィット感・ブレのなさは上でしょう。
先に紹介したコンパクトな本体構造、太目のショルダーハーネス、そしてこのバックストラップシステムによって、劇的にブレのないバックパックに仕上がっていると言えるでしょう。
ちなみにこのバックストラップシステム、どういった経緯で作られたのかを atelierbluebottle の辻岡氏に伺ったところ、
「PAC-01 を作り上げた翌日の朝方、PAC-01 を背負って鏡で色々と見ていたときにショルダーのストラップがプラプラとするのが気になったんです。それで、鏡の前で試行錯誤して、ふとストラップを背中に回してみたらしっくりときた。それで早速バックルを取り付けて近所を走ってみたら意外とブレがなかったので採用となりました」
とのこと。
本人曰く、偶然の産物だそうですが、そんな風に自身が作り上げたものを何度もチェックして、色々と試していく中で、何気ないことからアイディアが生まれ、こうしてプロダクトに反映されたりするんですね。
収納力は必要十分
PAC-01 の容量は約12L。
この容量、一見するとデイハイクでもちょっと不安に思えるかもしれませんが、本体構造がシンプルなトップローディング方式のため見た目以上に荷物を詰める事が出来ます。
今回のハイクで持参したのは以下の通り。
左上から
・昼食用のパン×2個
・水1L
・ウィンドシェル
・レインウェア(上下)
・コーヒー+カップ
・トイレセット
・行動食、小物
・アルコールボトル
・クッカー+アルコールストーブ
・ファーストエイドキット/除菌ティッシュ/ヘッドランプ
・セイシェルボトル
これだけパッキングした状態でもパンパンではなく、まだ少し余裕があります。
これからの季節、ダウン等のインサレーションも増えてくると思いますが、薄手のものであれば十分収納可能。さらに軽アイゼン程度であれば何とか入りそう。
ただし、PAC-01 は何でもかんでも詰め込む、というバックパックではないため、「何が必要で、何が不要か」を考えてパッキングするということが前提となります。
この辺りは使う人の経験値が反映されるところ。パッキングの腕の見せ所でもあるわけです。
本体へのアクセスも簡単!
バックストラップシステムと並んで PAC-01 の大きな特徴は、本体へのアクセス方法が2つあること。
ひとつは、デザイン上でもアクセントとなっている、本体前面に設置された止水ファスナー。
良く使うものはこの止水ファスナーから取り出しやすい位置に入れておけば、行動中には左側だけショルダーハーネスを外して、くるっと体の前に回して来れば簡単に出し入れすることができます。
もうひとつは、小型のバックパックでは採用されることが珍しい上部のロールトップ。広げると大きくガバっと開きます。
上部から荷物を詰め込んでいくことで、前述のように見た目以上の収納力を発揮することができます。
今回の丹沢のハイクに加えて、日常生活においても通勤時や、帰宅ランでも実際に使用してみました。
見た目も、いわゆる山用のバックパックぽさも控えめで、私服にも合わせやすいシンプルなデザイン。夏場であれば通勤ランでも十分使える容量ですし、本当に平日は仕事に、休日は街や山へ、とフル稼働してくれそうです。
気になった点は2つ。
ひとつは、上部のロールトップ。
ロールトップ形状はどうしても最低でも1巻きはしないとしっかりと口を閉じることが出来ないため、その分バックパック本体の容量が減ってしまいます。小型のバックパックでは少しでも容量が欲しい……と思う場面が無い訳でもなくて、実際今回、冬場の想定でパッキングするには少し苦労しました。もし、今後マイナーチェンジされるとしたら、このロールトップ部分も容量を減らさず閉じることが出来るギミックがあるといいなあ、と思いました。
もうひとつは、バックストラップシステムのバックル。
背面に回すとバックパックと背中の間に入る事になるのですが、このバックルが若干当たる場面がありました。痛みがあるとか、さほど気になるほどではないのですが、もし可能であれば薄型のバックルだとなお良いかな……と(強度の問題もあると思いますが)。
ブランド立ち上げから3年を迎えた atelierbluebottle。
サコッシュと PAC-03 からスタートし、PAC-S、ハイカーズソックスと着実にそのラインアップを拡大してきました。今では山で見かけることも多くなり、すでにガレージメーカーとしては1ブランドとして認知されてきたと言っても過言ではないでしょう。
そして、PAC-01 には今まで同ブランドが培ってきたバックパックのノウハウが惜しむことなく生かされており、まさに atelierbluebottle の今、そしてこれからを感じることが出来ると思います。
来年にはまた新たなカテゴリーに挑戦するそうです。
ガレージブランドだからこその既成概念に囚われない新しい発想から、今度はどんなプロダクトがリリースされるのか、今から楽しみでなりません!
- 製品名
- collar PAC-01
- 価格
- ¥22,600(税込)
- メーカー
- atelierbluebottle