タープの大敵……それは「風」
開放感たっぷりのタープは本当に気持ちよく、まさに自然の中のリビングといった趣き。キャンプの醍醐味のひとつですよね。でも、ひとたび風が強めに吹き出せば、不安にもかられます。「あおられて、飛ばされてしまうんじゃないか……」。
かくいう筆者も過去に、しばらくサイトを離れて戻ってきたら張ったはずのタープが消えている……という経験の持ち主です。そう、タープは風に弱いのです。
「風に強い張り方」を知っておくと役立つ
あまりの強風ならあきらめもつきますが、そこそこ吹いている状況なんかは悩みドコロですよね。張ったあとで急に強まったりしたときなども。そんなわけで、あらかじめ知っておくと役立つのが「風に強い」タープの張り方です。
ポイントは「風向き」を知ることと、設置の「強度」
すべてのベースとなる考え方は2つ。「風向き」をしっかり把握すること。そして、ビシッとタープを「強く張る」ことです。風を知り、強度をアップさせれば安定感は大幅アップ。それでは、まずは「基本のキ」からみていきましょう!
まず基本のテクニックから
まずは何より、「風に強いタープの張り方」の基本をしっかり押さえておくことが大切です。これだけで全然違ってきますよ。全体を低くする
当たり前の話ですが、高いものと低いものでは、受ける風の抵抗に差がでます。風は通常は横からくることを考えると、やはりローなほうが有利なわけです。ポールの高さを下げて、全体を低めにするイメージで設営するといいでしょう。風上から先に設営すべし
風がすでに吹いている状態の場合、設営は「風上から」が鉄則です。これを間違うと思い切りあおられてタープを頭からかぶってしまうなんてことにも……。風を味方につけるには、ペグ打ちやポール立ての順番も大事なのです。風上を下げる。出入口を風下に。
なるべく風を真正面から受け止めずに、「受け流す」イメージを持ちましょう。風向きがはっきりしていれば、風上を下げて、風下は上げて設営するといいでしょう。いわゆる「片落とし」スタイルですね。ガイロープを使わず直接地面に打ち付ける「直打ち」も片側を下げる際に有効です。
風を中に通すのも一つの手
ここまでは風を受け流す設営方法をご紹介しましたが、あえて「タープ内に風を通す」という選択も時にはアリな場合もあります。原理的にはもっとも風の抵抗を受けにくいスタイルです。ただ、風向きは変わりやすいので、スムーズに通せるのはよほど風向きが安定している場合に限ります。そしてリビングを風が吹き抜けることになるので、居心地という点では好みが分かれるでしょう。
ロープとペグの角度は90度
ペグ打ちの強さも、タープの耐風強度に大きくかかわってきます。バタつかせずピンと張ることで、風をあまり意識せず過ごすことが可能になります。つい垂直にペグを打ちたくなってしまいますが、ロープとペグの角度は90度が鉄則です。タープの場合はテント以上に強度が求められるので、しっかり斜めから打ち込みましょう。
この図の状態からさらに深く打ち込んで、ヘッドを地面に食い込ませれば完了です。
地面をがっちりとらえる、長めの鍛造ペグを選択
土や小石混じりのオーソドックスなサイト地面であれば、やはり鍛造ペグが信頼できます。長ければ長いほど強いですが、そのぶん重くなり持ち運びが不便になりますし、打ち込みの労力も増すのでだいたい30㎝を目安に用意するといいでしょう。雪面や砂地の場合は接地面積の大きいU字ペグやプラペグの出番です。このような軟弱な地面では細い鍛造ペグだと逆に抜けやすくなってしまうので、土壌コンディションに合わせたペグ選びを心がけましょう。
覚えておくと役立つ小ワザ
基本を押さえたら、そこにちょっとのテクニックをプラスすることで、さらに風に強いタープが張れます。ぜひトライしてみてくださいね。ロープをポールに1周巻きつけてからペグダウン
ポールの先端をグロメットに通し、その上からロープをかけて張りますが、その際ガイロープをポールの先で1周させてからペグダウンしてみましょう。そうすることで下向きの力が生まれ、強風でタープがポールから抜けてしまうという事態を防いでくれます。また、グロメットに圧力が集中しないのでタープが傷みにくいというメリットもあります。
強くて長めのペグをダブル打ち
かかる力を2つに分散すれば個々にかかる圧力は減る、というのはかつて学校の物理で習ったとおりですが、もちろんキャンプにも当てはまります。強い風を受けるとペグがゆるんだり、抜けたりすることも。それを避けるため、ペグの強度は最強レベルに保っておきましょう。そこで「ダブルペグ」というワザが生きます。
通常1本のところをあえて2本ペグを打つことで圧を分散させるテクニックです。ペグ同士の幅を広げれば、狭いサイトでしっかり張るのに有効です。
センターポールは「逆ハの字」で強度アップ
ポールもまっすぐ立てるより、多少斜めにしたほうが強度がアップします。2本のセンターポールの下を少し内側に入れ込み、形を「逆ハの字」にすることで、安定感が増すのです。地面とポールの角度はだいたい60~70度くらいが目安です。ガイロープを増やしてみる
先ほどのペグの圧力のくだりでも出てきたように、分散させることで強度アップが図れます。同様に効果大なのが「ガイロープを増やす」こと。タープのセンターポールからのびるガイロープは通常2本ですが、これを3本、さらには4本に増量することで、風から受ける抵抗を分散させることができます。
カーサイドなら風よけに
ミニバンやSUV、ワンボックスといった「高さのあるクルマ」なら風よけとして威力を発揮してくれます。クルマとタープを連結する「カーサイドタープ」は風のあるときの選択肢のひとつとなり得ます。ただし、風向きを間違えないこと。「風上にクルマ、風下にタープ」が鉄則です。あべこべにしてしまうとモロに風を受けてしまい逆効果です。
追加アイテムがあれば役に立つ
いくつかの追加アイテムを投入することで、さらに風に強いタープを張ることが可能になります。基本と応用テクニックをふまえつつ、さらにここで挙げるものを投入すれば鬼に金棒です。ストレッチコードでショック吸収
タープをピンと張るには、常にしっかりテンションがかかっていることが大事です。ストレッチコード(クッションコードとも)を連結すれば常にタープの端が引っ張られているような状態になり、強度アップにつながります。ただしセンターポールを固定するガイロープには使用NGなのでご注意を。張り綱のループにフック側をかけ、打ち込んだペグにコード側を引っかけて使用します。
ポールエンドストッパーで抜け防止
ポールエンドロックなどとも呼ばれます。これをポールのピンにフタをするように差し込むことで、タープが風にあおられてもガイロープやグロメットがポールのピンから抜けにくくなります。また、ピンの先端を覆うように装着すれば、万が一ポールが倒れた場合にも人やタープが傷つくのを避けられるので持っておくといいでしょう。
あまりに強風の場合は諦めも肝心
つまり、タープと風の特性さえしっかり理解していれば、風が強めでもかなりうまく対応できるということです。しかし、どうしても安定しない強い風が吹くことも多々あるのがキャンプというもの。そんなときは潔くタープを諦めるのも大事です。自然の変化に臨機応変に対応することもキャンプの魅力に他なりませんからね。
Let’s set a strong tarp against the wind
風に強いタープを張ろう