海に生きる八幡暁の”足元サバイバル”#1~人は、どうやって生きているのか?~

八幡暁(やはた さとる)という人物を紹介したい

CAMP HACK編集部の担当斉藤です。今回からプロライター連載として、八幡暁さんが加わりました! 全12回連載の予定で月に一度、配信をいたします。アウトドア業界では名が通っている方ですが、聞きなじみがない方も多いのではと思います。それもそのはず。八幡暁さんというリアルアウトドアマンは海に生息しているからです。

それは、誇張表現でもなく、オーストラリアから日本までの海域をシーカヤックで人力移動するような、神奈川県から沖縄県まで単独漕破してしまうような、パワフルな生き方をしている人。それがこの方です。

生きることについて考えている方、キャンプ、ひいてはアウトドアの本質に触れたい方、男の恰好よさを追求したい方、そんな方に、ぜひ読んでいただきたい連載です。まずは第一回ということで、イントロダクションからスタートです!

人は、どうやって生きているのか?

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僕は、20歳の頃、「人は、どうやって生きているのか?」という素朴な疑問を持つようになっていました。勉強で評価され、スポーツで評価され、競争は嫌いじゃないものの頑張ってみることに疲れていたのかもしれません。

そもそも、この競争自体が何のためにやっているのかが、わからない。ただ生まれてきて当然のあるものとして目の前に出された選択肢を選んでいたら、やっていたという気がしていました。

お金を稼ぐ為であれば、もっと多様なやり方があるでしょうし、生きる為であれば他にやることがあるはずです。新しく開発される技術や、便利グッツにばかりが目に入ってきますが、ピンときません。人って何してきたんだろう? 若気の至りともいうべき疑問。ただそこに答えを出せない自分もいました。

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八幡さんの遠征時の道具類。冒険に必要なだけの最小限にとどめている。
そんな折、新聞に海で魚を獲って生きる人の記事がありました。銛一本で、何でも獲ってくる男。船もいらない。足ひれとマスク、獲った魚を釣るしておく漁具を引っ張って泳ぐという。身体一つで海に出る。食べ物をお金で買うことが当たり前の世の中しか知らなかった僕は、完全に心を奪われました。

自分も、食べものを獲ることから始めよう。どんな人でも食べないと死ぬのだから。水を探そう。水が無いと死ぬのだから。そして海を潜る毎日が始まったのです。

潜って、捕って、食べるというシンプルな行動

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「3分、30m」は誰でも出来る。文字通り、3分間息を止めて、30m潜れるようになるのは、たいしたことじゃない、つまり魚を獲ることは誰でも出来ると漁師が教えてくれました。それを信じて海へ向かっていたら、いつしか出来るようになっていました。

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2004年神奈川県葉山町から沖縄の旅の途中にて、イシダイ
「潜れる海があれば生きられる」ことが腑に落ちただけでは飽き足らず、国内外の漁村を訪れ、そこの漁法を見たり、少しだけ一緒に暮らしをさせてもらうような旅を続けます。その流れで、海を自力で渡り歩く道具シーカヤックを学び、船の就航していない小さな漁村までも航海するようになったのです。

シーカヤックで、漁村を旅するようになって

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何百もの漁村を見てきました。都市文明で生きている民から、電気、ガス、水道がない暮らしまで。お金さえあれば、教育の機会が増え、さらにお金が入りやすくなる暮らしがある一方、己を知り、己の土地を知ることで、はじめて生きられる自然と人が近い暮らしまで。

共通していたのは、子供たち。海岸線には子供が溢れ、遊び、よく食べ、お母さんは赤子を抱き、時には兄弟や近所の子供が、代わりに子供をあやしていた姿です。どこにでも苦労と笑いがありました。

しかし、文明の力で便利になったはずの都市生活では、逆に子供が見えなくなりました。時間に追われる大人と子供はどこにむかっているのでしょうか。

何が正解かわかりませんが、自分の感じた違和感。見ただけではダメ。わかったような口ぶりで話すだけでもダメ。『自分がそれを糧に実践すること』が重要。

どういう生き方をするにせよ、自分も楽しみながら、未来の主役である子供たちが楽しく過ごせる社会になって欲しい。その為の、小さな小さな楽しい革命を自分自身に起こしたいと思い、ここに綴りっていきたいと思います。

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