FORE WINDSから、すごいカセットこんろが出た!
イワタニの新生ブランド・FORE WINDS(フォアウィンズ)の目玉製品としてリリースされた「FOLDING CAMP STOVE(フォールディングキャンプストーブ)」。ブラックとシルバーの2色展開で、とてもクールなビジュアルに仕上がっています。そして最大の特長が、あっと驚く変形ギミック。
まさかの収納状態を実現!
こちらがその収納状態。これがカセットこんろだとは、にわかには信じられませんね。収納時のサイズは約11cm四方で長さ28cmちょっと。非常にコンパクトでアウトドアに持ち出しやすく、また自宅での収納スペースも圧迫しません。
展開させると、安定感のある立派なカセットこんろに。バーナー部分が格納されていたスペースには、CB缶が収まります。
ところで変形するカセットこんろといえば、思い出される製品がありませんか?
そう、スノーピークの「HOME&CAMPバーナー」もまた、美しく収納されるCB缶のカセットこんろです。のちほど、記事の締めくくりでアレコレ比較もしてみましょう。
恐ろしいほどにスタイリッシュな「フォールディングキャンプストーブ」
さて気を取り直して、開封前からじっくり観察していきましょう。まず箱がおしゃれで気分がよく、手に入れた満足度が高かったです。箱からして新生FORE WINDSの本気度が窺えますね。箱から取り出しました。よく見るとボディの腹下に何かが取り付けられていますね。ひっくり返してみましょう。
【ポイント①】輻射熱によるダメージを予防する「ヒートシールド」付き
まず目についたのは、他社のストーブでは見かけないこちら。本体の脚となる部分に、折りたたまれたステンレスの板が挟み込まれています。
これはヒートシールドと言って、展開したバーナー部分に取り付けるパーツです。輻射熱によるテーブルへのダメージを予防します。
ケースを開けてみました。バーナーヘッドやら何やらが見事に格納されていますね。バーナー部分の脚やゴトクは折りたたまれ、「点火つまみ」はこちら側を向いています。
【ポイント②】ワクワクが止まらない変形ギミック!
何と言っても本製品を使う楽しさは、コンパクト収納を可能にした変形ギミックにあり! というわけで、さっそく変形させてみましょう。
まずボディの脚からヒートシールド、ボディの端からラバーキャップを取り外します。なんだかワクワクしてきました。ここから先は動画で撮影したので、再生ボタンをどうぞ。
バーナー部分の展開が終わったらヒートシールドを取り付けます。取り付ける方向に迷ってしまいそうですが、ヒートシールドは点火用の電極部分まできれいにくり抜かれているので、一目瞭然でした。
動画で見てもらった通り、トランスフォームに何ら難しいことはありません。さらに転ばぬ先の杖として、ケースの内側に組み立て方法が記載されています。
隅々までじっくり観察してみた
無事に変形が完了しました。クールな色使いもあり、なんとも凛々しい佇まいですね。それでは隅々までじっくりと見ていきましょう。まずはバーナー部分から
バーナーヘッドを真上から。ヒートシールドにくり抜かれた穴を、きれいにゴトクが通過していますね。点火は圧電点火方式(カチッと火花が走るやつ)で、その電極部分もしっかりくり抜かれています。最大発熱量は2.2kW(1,900kcal/h)と、だいたいイワタニの「タフまるJr.」と同じくらいの火力。連続燃焼時間は約2時間と公表されています(推奨カセットガス使用時)。
ゴトクにはギザギザが刻まれていて、耐荷重は5kgです。使用できるクッカーのサイズの上限は、直径24cm。よほどの大鍋料理を望まない限り、不足を感じることはないでしょう。
カセットガスはマグネット着脱
変形によって空けられたスペースに、CB缶を装填します。その真下にくる部分にはヒートパネルを搭載しており、CB缶の温度低下と、それによる火力の低下を防止します。CB缶の装填はマグネット式。押し付けて回転させたり、レバーを下ろしたりする必要はありません。イワタニの技術におまかせって感じで、非常にラクチンです。
FORE WINDSからはCB缶もリリースされています。その名も「カセットガス FORE WINDS ノルマル」。デザインがかっこいいので、イワタニに推奨されるまでもなく使いたくなるCB缶です。
家庭用こんろと同様に扱える安心感
点火は、カチッと音がするまで「ON」方向に点火つまみをひねるだけ。消火は「OFF」方向に戻すだけです。もちろんその間で火力の調節を行うことができ、つまりは家庭用のこんろと同じような使い方。誰もが使い慣れている、親しみやすい操作性です。さあそれでは、実際にアウトドアで使ってみましょう!
実際にアウトドアで「フォールディングキャンプストーブ」を使ってみた!
実践撮影はソロで行いました。おしゃれキャンパーのデュオ~グループで決まりそうなギアではありますが、収納時のコンパクト性は、ソロキャンパーにも十分にメリットがあります。お湯を沸かしてみよう
さっそくお湯を沸かしてコーヒーでも淹れましょう。ケトルの直径は約14.5cm、容量は0.7Lです。ゴトクの安定感は上々で、「変形式だから揺れやすい」といったデメリットは感じられません。無風という好条件もあり、点火からたった6分で完全に沸騰しました。扱いやすい大きな点火つまみと、家庭用こんろと同様の操作方法は、やはり手軽で安心感があります。消火もサクッと行うことができ、猛烈な沸騰状態でも慌てずに済みました。
スキレットと炊飯を試してみた
スキレットで厚切りベーコンを焼いてみましょう。直径20cmクラスのスキレットなら、大きさも重さも問題ありません。ただし同じような直径サイズである8インチのダッチオーブンは、総重量的に難しいので要注意です。扱いやすい点火つまみのおかげで、火力調整はラクラク。ヒートシールドがスキレットの輻射熱を遮るので、ウッドのテーブルでも安心して使うことができました。
あと注目してほしいのは、点火用の電極が熱されて赤くなっているところです。日中のアウトドアではガスの炎が見えにくいものですが、この電極の赤さによって炎が消えていないことがわかり、弱火時の「じつは消えてるんじゃないか?」問題を解決してくれました。
炊飯もまったく問題なし。お湯を沸かす、食材を焼く、そしてご飯を炊く……とすべて快適に行うことができました。ただし無風という好条件だったので、強風時には何らかの対策が必要だったり、思った以上に時間がかかるなどするかもしれません。
しかしそういったときに何かしらの工夫をするのも、キャンプの楽しさですよね。
小さなクッカーはどこまで使える?
クッカーのサイズは直径24cmが上限ですが、下限はどの程度のものでしょうか? 試しにトランギアのメスティン(底面17×9.5cm)を載せてみたところ、真上から見てハンドルが6時を指す載せ方なら余裕でした。ただしハンドルが7~8時方向になるよう斜めにしていくと、ギリギリ感が出てきました。
筆者が持っているクッカーで最小のものを載せてみましょう。直径は10.5cmで、底は丸くなっています。
結果、なんとか載っているように見えて、ガタガタと安定しませんでした。ギリギリ落ちはしないんですけど、4本のゴトクにしっかり引っかからないんです。
というのもゴトクの位置関係はこのように先端同士が正方形を作らないデザインなんです(数値は実測)。極限のコンパクト収納を実現するための設計ということで、逆にかっこよく感じられますね。
さておき実験の後、ブランドから使用できる鍋の最小直径は11cmとのお達しがきました。コンパクトなクッカーを使用している方は、条件を満たしているかチェックしておくといいでしょう。
手入れのしやすさで好感度UP
ヒートシールドは輻射熱を遮るだけでなく、片付けのしやすさにも貢献しました。さっと取り外して、油はねなどを簡単に拭き取ることができます。ゴトクをまるごと取り外せるカセットこんろは他にもありますが、凸凹でゴツゴツとしたゴトクに比べ、汚れの拭き取りやすさが段違いでした。
スノーピーク「HOME&CAMPバーナー」との違いは?
それでは最後に、スノーピークの「HOME&CAMPバーナー」と比較してみましょう。予め断っておくと、優劣をつけたい意図はありません。違いだけを淡々と紹介していきます。製品名 | スノーピーク HOME&CAMPバーナー | FORE WINDS フォールディングキャンプストーブ |
価格(税込) | 10,978円 | 16,500円 |
使用サイズ(mm) | W346×D301×H120 | W317×D288×H120 |
収納サイズ(mm) | W90×D120×H255 | W111×D285×H114 |
最大発熱量(kcal/h) | 2.4kW(2,100kcal/h) | 2.2kW(1,900kcal/h) |
重量(kg) | 1.4 | 約1.6 |
使用できる鍋のサイズ | 直径14~30cm | 直径11〜24cm |
耐荷重 | – | 5kg以下 |
付属品 | – | ヒートシールド |
まずは収納状態の比較から
収納時のサイズと重量は、下記の通りです。立てるとフォールディングキャンプストーブの方が3cmほど背が高いですね。重量も200g上回っています。
横置きにすると、高さはほぼ一緒でした。脚の幅にはそこそこの差があり、当然広い脚幅のフォールディングキャンプストーブの方がこの状態で安定感がありました。
似てるようで異なる変形の仕組み
変形の仕組みは似ているようでだいぶ違い、HOME&CAMPバーナーの方がゴトクまわりの組み立て工程がシンプルです。もし両アイテムの熟練ユーザー同士が展開のタイムアタックをしたら、高確率でHOME&CAMPバーナーの方が早く終えるでしょう。ただしHOME&CAMPバーナーには「必ずボタンを押しながら……」という重要な工程があり、それを怠ると深刻な故障につながるようなので、人に貸したり、家族や仲間に「広げといて」と頼むのは若干の不安が残ります。
展開時のサイズにも微妙な差が……
使用時のサイズはほとんど同じ……ように見えますが、バーナーヘッドやゴトクの位置はフォールディングキャンプストーブの方が高いですね。加えて付属の「ヒートシールド」を搭載するので、テーブルへのダメージ面で安心感があります。対してHOME&CAMPバーナーは、下に敷く「バーナーシート」が別売りで用意。価格差はこういった仕様の違いに現れていると感じました。
ちなみにそれぞれの最大火力は次の通りです。
上から見ると、占有スペースにも若干の違いが。収納時にはよりコンパクトだったHOME&CAMPバーナーの方が、大きなスペースを必要とするようです。そして使用できる鍋のサイズと耐荷重は、次の通り。
※HOME&CAMPバーナーはスノーピーク「パンクッカー」に対応しており、そのなかで最大のクッカーが容量4.6Lなので、耐荷重は5kg程度と推察されます。
というわけで両アイテムの違いをざっと挙げてみました。投げっぱなしで恐縮ですが、以上の差異をどう受け取るかはおまかせします。
HOME&CAMPバーナーの使用感が気になる方はこちらも参考に!
家でも使える……というか使うべきカセットこんろ
当製品の最大の特長は、見事な変形ギミック。その変形により素晴らしくスタイリッシュな収納状態を実現しました。カセットこんろは自宅でもちょいちょい出番がありますが、かっこいい状態でインテリア的に置いておけるのは自宅でこそメリット大です。家でもキャンプでも使える……というフレーズをよく耳にしますが、フォールディングキャンプストーブはそういった両刀ギアの代表格になるでしょう。
FORE WINDS フォールディングキャンプストーブ
●サイズ(幅)317×(奥行)288×(高)120mm
●収納サイズ(幅)111×(奥行)285×(高)114mm
●重量:約1,600g
●最大発熱量:2.2Kw(1,900kcal/h)
●収納サイズ(幅)111×(奥行)285×(高)114mm
●重量:約1,600g
●最大発熱量:2.2Kw(1,900kcal/h)
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