アウトドアマン・写風人さんが送る“南信州の森暮らし”
長野県・駒ヶ根市に居を構える写風人さん。アウトドアと密接な日々の暮らしを綴ります。写風人
1955年生まれ。GRIP SWANYオフィシャルカメラマン。FIRESIDE薪ストーブエッセイ著作家。2019年より南信州に移住し、薪ストーブを中心とした火のある生活を愉しんでいる。Instagramのアカウントは@syahoo_jin
焚き火を愉しむ様々なスタイルに注目
私が森暮らしの焚き火で参考にしているのが、父親の愛読していた1960年代のアメリカのキャンプ教本です。焚き火の項目には様々な薪組みの型が載っており、第1章#6ではいくつかの直火スタイルを紹介させていただきました。その中で合掌型や井桁型などいくつか実践していますが、今回は新たにリフレクターを使った焚き火をやってみたいと思います。
最近コットン生地などで作られた「リフレクター」と呼ばれる焚き火ギアが多く販売されていますよね。ですが、自然の材料である大木を使ってリフレクター作ることもできます。
大木を横たえて何本か積み上げればそれが反射壁になり、寒い日に入り口の開いているテントやタープの中を暖めたりするのに効果があります。
ちなみに教本での基本スタイルは、垂直の壁ではなくやや斜めの反射壁。火の風下に作り、煙と炎は逃げてテントの中にいる人間には熱だけを反射させる仕組みです。
火が近い場合は木への燃え移りを防ぐため、土を盛る方法もあります。それではさっそくリフレクターの作り方を順を追って説明していきましょう。
リフレクター(反射壁)の作り方
杭になる真っ直ぐな枝を何本か用意し、地面に打ち込みやすくするために先を削ります。次に太めの枝を集めて、長さを切り揃えます。我が家にはチェーンソーがあるので楽に切れますが、多くの方はノコギリになるのではないでしょうか。大変ですが頑張りましょう。
杭を両サイドに打ち込み、その間に太めの丸太を入れ込んでいきます。基本的には焚き火の風下に反射壁を作りますが、背後にテントやタープがない場合は煙が自分の方に逆流する場合も。
そのようなときは、先ほど触れた斜めの壁にして煙を逃がすようにしましょう。
今回はタープの入り口に、広めの壁を作ってみました。リフレクターがあるとタープ内に風も吹き込みにくく、小さな焚き火でもとても暖かくなります。
とは言え普段から木材の剪定などに慣れていないと、なかなか大変な作業。大きなリフレクターを作るのは難しそうという方には、こんな方法もあります。
原木を積む
原木を積み上げるだけでもリフレクターになります。このとき積み上げた原木に土を盛れば、すぐ近くで火を焚いても火は燃え移りません。玉切りを立てる
手頃な玉切りを立てても反射熱の効果はありますが、丸太よりも効果的な方法があります。石や岩を利用する
石は丸太よりも蓄熱製があるので、反射熱はより増幅します。さらにタープやテントで囲めば、雪の降る真冬でも暖かく過ごせます。
森に住み薪ストーブ用の薪を作っている私は丸太には不自由しませんし石や岩も手に入る環境ですが、実際入手しづらい方も多いはず。そこで身近なアイテムでできる方法もご紹介します。
アルミホイル・シートを使う
枝や丸太がない場合は、アルミホイルやアルミシートでも代用できます。垂直でも斜めに張ってもいいですし、写真のようにくの字型に張ってもかなりの効果が期待できます。反射式オーブン
反射熱を利用して調理する「リフレクターオーブン」という商品もありますが、今回はグリップスワニー×アシモクラフツの焚き火台を立てて代用してみました。着火材はチェーンソーの切り屑にオイルを湿らせたもの。手間暇かけず一発着火です。
リフレクターへ効果的に熱がいくよう薪はVの字に組み、その中で燃やします。
熾きがたっぷりできたらリフレクター内部に五徳を置き、反射熱で調理もできます。今回はピザを焼いてみました。ピザ釜のように手早くは焼けませんが、まずまずの仕上がりでした。
反射熱も使い方によっては便利なものです。写真が本業なので銀レフや白レフは当たり前のように使っていますが、そう考えると光と火の違いはあれど焚き火にリフレクターも当たり前かもしれませんね。
最後にひとこと
近頃ブッシュクラフトという言葉を取り違えているのを目にします。北欧は多くの自然が開放されているため森の中で猟や野営など自由にブッシュクラフトを楽しめる環境ですが、日本はそのような環境ではありません。勝手に森や山に入りブッシュクラフト的な行為をすることはできませんし、ましてや焚き火は野焼き条例で禁止されています。焚き火は野焼きの特例にされているキャンプ場や、限られた施設の中で行うようにしましょう。
写風人の過去の連載記事はこちらThe post 焚き火の熱で効果的に暖まれるリフレクター作り【写風人の駒ヶ根アウトドアライフ~第3章#18】 first appeared on CAMP HACK[キャンプハック].