フランス人の言う「キャンプ」とは

国際結婚して夫の故国・フランス在住の、30代後半主婦です。もう移り住んで10年ほどの年月がたつのにも関わらず、常に様々な分野において、「えっ?そうなの?!」と、価値観や文化のギャップに驚かされることが少なくありません。例えば辞書で引いた時に訳語はわかっても、日本でとらえられているものとは全く内容が違うようなもの、というのがよくあります。その中でも未体験なまま謎めいているのが「キャンプ」です。

フランス人はアウトドア活動が好きです(もちろんインドア派もたくさんいますが…)。スポーツや野外活動でしっかり外出することも多ければ、田舎に住んでいるため日常的にびっくりするほど野性的な生活を送っている人もいます。ただ、ワイルドな環境に身をおきたいと思っても、必要とする生活ライフラインや物資には一定の線があり、それが日本とは違うのです。

夏場になると「バカンスはキャンプで」と出かけて行く人がとても多いものです。初め私は、皆さん車にテント一式・簡易コンロなどを積み込んで大自然の中へ行くのかと思っていたら、中心ににぎわうのは「海辺のキャンプ場」なのです。よくよく聞けば、キャンプ場にもレベルがあり、「高級」「星が〇個」というキャンプ場には、シャワーやバスルームはもちろんのこと、プールやジャグジー・サウナ完備、という所が珍しくありません。毎日のアクティビティ(グループで遠足・スポーツインストラクション)、託児サービス、レストランにディスコなど、聞けば聞くほど「それってキャンプって言えるの?」という設備が整っているのです。

ですがやはり、広い敷地を区切って「〇さん家はこちらのスペースでキャンプして下さい」となるからにはキャンプ場なのです。そこに自前のテントを張れば場所代だけで非常に安上がり。バンガロータイプの住居を貸し出しているところもありますが、これは料金で見ればほとんど中堅ホテルと変わりません。

こんな風にしてプールで遊んでアクティビティを楽しみ、朝晩の熱いシャワーを浴びて地元のレストランで舌鼓をうつ、そうしてテントに帰って眠る毎日…を、1-2週間のんびりと繰り返すのが「フランスの一般的なキャンプ」と夫に言われて、私は吹き出しそうになりました。

長らく日本のキャンプ場を利用したことがないので2国間のキャンプ場比較は容易ではないのですが、何となく日本の場合は「自然に触れ合う」ということを主体として、生活の不便さはあえて黙殺されているのに対し、フランス人のキャンプは「とにかく生活の場をうつして、快適さはそのままに非日常感を楽しむ」コンセプトが強いように思われます。

フランスにおける「高級キャンプ場」という言葉のもつ矛盾した響きが、未だに謎です。子供も大きくなってきたことですし、そろそろ今年こそは一度体験したいと思っているのですが…。

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